今号、おすすめしたい論文のひとつに“Promise-Based Management”(原タイトル )があります。日本語のタイトルは『組織は「約束」の集合体である』としました。組織とは何か? という問いに対する答えとして、今日ではさまざまなことがいわれています。一橋大学の野中郁次郎先生は「企業という組織は知の集合体である」と言いました。ソニーの出井さんは以前、「企業というのは情報でできている」と言ったことがあります。また、1978年にノーベル経済学賞を受賞したハーバート・サイモンの弟子、ジェイ・ガルブレスは「組織というものは情報処理マシンだ」と言っています。
この論文では情報や知、情報処理マシンというところを超えて、組織とは約束を履行することで成立するもの、日本語タイトルにもしました『組織は「約束」の集合体である』、と言っています。約束というと、広義にはコンプライアンス、法令順守といったところを意味するのでしょう。この論文ではむしろ狭義に日常的な人間対人間の約束、部門対部門の約束を指しています。
人間同士、信頼関係を築くうえで、約束というものは大きな意味を持ちます。約束のなかでも、小さなものから大事な約束まで重要度によって守られる頻度が変ってきます。ときどき、約束が守られていないのを目にすることもあります。そのたび、約束は意外とないがしろにされているのではないか、と感じます。
私達は人と接するときに、基本的に信頼関係はあることが前提条件になっています。信頼関係のうえに約束が何回も守られていくと、やがて信用関係が出来上がっていきます。たとえば、私達の多くは信頼関係のもとにお金を借りることができます。しかし、お金を借りて返さなければ信用は得られないわけです。ある顧客がカードで買い物をしたとします。その金額が大きければ、カード会社はその人のことを良いお客さんだと判断することでしょう。しかし、その人がお金を返さなかったら、債務不履行者だということになります。そうなるとどんどん限度額が下がって、場合によってはもうお金を貸さないことにもなります。
小さなことでもよいのです。約束を守ることで互いの信用が生まれてきます。社内の人間関係上で信用を得ることは大切です。約束のマネジメントに優れることが重要なのです。この論稿では約束のマネジメントについて解説しています。しっかりした約束のマネジメントができれば、組織はさまざまなことができるようになります。例えば何があるか? それは次回、お話いたします。(岩崎 卓也)
2007/11/17
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