先日、斎藤顕一さんが当社の講演会でお話しをされました。その中で、興味深い事項がありました。斎藤さんはビジネスブレークスルー大学院大学の教授、ならびにフォアサイト・アンド・カンパニーの代表取締役でもおられる方です。講演では、若いときから苦労をしておくのか、あるいは年をとってから苦労するのか、といったことについて触れていました。
若いときに苦労の多い環境を選んでおくことは、自分の能力を高めるのに役立ちます。年をとってから、その差がはっきりと出ます。斎藤さんは数式などを交えながら説明しました。
人は自分で環境を選ぶことができます。ぬるま湯の環境を選ぶのか、選ばないのか。若いときの選択が後でジワリと効いてくるのです。これは、今号2008年7月号で特集として組んだ「協力」とも深く関係します。個人によって、経験した環境は違います。協力、コラボレーションが進まないとき、互いの環境の違いが原因となっていることがあります。
その一方で、優れたビジネスパーソンは、環境に対する適応力があります。どんな環境の中でも負けませんし、誰とでも協力できます。この能力は若いときにどのような環境で過ごしたかによって、影響される部分もあると思います。
若いときに過ごした環境によって、得るスキルも変わります。仕事を進める上で、スキルがあることは強みになります。協力においても同様です。ロジカルシンキング、英語など、ビジネスには必要となるさまざまなスキルがあります。しかし、そのスキルは何でも良いわけではありません。例えば、ポータブルスキルであるのか。言い換えると、時代が流れても使えるスキルなのか。また、仕事には何種類ものスタイルがありますが、さまざまなスタイルに適応できるものなのかが重要です。
物事を考える上で、ロジカルシンキングが大切だといわれています。が、場合によってはロジカルに考えないで、イロジカルに考えることが必要なときもあります。イロジカルな中で、別のロジックを作っていくという考え方もあるのです。
さらにいえば、スキル以上に重要になってくるものもあると思います。若いときに厳しい環境をこなした人にしか、わからないことってあるのではないか、と思うときがあります。厳しい規律がある組織の中で律されてきた人たちはコラボレーションしやすいのではないでしょうか。ポータブルスキルも大切ですが、それだけを強調しすぎることに疑問を感じることがあります。結局は、繰り返しになりますが、若いときに厳しい環境を選ぶことが大切なのです。特に、協力という面で違いが出てくると感じました。(岩崎 卓也)
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▽2008年8月号のご注文はこちらからできます
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2008/07/30
2008/07/26
セブン銀行の異業種格闘技
先日、マイクロソフトのセミナーに挨拶を依頼され、おうかがいしました。セミナーでは実に面白いお話を聞くことができました。話をされたのは内田和成先生です。内田先生はボストンコンサルティンググループ(BCG)の元日本代表、現在はシニアヴァイスプレジデントを務めています。経営コンサルタントのほかに、早稲田大学大学院商学研究科などの大学で講師として活躍されております。
内田さんは「異業種格闘技」というものについて話しました。異業種格闘技とは、異なる事業構造を持つ企業が異なるルールで同じ顧客ないし市場を奪い合う競争を意味するそうです。既存のプレーヤーに対する新規参入者については、大前研一さんのアタッカー企業や一橋大学教授の竹内弘高先生のグリーン・ フィールド・コンペティターなどが知られています。
内田さんは異業種格闘技について、銀行を例にして説明しました。最近の学生は新生銀行に口座を開設し、セブン&アイ・ホールディングスのセブン銀行でお金を引き出す人が多いといいます。セブン銀行は流通業からの新規参入者です。既存の企業から遠く離れた業種から参入しました。この点を内田さんは指摘します。
ところで、新生銀行やセブン銀行の魅力はどこにあるのでしょうか。学生はATMで引き出す金額が1千円から5千円くらいの少額の場合が多いのです。したがって、たとえ105円でも学生にとって手数料は大きな金額となります。学生にとって、新生銀行を使うのはリーズナブルな行為なのです。
