2008/01/23

耳にする機会が減った言葉

最近、「お客さま」という言葉を耳にすることが減ったように思いますが、いかがでしょうか。「お客さま主義」は充分浸透したので話題にならなくなったというわけではないでしょう。まわりを見渡しても、「お客さま主義」に関して飛びぬけていると感じさせる企業はあまりありません。お客さまという言葉が出てこないのはなぜなのでしょう。

「DHBR」2006年7月号では、ドイツを特集しました。そのとき、ドイツの新聞に「株主価値」という言葉がいくつ出てくるのか数えたという話がありました。日本でも「株主価値」といった言葉が多く登場するようになり、ある意味、企業は株主のものになったと感じることが増えました。ここ10年、株主という言葉が増えるのに反比例するかのように、お客さまという言葉が減っているように思います。もちろん、松下電器の商品回収などにみられるように、手厚く顧客対応をしている企業もあります。また、以前と比べてコンプライアンスの問題から、顧客にきちんと対応しなければならないという認識が高まった部分もあるでしょう。

時代の流れでしょうか。「顧客目線が……」といった言葉をあまり口にしなくなったように思えます。書籍にしても、「お客様主義」をテーマにしたものは、そんなに売れていかない傾向があります。以前ならば「顧客価値」といったことをテーマにすれば、ある程度部数が出ていました。今はそうではないのです。ここに私はなんともいえない不安感や寂しさを感じずにはいられません。

不況になると、お客様という言葉がよく出る、という方もいます。景気先行きについては日銀をはじめ、さまざまな予測が出されています。が、現在のところ、利益を出し、経営が安泰している企業は多くあります。このような状況下、株主は業績について文句は言わないが、お客さまは非常に不満を抱いている、といったケースが実は多いのではないでしょうか。ここで、また、不況になったら、「お客さま」のほうに目が向き、企業は盛んに「お客さま」という言葉を口にするようになるのでしょうか。「お客さま」という言葉が増えるのは良いのですが、それはそれでどうかという気もしています。(岩崎 卓也)
posted by ダイヤモンド社 at 08:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事
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