今号の特集に「バリュー・キャプターの戦略」という論文があります。これは新規事業において多くの組織がおかしているミスについて指摘しています。
新規事業を開始するにあたり、ビジネスパーソンの多くは計画書を作ります。ビジネスプランを書き、それに応じた予算を獲得し、人の調達を行うといったことをするのが一般的です。
プロジェクトがスタートした後は、半年ごと、あるいは1年ごとに置かれたマイルストーンにて、進捗や市場の見込みなどが検討され、継続か中止かの二者択一の判断が行われています。仮にめでたく製品、サービス等を市場に出すことができても、思ったほど売れなかったら打ち切りになります。常に、事業には打ち切りという判断が付きまとっているのです。
この論稿に登場するバリュー・キャプターと呼ばれる会社はそうではありません。具体的にどこが違うのか? バリュー・キャプターについて詳しく紹介したものが本論です。論稿の執筆者は過去16年間にわたり10社以上もの企業について調査を続け結論を導いています。対象となった企業には、3M、デュポン、IBMなどが名を連ねています。
そもそも新規事業は計画通りに進まないものだ、とバリュー・キャプターは考えます。中止を決定する前に方向転換すれば、良い方へ向かうのではないか? といったことを前提にプロジェクトをまわしているのです。
具体的には、スピン・オフ、スピン・イン、救済といったことで価値を抽出していきます。例えば、プロジェクトを打ち切って損切りをするのではなく、開発している最中に得られた新しい技術や特許を売ってしまってもよいのではないか、といった柔軟な考え方をするのです。
方向転換をすることで全く違うものが生まれます。当初の予定から全く違うものになっても構わない、とバリュー・キャプターは考えます。さらに、会社にとって必要性のない門外漢な事業が生まれた場合はスピン・オフをすすればいい。また、補完的な製品やサービスを組み合わしたら、自社のドメインの中で強力なポジション作れるかもしれない、そのように判断したときはジョイントベンチャーを行うこともあります。スピン・オフ、スピン・イン、救済といったことを用いれば、新規事業が思うようにうまく行かなかったときでも、携わっている人が傷つかなくてもすむ。これもひとつのメリットです。
いったん始めた新規事業を状況において継続させていく。新規事業というものは失敗させるものではなく、何とか成功させるものだ、という考え方を持っているのがバリュー・キャプターなのです。(岩崎 卓也)
2007/11/14
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