日本では、「株主価値経営」「メーキングマネー」といった姿勢に対してどちらかというと批判的です。このような風潮は日本だけでなくドイツにも同じように存在します。ただ、両国間には若干の違いがあり、日本は批判の対象がライブドア、村上ファンドといった若手であるのに対し、ドイツは伝統的な企業のトップが非難されました。
小誌7月号「曲がり角のドイツ的経営」にあるとおり、ドイツは日本と同じように、長年にわたって金融機関が株式の持合などを行ってきました。この論稿の執筆者であるコーネリア・ガイスラー氏は、HBRドイツ版である『ハーバード・ビジネス・マネージャー』のシニア・エディターですが、ドイツが少しずつ変化していった様子を以下のように述べています。
〈しかし、資本市場のグローバル化に伴い、ドイツ産業界のリーダー企業はアングロサクソン流の経営モデルに傾いていった〉
近代経営イコール株主価値経営となっていったドイツ。そのような状況のもと、日本でM&Aが話題になったようにドイツでも買収が話題となります。
2000年、イギリスのボーダフォン(現ボーダフォン・グループ)がドイツの名門企業マンネスマンを買収しようとしたのです。当時の社長、エッサー氏は懸命にこのTOBを阻止しようと踏ん張りました。ところが、最終的に彼は多額の退職慰労金で説き伏せられマンネスマンを去ることに。マンネスマンの移動体通信部門はボーダフォンの軍門に下ってしまったのです。
〈この裏切りはドイツ国民の気分を多いに害するものだった〉
その後、ドイツ国民の批判は、マンネスマンの社長であったエッサー氏に集中します。
今月号は、株主価値経営、株価、M&Aなどとドイツの関係をクローズアップしています。これらの論稿が読者にとって、これからの日本のあり方を考えるきっかけとなればと願っております。
2006/06/16
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