2月号に掲載した「競争は戦略の目的ではない」という論稿は大前研一氏がHBR誌に寄稿したもので、未翻訳となっていたものです。この論稿で大前氏は、お客さんを満足させるために戦略を組まなければならない。優先させるべきものは「顧客ニーズ」だというのです。
「ライバルに勝つ」、「有利なポジションをとる」といったことを目標に戦略を組むのではない。お客さんにとってポジション取りなんてどうでもいいことだ。
大前氏は有利なポジションは考えなくてはならないが、それは戦略のスタート点ではないと言っています。論稿に登場する事例は花王のバブといった古いものですが、今読むとかえって新鮮に感じられます。
この古くに書かれた論文に私が新しさを感じたのは、普段の生活の中で、「顧客のことを考えていないなぁ」、という場面をよく目にするからなのでしょう。私は思うのですが、消費財の営業は土日も休まずに働くべきではないでしょうか。お客さんは土日に買い物をするのです。三時になると銀行がシャッターを下ろすように、休みの日になったら営業が仕事のことは知りません、というのでは困るのです。これは労働組合などの関係から、営業担当ご本人の意思では決められない問題ではあります。しかし、商品は土日に動いていることを忘れてはいけないのです。ここに私は顧客に対する配慮が不足しているように思えます。
話は変わりますが、最近、労働、賃金のあり方、残業代についての議論を耳にします。時間労働というものは、自分の仕事を他人ごとにしてしまうように見えるのです。自分で起業しようとする人は残業代のことは気にしないでしょう。ですから、自分と会社は時間軸で契約している、という考え方は違うような気がします。つまり、労働と資本を分けてしまっていることに対して、疑問を感じるのです。
確かに、会社員は経営全般の権限を与えられてはいません。が、自分の仕事については、オーナーシップを持ったほうがいいと私は思うのです。そのオーナーシップという前提に立ったら、時間という概念で仕事をしないほうが、お客さんがハッピーになるのではないかという気がしてなりません。労働、賃金のあり方について議論をするとき、雇用主と雇用者の間には、お客という視点がないのです。「競争は戦略の目的ではない」、この論稿の主張が当てはまるものは戦略を組む部門にいる人だけではありません。それは営業や人事など、いろいろな仕事をしている人に当てはまるのです。(岩崎 卓也)
2007/01/26
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お客、という立場から見れば、
時間の制限はないに越したことはありません。
銀行も、役所も、そしてスーパーも、
365日24時間開いていれば当然便利です。
ですが、一労働者という立場で見れば、
また見方は変わってきます。
お客様が大事なのは変わりないでしょうが、
みんなが仕事第一、人生を仕事全てにかけているわけではないと思います。
自分で起業しようとする人は、当然の如く仕事第一でしょうが、
それはやはり経営者からのものの見方?
自分の仕事については、オーナーシップを持ったほうがいい、
というのは間違いではないと思います。
当然その方が、自分の仕事に対して責任をもてるでしょうけれど、
もし雇用契約から時間という概念、制約をなくしたとき、
一体何が起こるでしょうか?
お客様第一は聞こえはいいですが、
経営者のお客様第一という声の下、
長時間労働を強いられる労働者の増加、という構図が見えてきます。
更なる長時間労働、過労死の増加などに繋がりはしないでしょうか?
自分の仕事にオーナーシップを持つ、という前向きな考え方
はいいですが、それを悪用する経営者は当然の如く出てきます。
やはり時間での制約は外すべきではないと思います。
労働者はロボットではありません。
週末も営業すべき、であれば
例えばシフト勤務にするなど、
経営者側が工夫をするべきではないでしょうか?
お客さんも普段は会社員だったりするのです。
>経営者のお客様第一という声の下、
>長時間労働を強いられる労働者の増加、という構図が見えてきます。
>
確かにその通りだと思います。ただ、原稿の前提には、ES(従業員満足)なくして、CS(顧客満足)を追求しても上手くいかない。このような事項があると思われます。ご指摘の通り、「悪用する経営者」「長時間労働を強いる経営者」は出現するかもしれません。しかし、しっかりと勉強された経営者やきちんとした考えを持っているリーダーならば、「ES」と「CS」のバランスの大切さを知っているはずです。結局、搾取することだけを考えているリーダーは一時的に利益を大きくすることは出来ても、好業績を継続することは 難しいのではないかと個人的には思います。