2008/10/24

わがままな組織

人は厳しい環境におかれると、生産性が下がる、といったことを耳にします。確かに、睡眠不足は仕事のミスを誘発することがあります。仕事量が多すぎると、モチベーションが上がらないと言う人もいるでしょう。が、「厳しい環境は生産性を下げる」という結論に対して、私は無条件でうなずくことができません。なぜなら、その調査には定点観測という概念が抜けているからです。調査が一回限りですと、個々の成長や適応能力といった要素が無視されます。

身近にあるわかりやすい例をあげるなら、『機動戦士ガンダム』の主人公、アムロ・レイを見るといいでしょう。彼のセリフに「殴ったね! オヤジにもぶたれたことないのに!」というものがあります。敵と戦うどころか、親から殴られたことすらなかった。こう言っていた彼も戦いを通じて、徐々に忍耐力がつき、たくましくなっていきます。人間は長い期間を通して、環境に適応していく力があります。とはいえ、人はすぐには変われないものです。お気楽に仕事をしていた人たちが、突然明日から心を入れ替えてしっかり働こう、となるケースはごく稀です。

以前、こちらのブログに書きましたが、人間も「飛躍しない」のです。したがって、今まで緩い環境にいた人が、突如厳しい環境に移ると、ネガティブな反応が返ってくることは当然だといえます。仕事の効率も良くないでしょう。それを見て、人は厳しい環境におかれると生産性が下がる、と結論付けるのは、いかがなものかと思うのです。そもそも、世の中には夜12時に寝て、朝5時に起きて働いている人もいます。毎日、会食で多くのカロリーを取り、車で移動している経営者もいます。同じ条件に長くいることで、悪い環境下でも高い生産性を出せる人はいるのです。

もちろん、睡眠、食事、運動など、バランスのいい生活を送れるように努力することは大切です。ライフワークバランスについて、しっかりと考えることは間違いだとは思いません。でも、そればかりに流れてしまうと、知らないうちに、わがままな組織になってしまうのではないか。そのように私は感じています。(岩崎 卓也)
posted by ダイヤモンド社 at 07:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事
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