振り返ってみると、今号では改めて企業文化の重要性を知らされました。とくに強く響いたのはリーバイスの事例を知ったときです。今号ではジーンズの〈リーバイス〉を主力製品とするリーバイ・ストラウス・アンド・カンパニー(以下、リーバイス)の事例を掲載しました。
企業経営を続けていると、曲がり角に来ることはよくあります。変革が必要になっていることはわかっていても、企業文化を変えていくことは容易ではありません。ソフト面での変革を行うのには時間がかかります。オフィスのレイアウトを変えるのとはわけが違います。経営トップは頭を痛めるのです。リーバイスは現在会長職に就いているロバート・ハースが社長だった1985年、MBO(マネジメント・バイアウト)によって、株式を非公開にしています。企業が変革をするとき、privatization(プライベータゼーション)というのは一つの手法として有効なのだと思いました。
リーバイスはMBOを実施した後、「アスピレーション」の起草を行っていきます。これは経営陣と従業員が共有する価値観を定義する一大プロジェクトです。
人間としての尊厳を大切にしましょう。
多様性を尊重しましょう。
彼ら彼女らは原点に戻って、もう一度企業文化を立て直していくのです。アパレルメーカーだからできた部分もあるのでしょう。さらには、MBOを行ってプライベータゼーションを行ったことが価値観の共有といった企業文化にかかわる部分の改革を成功させた根底にあるのではないかと私は思いました。
もうひとつ、掲載されている事例を紹介します。ナイキです。もともと同社はブルー・リボン・スポーツという名前の会社でした。社員のほぼ全員が陸上競技の経験者で、各分野のトップ選手を対象に製品を作っていたのです。ところが、80年代半ば、ナイキの業績に急ブレーキがかかりました。エアロビクス市場、カジュアル・シューズ市場での失敗などの問題を抱えていたのです。ナイキは自問自答をします。そして、マーケティングを忘れていたことに気づき、舵を切っていくのです。
今号に掲載した「マーケティング・フォーカスの転換」はナイキのフィル・ナイト氏(共同創設者兼会長)のインタビューになっています。ここではナイキが企業文化を変えていく様子が明らかになっています。
2007年11月号「一流の経営」は40余社の事例を掲載しました。優れた企業がそれぞれの場面で、どのような経営を行っていったのか。資料性大ともいえる特集になったと自負しております。(岩崎 卓也)
※「DHBR」2007年11月号 10月10日発売です。
一冊からお求めになれます。
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059691107
2007/10/10
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