次号、2008年8月号に「フェア・プロセス:協力と信頼の源泉」という論文を掲載します。執筆したのはブルー・オーシャン戦略のチャン・キム教授とレネ・モボルニュ教授のおふたりです。この論文は1997年に書かれたもので、その頃はまだブルー・オーシャン戦略はありませんでした。
この論文はどうしたら人は協力するようになるのかを調査したものです。この内容を鵜呑みにすれば、人はフェアなプロセスを経た結論であるならば、たとえ自分の意に沿わないものでも、拒否することはないそうです。程度はあるが甘んじて受け入れるのだといいます。
では、どのようなものがフェアなプロセスになるのでしょうか。この論文では「エンゲージメント」が重要だとしています。エンゲージメントというのは、日本語に訳しづらいのですが、約束といってもいいし、参加の奨励といってもいい。ようするに、コミュニケーションをしっかりすることが重要だということです。この論文を読み進めていくと、フェアプロセスは手間がかかることだというのがわかります。したがって、企業ではおざなりに、そして中途半端にされがちなことだといえます。
フェアプロセスをどう実行するか、これが課題です。わが身を振り返っても、相手に対して上手く説明できないこともありました。ものごとは常に表と裏があって、アンビバレンスです。何が間違っているのか、なぜこちらのほうがいいのか。一つのことを語るにも何通りもの言い方があり、何通りもの解釈が成り立ちます。厳密に突き詰めていくと、どちらかの妥協が必要になるのだと思います。
この妥協することへの納得感は年齢と経験によって違います。私はこの論文を読んで思ったのは、妥協することにインセンティブが必要なのではないかということです。どんなにフェアなプロセスを踏んでも、物事は一元的では解決できません。どうしても多元的になる。したがって、平行線をたどることもあれば、どこかで妥協して受け入れさせる場面が出てくることもあります。結論を納得するにはギブアンドテイクというか、何らかのインセンティブが必要なのではないかと思いました。
ただし、この論文ではどうしたらいいのかというところまで書いてありません。そこまで教えてくれたら、より良い論文になるのになぁ、と思いました。
補足になりますが、このフェアプロセスというのは、ブルー・オーシャン・ストラテジーにおいても、大事なツールです。フェアプロセスは民主主義ではありません。アイデアの一番いいものに対して、個人ではなく組織、あるいはチームがコミットメントを傾けるためのツールなのです。ブルー・オーシャン戦略は最終的には他部門の人などが協力して新製品開発をする過程に至ります。部門の代表者が出てきて利害調整をしている現状があります。しかし、この調整をするからイノベーションが生まれてこないのであって、フェアプロセスを入れることで利害を脇におくことができます。
この論文を読んで、ブルー・オーシャン戦略はよく設計されていると改めて思いました。(岩崎 卓也)
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http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059690808
2008/07/09
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当社では「絆」(きずな)と訳して提案しています。
『絆』
とても素敵な訳し方ですね
絆という単語を考えてみると、色々な形の絆があるように思いました。夫婦間や、親子間の絆。友人同士や、会社仲間との絆。
同時にエンゲージメントという言葉も色々な形があるものなのかな、と思いました。
目に見えないけれども、確かにそこにあるものだからこそ人と人の間をつなぐとても大切なものなのだと思います。
「絆」はもとより、「参加」「積極的な関与」など、
訳語が多岐にわたります。
あるいは「エンゲージメント」とあえてそのまま表記して、
前後の文意から想像してもらうという場合もあります。
7月号のBrainFood「eコマースの売上げを改善するコツ」もそうでした。
いずれにしても、文脈に応じて、訳し分ける必要がある単語です。
たとえばミンツバーグはengagement leaderとか、engagement manager
といった表現を使うのですが、この場合、「絆」は使いづらいです。
そのほか、engaged〜といった用例もあります。
ちなみに、commitmentなども同じく、訳語が多岐にわたります。