2008/07/16

スポーツの理論とビジネス

ビジネスをスポーツにたとえて解説する人がいます。話を聞いていて、違和感をおぼえることがありませんか。ビジネスとスポーツには異なる部分があります。両者を同じように語っても、あてはまらない部分が出てしまいます。
種目によりますが、スポーツは個人の力が具体的に見えます。キーとなるプレーヤーが肝心な場面で満塁ホームランを打ったから勝てたというように、決定打というものがあります。が、ビジネスでは個人による決定打はあまりありません。

人事面でも、スポーツチームと企業とは異なります。社員にはプロスポーツ選手のような、シーズンごとの契約見直しが必要だという意見があります。要するに、「実力のない者は去れ」という考えをする人がいるのです。もちろん、この考え方が適している組織もあります。が、従業員を辞めさせないという、今の日本の組織は生物学的に見ても良くできていると私は思います。
ダメだと言われている人を遊ばせておきながら進める。これは必ずしも悪いことだとは言えません。細胞組織の何パーセントかは何もしない細胞でできています。身体の組織が正常に保っているのは、その何もしない細胞があるからだといわれています。全員が優秀な選手である必要はないのです。バスケットでは、精鋭ばかりを集めたドリームチームで戦っても、必ずしも上手く行くとは限りません。野球も同じです。4番バッター、スター選手だけでチームを作っても、優勝できないでしょう。

スポーツのたとえ話はわかりやすい。が、スポーツの本質はビジネスとは違うのです。ゲームも同じです。現実世界のビジネスは失敗した後、容易にリセットできないことが多いし、人は敵に攻撃されたら痛みを感じます。今号、2008年8月号の『オンラインRPGは「協働する組織」の実験場』という論文を前回こちらのブログで紹介しました。この論文は非常に面白かったのですが、私は全部を信じることはできないと伝えたのは、このような理由からです。この論文は従業員のトレーニングとして、協力のあり方をビジュアルに見せるという点では意味があると思います。が、ゲームの考え方をすべてビジネスに応用できるわけではありません。

執筆者の一人、トーマス・マローン教授はMITのスローン・スクール・オブ・マネジメントの教授です。余談になりますが、彼の息子さんは「週刊少年ジャンプ」で連載している『NARUTO -ナルト-』のファンだといいます。
マローン教授が来日したとき、あるパーティでご一緒したことがあります。乾杯の挨拶でマローン教授は、息子さんがナルトの情報交換をするために、つたない翻訳機にかけて、日本語で日本人とコミュニケーションをとっている、と言っていました。来日の際には秋葉原で買い物をしたそうです。そのおかげで今、秋葉原に一番詳しいアメリカ人は自分ではないか、とジョークを言っていました。この論文の依頼者がIBMということに加え、息子さんがナルトファンだということで、マローン教授はゲームに興味を抱いたのではないか。私はそのように思いました。(岩崎 卓也)
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http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059690808
posted by ダイヤモンド社 at 00:30| Comment(2) | TrackBack(0) | 記事
この記事へのコメント
拝読させていただき、思い出したことがあります。
ビジネス書のコーナーに、何故か野球の監督さんなどが書かれた本が平積みされることです。
野球で勝つことと、ビジネスで成功するのは別だと思うのですが、何故かこのような本はヒットします。
個人的には不思議な現象なのですが、多くのビジネスマンにとっては、分かりやすいのでしょうか?


Posted by 「日々是マーケティング」管理人 at 2008年07月28日 22:53
「日々是マーケティング」管理人 さん、

わかりやすい説明をするうえで、
たとえ話を用いることはよくあります。
ビジネス書を読む方の多くは野球もご覧になっています。
皆さまが共通して理解できることとして、
スポーツ、特に野球は有効なのでしょう。
Posted by スタッフ at 2008年08月02日 07:38
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