2007/07/11

ブルー・オーシャン戦略とポーター戦略論

ブルー・オーシャン戦略について「マユツバ」「アトヅケ」といった声を耳にすることがあります。しかし、このような声が出るのはブルー・オーシャン戦略が誤解されていることのあらわれなのではないでしょうか。2007年8月号の特集は「製品開発力のプロフェッショナル」です。特集のなかでも「ブルー・オーシャン戦略の方法論」は、誤解に対して決着をつける意味でも重要な論稿として位置づけられています。

このブルー・オーシャン戦略が紹介されたのは「Harvard Business Review」アメリカ本誌です。「HBR」はポーター原理主義とでもいいましょうか、ポーターの言っていることを批判するような論文はまず通りません。実は、このブルー・オーシャン戦略というのはポーター戦略論を否定する部分を持っています。このような論文は「HBR」ではまず通りません。従って、ポーター批判の部分は論文の中には現れないのです。これがブルー・オーシャン戦略が誤解されるひとつの理由になっています。

ブルー・オーシャン戦略を理解するには、ポーターの戦略論と比較するのがいちばんわかりやすいと思います。マイケル・ポーターの戦略論の前提は差別戦略とコストリーダーシップは両立しない、トレード・オフの関係にあるということです。ところが、ブルー・オーシャン戦略はこの両者を両立させるものなのです。ここがポーター戦略論と異なる部分だといえます。

製品の時間の経過に伴う市場への浸透度はベルカーブに従います。イメージが湧かない方は、「DHBR」の論稿に図版が掲載されていますので、実物を手にとってご覧ください。新製品が発売されると、新しい物好きの人たちがまずは購入します。徐々に市場に浸透していき、キャズムをこえるところで、ベルカーブは一気に上がっていきます。もちろん、なかには右肩上がりにならずに死滅していくものもあります。このベルカーブを早い段階でいきなりあげるものがブルー・オーシャン戦略だといえます。右のほうに位置している山の頂上をぐっと左に持っていくのです。そんなことができるのか? というご意見もあるでしょう。これらは理論的にもちゃんと合っていて再現性もあります。

このようなことは、単行本の『ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する』やハーバード・ビジネス・レビューに掲載された論稿には載っていないことです。今月号の弊誌に掲載された「ブルー・オーシャン戦略の方法論」では、今まで語られなかった部分についてまで、掟破りともいえる論を展開しています。執筆者である安部義彦氏(金沢工業大学大学院 客員教授)はMBAのとき、INSEADで提唱者であるチャン・キム氏に師事していた人です。ブルー・オーシャン戦略をもっとも正しく理解している人のひとりだといえるでしょう。氏の「ブルー・オーシャン戦略の方法論」によって、今まであったブルー・オーシャン戦略の誤解を正すことができたのではないか、と私は自負しています。(岩崎 卓也)

*「DHBR」2007年8月号は7月10日に発売されました。
posted by ダイヤモンド社 at 08:25| Comment(0) | TrackBack(3) | 記事
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※半角英数字のみのコメントは書き込みができないようになっています。

この記事へのTrackBack URL

※半角英数字のみのトラックバックは受信されないようになっています。

ブルー・オーシャン戦略とポーター戦略論
Excerpt: ブルー・オーシャン戦略とポーター戦略論http://dhbr.hontsuna.net/article/1897830.htmlハーバードビジネスレビューのブログのエントリーです。「HBR」はポーター
Weblog: 医療経営コンサルタントのつぶやき
Tracked: 2007-07-11 19:59

『ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する』 W・チャン・キム (著), レネ・モボルニュ (著), 有賀 裕子 (翻訳)
Excerpt: 多くの企業は「レッド・オーシャン」の中で、広く知れ渡った経営戦略論をルールとして...
Weblog: エンジェル投資向上委員会
Tracked: 2007-12-16 06:14

「ブルー・オーシャン戦略」(W・チャン・キム, レネ・モボルニュ)レビュー
Excerpt: ブルー・オーシャン戦略は、私の周囲でも流行り言葉のように使われています。一言で言えば、競争のない市場を開拓し、新たな需要を創造し、従来の競争を無意味にする。その際、技術革新は伴わず、コストを抑えながら...
Weblog: 厳選書評ブログ
Tracked: 2008-03-14 23:25