次号、2007年10月号の特集は「お客様主義 経営論」です。9月10日発売となります。弊誌の歴史の中でも、変わったタイトルです。なせ、このタイトルにしたのかというと、ここ10年来、お客様が一番大事なのだという気運が高まっていないのではないか、そのような疑問を感じているからです。
サービス業にいらっしゃる方は「顧客」「消費者」という言葉を日常的に使うことはないと思います。「お客様」と呼んでいるはずです。「顧客」「消費者」って冷たい言い方だと思いませんか。伊勢丹の有名な言葉で「お買い場」というものがあります。商品の「売り場」ではなく、お客様がお買いになる場所という、お客様の視点から物を見ていることが伝わってくる言葉なのです。このような言霊を定着させていくことが、経営においては大事だと常々いわれていたのですが、最近忘れられているのではないでしょうか。
21世紀になってから、ビジネスジャーゴンにはお客様関連のものがみあたりません。ビジネスジャーゴンはITが流行っているときは、売らんがためのものでした。ことお客様にかかわるもので、企業の怠慢を戒めるようなものはほとんどありませんでした。そこで、原点に帰るという意味を含めて、日本企業が大事にしていた、「お客様」と呼んでいる言葉をもう一度使ってみようということで、今号のタイトルををつけたのです。
つきつめていえば、お客様を第一に考えるということは、企業で一番大切なことだと思うのです。日本の経営スタイル、風土に合っていることでもあります。ところが、90年代後半から、株主価値経営がいわれ始め、知らないうちに顧客主義が軽んじられてきたな、ということは多くの人が実感しているところだと思います。
そんななか、バリュー・ベースド・マネジメント(VBM)という言葉が出てきて、ビジネスモデル、企業内部の仕組みを変えていかなくてはならないという考えが強くなってきました。もちろん、これらは大切なことです。かといって効率を優先する、自社の仕組みや事情を優先してやって良いということはありえないのです。
正直、私自身、自分の会社を省みたとき、天につばを吐くような気持ちにさせられます。出版、テレビなど、マスメディアにはお客様という言葉がない。読者であり視聴者なのです。創る人と読む人、観る人なのです。
出版社が大切にしているステークホルダーは、書店であり、校正、ライターなどのスタッフです。エンドユーザーとの接点がしっかりとなされていないのです。もちろん、お客様を大事にしていないとはいいませんが、一番大事にいているかどうか、その部分について自分自身を含め再度考え直したい、これが今号のテーマです。(岩崎 卓也)
2007/09/05
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