今号(2008年12月号)に登場する企業からはコラボレーションの重要性が読み取れます。もともと、コラボレーションという言葉が使われ始めたのは1990年代頃からだと私は記憶しています。また、同じ頃、頻繁に組織の型がスポーツにたとえて語られるようにもなりました。決められた職務分掌を忠実にこなす「野球」型組織、与えられた役割をよりダイナミックに果たす「ラグビー」型組織、そのほか「サッカー」型組織などがあります。
また、スポーツだけでなく、組織の型は音楽にたとえられたこともあります。ドラッカーが唱えた「ジャズ・コンボ」型組織はジャズに組織をたとえています。多くのジャズの演奏は最初にテーマがあり、次にアドリブ、そして最後にテーマに戻るという形をとっています。テーマのメロディやコードはおおむね決まっていますが、ジャズはクラシックのように譜面どおり弾くものではありません。演奏者が独自の解釈を加えて演奏します。アドリブでどのようなメロディを奏でるかは演奏者の自由です。誰がどの順番でアドリブを取るのかもジャズとしての決まりはありません。基本的な決まりごとはあるものの、後は個々の自由な発想のもと能力を発揮していく。それぞれのパートが素晴らしい音を奏で、全体として優れた作品が出来上がるわけです。これがジャズ・コンボです。
スポーツにしろ、音楽にしろ、これらの組織に底流しているのはコラボレーションです。その必要性は訴えられ続けてきました。が、真のコラボレーションはなかなか実現しにくいものです。大きな理由はいくつかありますが、一つは制約理論の教えと同じで、メンバーの知識や能力の水準がある程度そろっていなければならないことにあります。
ジャズにはチャーリー・パーカー、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンスなど、数え切れないほど優れた演奏家がいます。統制が取れたアンサンブル、演奏者同士の丁丁発止のやり取り、そこから発せられる熱気、そして魅惑的な旋律など、素晴らしい音がリスナーの耳に届きます。これが実現するのは参加している全員が全員、一流だからです。演奏の出来栄えはレベルの低いところにクオリティが引きずられてしまいがちです。二流の人が集まった演奏から、一流のものは生まれにくい。1×1は1。1は何回かけても2にはなりません。
ある一定水準以上の人が、それもなるべく均一で集まっていないと真のコラボレーションは成立しにくい。ここに難しさがあるのです。このほかにもコラボレーションが難しい理由はあります。それはまた別のときにお話します。最近、音楽の世界などで、簡単に「コラボ」ということばを耳にするようになりました。でも、このたやすく出来上がったコラボレーションは真のコラボレーションといえるかどうかは別です。コラボレーションがうまくいくかどうかが結果を大きく左右します。真のコラボレーションとは何か、実現しにくい原因となるものは何か。ここを理解することが重要でしょう。今号の企業には参考になる点が多くあると、と私は思います。(岩崎 卓也)
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http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059691208
2008/11/18
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