次号(2008年12月号)に「ピクサー:創造力のプラットフォーム」という論文があります。執筆したのはエド・キャットムル氏、彼はピクサー・アニメーション・スタジオ 共同創設者兼社長です。この論文には単に「クリエイティビティとは」といったレベルの話が載っているわけではありません。「なるほど」と、納得させられる内容になっています。映画会社ピクサーはご存知の通り、制作した8作品全てをヒットさせました。このピクサーの組織文化について書かれた論文です。
ポイントは徒弟制度です。ここに意味があります。一橋大学の守島基博教授が日本経済新聞に寄稿した原稿で、OJTなどのトレーニングはタイミングが大事だと書かれていました。例えば、20代に帝王学を教えてもらった人が必ずしも優秀な経営者になるわけではありません。人のキャパシティをトレーニングによって無理にこじあけても相手の年齢によってはうまくいかないこともあるのです。
徒弟制度というと、下足番から始まって若い頃はつつましく、耐え忍ぶという場面を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。でも、私がいう徒弟制度とは、このような丁稚ではありません。師に位置する人は監督やアニメーターを束ねていくような仕事を遂行します。弟子に位置する人は監督とかアニメーターですね。師となる人はIDEOのデザイン・シンキングのように、部分と全体の両方が見える能力がないとできません。これができるようになるには、徒弟制度が必要なのだな、と改めて感じました。
自己完結できる仕事というのは、早熟はありえます。計算が速いとか、会社のデータを見て株価と会社価値を分析する、といった事項は早期にある程度の高みに達することができるでしょう。他方、組織の全体を維持しながら、部分のパフォーマンスをあげていく能力は早熟はありえない。創造性や広い視野といったものは人の成長と経験によって広がっていくものです。徒弟制度でなければ、こういった無形の能力は育っていかないのではないでしょうか。
CGによる映画を制作し、みんなを驚かせて、なおかつ、他の映画スタジオには作れないものを生み出していく。これはピクサーだからできた。自分たちには当てはまらない特異な世界だ。そのように考える方もいるかもしれません。しかし、私はそうではないと思います。ピクサーの考え方は日本でも応用できるものなのです。ポイントは「生え抜き」です。これについては、また後日書きます。(岩崎 卓也)
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http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059691208
2008/11/11
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