2007/12/07

戦略的と受動的の違い

次号の特集では、マイケル・ポーターの「競争優位のCSR戦略」という論文を巻頭に置きました。この論文では、事業活動とCSRを有機的に関連付け事業を伸ばすことの重要さを説いています。さらにポーターは社会に役立つようなCSRの展開が必要だ、と事例をあげながら解説をしています。この論文には「受動的CSR」と「戦略的CSR」ということばが出てきます。事業に対して関連の乏しいものを「受動的CSR」と呼び、それを超越したものを「戦略的CSR」と言っています。

今まで、日本のチャリティというと、創業者の意思で行っているものがほとんどでした。創業者が作った財団はたくさんあります。本業とは関係がないものですと、創業者でないと決断を下しにくいものです。今後は、社長が創業者の血を引いている場合でも、社長個人の意思でチャリティに会社のお金を使うことは難しいケースが増えるでしょう。会社のお金は株主からお預かりしているものだ、という考えが強くなっています。これからは、ポーターがこの論文で言っているような文脈で「戦略的CSR」を展開していくのが恐らく一番良いのでしょう。

ただ、この論文を金科玉条にするというのはいかがなものかと思うわけです。基本的には、日本企業の場合でも、「戦略的CSR」を展開していくことを意識すべきことに間違いはないと思います。ただ、100パーセント常にそうだと断言しきれない部分もあるのではないかという気がしています。私は日本企業においては、「受動的CSR」でも良い場合があるのではないかと思っています。

例えば、知的障害者の雇用を積極的に行いたいときに、「受動的CSR」だから、本業と関係ないから、といったことを理由に組織として賛同を得られなかったとします。これはジレンマになるわけです。また、温暖化対策についても経営に貢献するCSRじゃないとダメだ、と言われたとします。そうなると、事業に関係ないことならば、問題があっても気づかなくても良いのだ、といったロジック入ってしまうでしょう。社会の一員として、やらなければならないことに気づいたとき、自分の事業に関係ないからやらない、という理屈にいってしまうのはイヤだな、と思うのは私だけしょうか。
「受動的CSR」と「戦略的CSR」、企業のCSRをどのようにすすめていくべきなのか。
この論文はお読みになった方によって、それぞれ意見が分かれるものだと思います。(岩崎 卓也)

※「DHBR 2008年1月号」の発売は12月10日(月)です。
posted by ダイヤモンド社 at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事
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