リーダーに求められる能力、資質、あるいはリーダーのあり方とはどのようなものでしょうか。答えは人によって異なります。カリスマ性がなくてはならない、威厳がほしい、一定の知識はなくてはならないなど、いろいろあります。まして、対象が一国のリーダーなら、改革者であるべきだといったことから、漢字が読めなければならないということまで、求められるイメージや能力は多岐にわたります。
リーダーのあり方をはじめ、リーダーシップ論には金科玉条がいくつか存在します。よくあるものに、「若い人たちにはどんどん失敗をさせるべき。権限委譲をしましょう」「指示命令ではなく聞き役になろう」「部下のワークライフバランスを考えてあげよう」といったものがあります。
でも、20世紀において正しいとされていたことは、今の時代に「よし」とされているものとは全く異なります。20世紀では「若い時に苦労しろ」「指示命令が必要」「試練を与えよ」などのハードアプローチが主流です。最近のリーダーシップの金科玉条は20世紀に正しいとされていた事項の裏返しだともいえます。でも、このような裏返しの現象が必ずしも正解になるとは限らない。そう思うときがあります。
たとえば、命をあずかる仕事にエンパワーメントなどのソフトアプローチだけを適用してもいいのでしょうか。ビジネスのリスク、不確実の幅によってリーダーシップのあり方も変えるべきです。このビジネスで失敗したら大損失がでる。そんなときは、指示命令が必要です。場合によって、エンパワーメントをしてはならない場面もあります。してもいい場合としてはいけない時とは、仕事のリスクの度合いによるのではないかと思います。
「アメとムチ」という言葉がありますが、これも場合によってさまざまです。20代に試練もなく、失敗もせず、結果、踏ん張る力をつけるトレーニングもないまま過ごした人がいるとしましょう。アメのみで過ごしたその人の30代、40代は逆に不幸です。大きな仕事を与えられても、ここぞというとき踏ん張りがきかずに右往左往するだけ。これでは周囲も困ってしまいます。
もうひとつ金科玉条としてよくいわれるものに、「キャリアをはっきりさせる」があります。ある画家が言っていました。
「成功が約束されているものに対する努力を『努力』とは言わない」
結果がわかっていることに一生懸命になるのは努力ではありません。結果にたどり着くためのプロセスでしかない。一生懸命やるのと努力とは違うのです。
今回のブログ記事では21世紀のリーダーシップ論における金科玉条をいくつか紹介しました。これらに踊らされて、ソフトアプローチで対処していこう、というのは必ずしも正しいとは限りません。たとえば、若い人に権限委譲すべきかどうか。ある局面において、これを判断できることがリーダーシップにおける大事な勘どころになります。
次号はリーダーシップ論を特集します。金科玉条に惑わされずに、ビジネスの各場面を想定しながら、論文を読むことが大切です。特集を組みながら改めて感じました。(岩崎 卓也)
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2009年2月号は1月10日発売予定です。
2009/01/06
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