「ワーク・ライフ・バランス」という言葉をどのように捉えていますか。仕事に偏りすぎているから生活の見直しが必要だ、といった意味で使うことが多いのではないでしょうか。仕事か家庭か、バランスを重視し、二元論的な見方でワーク・ライフ・バランスについて議論をしています。
次号(2008年10月号)に掲載した「ワーク・ライフ・バランスの実践法」では、全く異なる考え方を提唱しています。執筆者はスチュワート・D・フリードマン、ペンシルバニア大学 ウォートン・スクールの教授です。彼はアル・ゴアやジャック・ウェルチのアドバイザーを務めたこともある人です。
この論文のワーク・ライフ・バランスとは「今まで以上働き、家族もより大切にする」ことを指します。従来の労働時間を減らすことで家族との時間を増やす、といった二項対立ではありません。
「仕事」「家庭」「地域社会」、そして「自分自身」。この四領域すべてにおいて、優れた成果を追求するほうが理にかなっている。これがフリードマン氏の主張で、このことを「四正面の勝利」と呼んでいます。
具体的には9つのカテゴリーがあって、これらをうまく組み合わせることで、可能性を探っていきます。例えば、「集中と専念」というカテゴリーでは、決まった時間にデジタル機器の通信環境を遮断する。「計画と準備」では、スケジュールを誰かと共有する、日曜日の晩に一週間分の準備をする、といった具体例が並びます。
これらを実践していくことで、効率性が上がるといいます。仕事に対して今までと同じ、あるいは今まで以上のクオリティを持ち、かつ、処理能力が上がっていく。その分、浮いた時間で他のステークホルダーや家族などとの時間に充当できるようになる、という言い方をフリードマン氏はしています。実践すべき内容は目新しくないけれども、忘れがちなことばかりです。
働く上で、会社人間になりたくないからモラトリアムを宣言する人もいます。また、自分はここまで、と決めてしまう人もいます。従来のワーク・ライフ・バランスはそれぞれに主従がつけられていました。会社人間と呼ばれる人は会社が主でプライベートが従なのだ、と。そういう上下の切り分けではなく、この論文のワーク・ライフ・バランスは左右なのです。四つの領域が並んでおり、平等の中で切り分ける。ここが日本におけるワーク・ライフ・バランスの良くある議論との違いです。(岩崎 卓也)
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http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059691008
2008/09/10
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これには欧州のような「ワークシェアリング」も含めつつ
コメント、ありがとうございます。
従来のワーク・ライフ・バランスは仕事と私生活を主従といった上下の関係で捉えていますが、こちらの論文では左右で捉えます。
ポジショニングというと、左右で捉える部分もあり、こちらの論文に近いものがあるかも知れません。よろしければ、論文のほうもご参考にしてみてください。