最近、読んで面白かったと感じた本は、国際基督教大学教養学部教授の村上 陽一郎先生がお書きになった『やりなおし教養講座』(NTT出版)です。日本ではリベラルアーツを教える学校がICU以外ひとつもないといいます。アメリカはハーバード大学やアイビー・リーグに属する大学でもリベラルアーツの教育を行っています。その上に立っているのが専門職大学院です。
一方、日本は学部の時に専門科目を教えています。私は商学部でしたが、大学の時にマーケティングや経営史などを専門科目の授業で学びました。これらの科目で使う教科書はビジネススクールで教えているものと同じなのです。私はマーケティングについて、最初はコトラーやジェローム・マッカーシーの「4P」を学んだと記憶しています。ビジネススクールでも、最初にこれらを学ぶ場合が多くあります。ビジネススクールというのは教育の提供方法が違うだけで、コンテンツは大学の学部とさほど変わらないのではないかと思うときがあります。ビジネススクールは実例を使って授業をしているので、単に「変らない」というよりかは、「教えている学問体系についてはそんなに変わりがない」というほうが正しいのかもしれません。
確かに、授業の中身はビジネススクールのほうが、気がきいていると思います。組織論を勉強するにしても、ビジネススクールは事例を使うといった工夫があります。また、学生が入学する動機も違います。一緒に学ぶクラスメイトは社会人として経験を積んだ人たちですから、議論も高次元になっています。ワーキンググループスタイルをとっており、大学の学部のように大箱で一方的に聞くものではない点もビジネススクールの特徴です。学部で充分勉強しなかった人が卒業後、ビジネススクールにもう一回通って、2年間で効率的に勉強するというのは価値のあることだと思います。
村上先生の問題提起から考えると、アメリカにおけるビジネススクールと日本におけるビジネススクールの存在とでは、大きく違うのではないかと思います。アメリカは職業訓練校としてビジネススクールが生まれました。村上先生がおっしゃるように、アメリカの大学院はリベラルアーツを踏まえた後で専門教育を行っているのですが、日本は専門教育の上にまた専門教育を行っいます。ここが異なる点だといえます。
ということだとすると、企業はビジネススクールだけではなくて、大学の授業にも、もっとコミットすれば意外と良いのではないかとこの本を読んで感じました。(岩崎 卓也)
2007/11/24
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