今号2008年3月号は「リーダーシップ強化法」を特集として組みました。リーダーにとって人を育てることがいかに重要かは言うまでもありません。こちらのブログではいくつかの論文について触れました。人を育てるということですと、今号の「知識労働者のモチベーション心理学」をおすすめしたいですね。特集ではなく「HBR Articles」に掲載した論文です。
動機づけには内発的動要因と発的要因によるものがあるといわれています。外発的というのは給与などのインセンティブや出世することなど、目に見えるものを主に指し、内発的というのは仕事のやりがいやねぎらいの言葉などをいいます。これまで、具体的なメカニズムについての調査は工場労働者を対象にしたものが主でした。知的労働者を対象にして本格的に調査したものは多くありません。本論文は社員の動機付けと、仕事をしながら社員は何を考え、どう感じているのかに注目しました。また、結果としてそれがどう成果に影響しているのか、調査結果が出ています。
この調査では26のプロジェクト、チームに属する238人のナレッジ・ワーカーに日誌を毎日記入してもらいました。12000件に近いデータを分析したのがこの論文です。結論から言うと、外発的な要因はその人の動機付けにあまり影響しなくて、内発的な要因のほうが動機付けとして大きい。上司の行動が社員のみならず、チームや企業のパフォーマンスに大きく影響していることが明らかになったとあります。
確かに、その通りだと私は思います。しかし、その一方で私はやはり皆、お金が欲しいという側面があるのも事実だと感じています。アメリカだけでなく中国でも若い人がベンチャーをやるのはなぜか。それはお金が欲しいからという理由が一つとしてあるのではないでしょうか。他人より頭一歩抜き出たいという点では外発的も内発的も同じですが、やはり金が欲しいのです。あるいは、日本人の場合は外発的要因である出世も大きな影響を及ぼすでしょう。
本論文の調査結果などには興味深いものがありますが、読者の中に違和感を覚える方もいるかもしれません。それぞれ価値観は多様です。異論があるかもしれませんが、本論は人を育てることをテーマにしている点、しかも知的労働者が何を考えているのか、具体的な手法や分析結果などが記載されている、といった面白さもあります。よろしければ一読をおすすめします。(岩崎 卓也)
2008/02/20
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内発的動機付けは非常に重要だと思います。たとえば、インド、中国のように生活レベルや収入が数年前と比較して数倍になるような国民が増えてくると、俺も、俺もと今以上の生活レベルを目指すことが、その人たちの内発的な動機なのかもしれません。かたや日本の場合は、たとえば「あなた来月から管理職ね!」と言った場合に、会社を辞める人がいるかと思えば、自己評価と上司評価のギャップに落ち込んでしまう人もいます。他者評価が自分そのものの価値と勘違いしてしまい、自分の価値を高めるのではなく、上司の評価を高めるためには何をすればよいのか、といったムダな努力(当人にとっては有効なのでしょう)をしてしまうひともいます。
今、私は、内発的な動機で会社が果たして変わるか、という自分でも「無茶?」と思える取組みを行っています。
そこで、いつも議論になるのは”評価”です。この活動に参加すれば会社は評価してくれますか?という質問を社員から受けますが、残念ながら評価されません、と回答すると、ではやらない、という人と、でも”やる”という人が出てきます。この違いは何なのか?良くわかりません。しかしながら三年間の取り組で解ったのは、上司の指示や会社の方針よりも、個々人の内発的な動機によって行動した場合のほうが、楽しく、意味のある仕事をする、ということで、内発的な動機の重要性は本当に良く理解できます。
が、どうすれば内発的な動機を高めることができるのか、という点が未知です。上司のかかわり方ももちろん大きいことはわかりました。でも、どうすれば内発的動機が高まるのか?今自問自答中です。H20度の目標が、この内発的動機を高める、ことだからです。是非とも、特集で、連続で、この内発的動機付け、高める、ことについて取り上げてください。
宜しくお願いします。
2008年8月号では、評価について触れた論文を掲載しています。ご要望の内発的動機付けが主ではありませんが、ブログの記事でも岩崎が評価について触れています。よろしければご覧になってください。