アメリカにはユニークな心理学者がいるものです。ジョン・M・ゴットマンという人は家庭内の人間関係について研究している学者です。35年間、何千組もの夫婦を調べ、科学的な分析を重ねてきました。夫婦はどうしたら長続きして、どのような夫婦が離婚するのかを調査しているのです。HBR誌のシニア・エディターがゴットマン氏にインタビューしました。今号、2008年8月号「パートナーシップの心理学」という記事がそうです。
ゴットマン氏が何年も使っているテストに「ペーパー・タワー・タスク」というものがあります。これは対象となる夫婦に紙やセロハンテープなどを渡して、紙の塔を協力して作ってもらうのです。長続きする夫婦は短時間でペーパー・タワーをこしらえてしまうそうです。逆に、幸福な結婚生活を送っていない夫婦は時間がかかるといいます。
ゴットマン氏は職場の人間関係と夫婦関係は違うと言います。とはいえ、このインタビュー記事を読む限り、ゴットマン氏の研究は職場の人間関係にも応用できることがわかります。良好な人間関係を築くには「イエス」という言葉が大切です。以前、今号の『オンラインRPGは「協働する組織」の実験場』という論文の解説でも書きましたが、すぐその場でその行為に対してポジティブな評価をすることが大事なのです。職場でも夫婦でも、何かあったら、その場で褒めることが大切なのです。ゴットマン氏は塩が入った瓶にたとえ、瓶に「イエス」という言葉をたくさん詰めておき、塩を振るように、できる限り「イエス」を示すのだといいます。
随分前のことになりますが、人事制度をどう改定したらよいか、という意見を求められたことがあります。そのとき、従業員の評価はポイント制にしたらどうかと提案しました。仕事上でよいことをしたら、ハンコが一個もらえるのです。一定のポイトンがたまると、何かもらえます。ポイントは積み上げていくわけだから、全部が加点評価になります。ゴットマン氏は同じことを言っています。あなたのパートナーに、イエス、イエスと、ことあるごとに言いなさい。加点評価をすすめています。
ただし、言葉は心に残りますが、形には残りません。100回褒めてもらったけど職場での評価はCだった、ということがあります。どんなに褒めてもらっても、結果がA評価になるとは限りません。ハンコは100個押してもらったら、必ず何かもらえるのです。褒める、ポイントをもらうというのはプロセスです。言葉とハンコ、どちらがフェアなプロセスなのかといえば、言葉よりもハンコの数のほうだと思うのです。夫婦ならば、言葉によって褒めてもよいでしょう。が、職場で同じ加点評価をするなら、ポイント制の方がよいのではないか、などと思いながら論文を読みました。(岩崎 卓也)
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http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059690808
2008/07/19
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