2007/12/28

Y理論は万能か

「週刊ダイヤモンド」12/29・1/5合併号では京セラ名誉会長の稲盛氏がインタビューに答えています。その中のくだりに次のような一文があります。
〈成果主義は、金銭欲を刺激して人を動かそうとする卑しい施策で、私は「導入すべきではない」と主張してきました〉
これを読んで、さすが稲盛さんだと思いました。

次号のDHBRはリーダーシップを特集します。人々の自発性を促し、その勤労意欲とパフォーマンスを向上させることは大きなテーマの一つです。次号のDHBRに『Y理論は万能ではない』という論文を掲載します。ご存知の方も多いと思いますが、X理論とY理論について簡単に説明しておきましょう。X理論とは性悪説で、人はもともと怠け者で働くことが嫌い。従って、管理しなければいけない、と考えます。(ここでいう管理というのは監督を意味します)。他方、Y理論はそうではなく性善説です。人は自由にやらせてあげて、それで動機づけをしようとするのがY理論です。ダグラス・マグレガーが提唱しました。

戦後の日本では高度成長期が終わった頃から、ドラッカーのナレッジワーカーが出て来ました。この頃からY理論でなければいけないという考え方がホワイトカラーの現場において言われ始めました。最近よく言われることに「部下はほめなければいけない」「自由奔放に好きなことをやらせてあげよう」「叱ったりしない」「任せる」「権限委譲」といったことが推奨されています。ある意味、Y理論は万能だというような風潮さえあります。

ところが、次号掲載するこの論文では「Y理論は万能ではありません」と言っているのです。本論ではある実験が紹介されています。比較実験なのですが、結果には興味深いものがありました。実験の対象となる工場では、二つのうち一つはしっかり管理し、もう一つは工員に対して自由奔放にやらせたのです。研究所も同じように二つ、管理しているところと本人の自立性に委ねているところを比較しました。Y理論が万能ならば、工場、研究所、コールセンター、営業、本社スタッフなんでもY理論でやればいい結果が出るはずです。
実験の結果どうだったのでしょうか。工場はきちんと行き届いた管理をしたほうが動機付けもなされる。モラルや意欲も高いという結果が出たのです。その反面、研究所は自由にやらせたほうがいいという結果が出ました。Y理論は万能ではない。だからといって、冒頭で触れた稲盛さんがおっしゃった通り、金銭欲を刺激して人を動かせばよいというものでもありません。

私はこの論文を読んでY理論だけでなく、成果主義も有効な職種とそうではない職種があると感じました。例えば、コールセンターや顧客の窓口対応など、顧客接点に関する仕事はどうなのでしょうか。リッツカールトンのように顧客接点の部署にも、自由奔放な裁量に任せている企業もあります。裁量権で使えるお金もある程度与えています。でも、基本的にルールに則ってしなければならない仕事ってあると思います。成果主義の話の続きは次回にゆずります。(岩崎 卓也)

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今年は今回で更新は最後になります。一年間、弊誌およびこちらのブログとご購読いただき感謝しております。ありがとうございます。
次号、2008年2月号は1月10日に発売予定です。こちらのブログは2008年1月4日からスタートとなります。来年もお越しをお待ちしております。
posted by ダイヤモンド社 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事
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