2007/09/12

儲からないお客様につくしなさい

弊誌の“FROM the EDITORS”というコーナーには、編集部からのメッセージを掲載させていただいています。今月号、このコーナーの原稿を執筆しているとき思い出したことがあります。それは山中〓(かん)氏の言葉です。氏は「百貨店経営の神様」とあがめられた経営者で、私はお亡くなりになる前に一度お会いしたことがあります。
「儲かるお客様から本当に儲けるためには、儲からないお客様につくしなさい」
 山中氏はこのようにおっしゃっていました。

「このお客はあまり儲けさせてくれないから、そのお金に見合う程度の事しかやらない」
効率のよいやり方のように思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこれは駄目だということなのです。山中氏にとって、お客様をランク付けして対応を分けて付き合うなんて言語道断だということです。儲からないお客様にも儲けさせてくれるお客様と同じように接することが大事なのです。そうしないと本当にいいサービスは身に付かないのです。商売の原則からいうと、儲かるお客様というのは全体の2割程度、儲からないお客様は8割います。儲かるお客様が利益の8割を稼いでいるわけで、ここにも2:8の法則が当てはまります。ということは10回お客様が来るとしたら、そのうち儲かるお客様は2回だけしか来ないのです。

この人は儲からない客だとして、8回も質の低いサービスをしている店員のところに、良いお客が来たからといって突然良いサービスができるでしょうか。サービスのレベルを変える。これは本当良いサービスを身に付けている人のやることではないはずです。そもそも、良いサービスは反復して行ったほうがサービスを提供する人も苦にならないはずです。

要するに全力を尽くしましょうということです。全力を尽くさずにいると、本当に尽くさなくてはならないときに全力を出せなくなってしまうのです。80%をサボっている人が残りの20%、大切なお客様が来たときに本当にいいサービスができるのかどうか。サボっていた身体でベストパフォーマンスは出せないでしょう。

他方、顧客対応の質を上げるならマニュアル整備に力を入れるべき、という考え方も一つあります。もちろん、業種によってマニュアルはどうしても必要になってくると思いますが、それに頼っていていいのかということです。またマニュアルを作ったら、作り放しでいいのかという問題もあります。トヨタがトヨタでありつづけているのは、マニュアルを常に改善しているからでもあるのです。マニュアルを日々改善していけばいくほど、例外が減っていってクオリティーが上がっていくということなのではないでしょうか。
今月号の“FROM the EDITORS”は、『お客様主義は「永遠の課題」』というタイトルをつけました。執筆に当たっては、山中かん氏のことを思いながら書いた部分もありました。(岩崎 卓也)

2007年10月号 9月10日発売 定価2,000円(税込)
特集:「お客様主義」経営論

一冊から購入できます。
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059691007
posted by ダイヤモンド社 at 08:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 記事
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