前回、『組織は「約束」の集合体である』という今号の論文を紹介しました。信頼関係のうえに約束が何回守られたかで信用関係が成立することに触れました。身近な例でいうと、クレジットカードの支払いがありますね。遅れることなく何年間も続けて使い、一定の要件にあてはまれば、ゴールド、プラチナ、黒といった色のカードをすすめられるでしょう。単なる信頼関係ではなく、信用を積み上げていくことが重要なのです。そのプロセスに約束を守ることは欠かせません。
信用と権限委譲は非常に密接な関係にあると思います。私は権限移譲について、どうもおかしいと、前々から思っていることがあります。
まわりを見渡すと、派手なパフォーマンスもなく地味だが堅実に仕事を行っている人、そんな人がいることに気づかされます。ひとつの部署に一人くらいはいることでしょう。あるとき、その人に大きな仕事が舞い込んできたとします。すると、中には、「実力はオレの方が上だ」「なんで私には権限がもらえないのか」と不満を抱く人が出てくるのを目にするときがあります。
信用のない人に権限は委譲されないと私は思うのです。派手に自己アピールすることではなく、約束をどれだけ履行しているかというところに、権限の委譲はかかわってくるのではないでしょうか。
約束というのは非常に小さなものからあるわけですね。たとえば、電話番をするといったことも含まれます。積もり重ならないと、高い信用は得られない。信用のない人に良い仕事が回ってこないのは当然なのだろうと私は思うのです。
社会的な共同体である組織において、信用というものに無頓着なケースが多いと感じるときがあります。
私達の周りにはたくさんの課題があります。権限委譲ができない、組織としてビジョンがなかなか定着しかないといったことのほか、人事上の問題など、企業によってそれぞれ異なることと思います。それでも、これらの問題は意外と約束に帰結していくのではないでしょうか。そのような視点で『組織は「約束」の集合体である』を読むと、この論文は面白い。良い論文だと思いました。(岩崎 卓也)
2007/11/21
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