他方、セブン銀行はコンビニエンスストアなどにATMを設置しているので、街中のいろいろな場所でお金を引き出すことができます。コンビニでお金を引き出して、同じ店で買い物をする。銀行ATMと消費の場所が一体化しているといえます。しかも、いつでもあいているので、利用者からすると非常に便利です。
セブン銀行は通常の銀行のような、預金者から調達した資金を企業に貸し付けて、その利ざやで稼ぐというモデルを採っていません。利用者がお金を引き出すときの、手数料が利益の源になっています。たとえ、一回の手数料が少額でも店舗数が多いので、大きな手数料収入になります。
その一方で、2007年10月にイオン銀行が開業しました。ショッピングセンターでのATM設置だけでなく、スタッフが対面で応対するサービスも展開するようです。サービス業で培ったノウハウは銀行のサービスには負けない。イオン銀行は対面などのサービスで勝負したいと言っているそうです。セブン銀行とイオン銀行、同じ流通業界からも、全く異なるビジネスモデルとコンペティティブ・エッジを持って参入をしています。内田さんは自分の業界にも照らして考えてみることをすすめていました。(岩崎 卓也)
内田さんは「異業種格闘技」というものについて話しました。異業種格闘技とは、異なる事業構造を持つ企業が異なるルールで同じ顧客ないし市場を奪い合う競争を意味するそうです。既存のプレーヤーに対する新規参入者については、大前研一さんのアタッカー企業や一橋大学教授の竹内弘高先生のグリーン・ フィールド・コンペティターなどが知られています。
内田さんは異業種格闘技について、銀行を例にして説明しました。最近の学生は新生銀行に口座を開設し、セブン&アイ・ホールディングスのセブン銀行でお金を引き出す人が多いといいます。セブン銀行は流通業からの新規参入者です。既存の企業から遠く離れた業種から参入しました。この点を内田さんは指摘します。
ところで、新生銀行やセブン銀行の魅力はどこにあるのでしょうか。学生はATMで引き出す金額が1千円から5千円くらいの少額の場合が多いのです。したがって、たとえ105円でも学生にとって手数料は大きな金額となります。学生にとって、新生銀行を使うのはリーズナブルな行為なのです。
他方、セブン銀行はコンビニエンスストアなどにATMを設置しているので、街中のいろいろな場所でお金を引き出すことができます。コンビニでお金を引き出して、同じ店で買い物をする。銀行ATMと消費の場所が一体化しているといえます。しかも、いつでもあいているので、利用者からすると非常に便利です。
セブン銀行は通常の銀行のような、預金者から調達した資金を企業に貸し付けて、その利ざやで稼ぐというモデルを採っていません。利用者がお金を引き出すときの、手数料が利益の源になっています。たとえ、一回の手数料が少額でも店舗数が多いので、大きな手数料収入になります。
その一方で、2007年10月にイオン銀行が開業しました。ショッピングセンターでのATM設置だけでなく、スタッフが対面で応対するサービスも展開するようです。サービス業で培ったノウハウは銀行のサービスには負けない。イオン銀行は対面などのサービスで勝負したいと言っているそうです。セブン銀行とイオン銀行、同じ流通業界からも、全く異なるビジネスモデルとコンペティティブ・エッジを持って参入をしています。内田さんは自分の業界にも照らして考えてみることをすすめていました。(岩崎 卓也)
2008/07/22
ポイント制のメリット、デメリット
経営者の多くは、従業員の失敗に対してパニッシュしない組織が望ましいと言います。私もその考えに賛成です。しかし、実現には人事評価制度について工夫が必要です。少なくとも、減点評価は適さないでしょう。前回、私はこちらのブログで、従業員の評価はポイント制にしたらどうか、という話を書きました。ポイント制は加点評価の最たるものです。加えて、ラジオ体操のハンコのような手軽さもあります。カードがハンコで一杯になったら褒美がもらえる点も、評価結果と報酬の関係をわかりやすくしています。
しかしながら、ポイント制を実施するにあたり2つ注意点があります。一つはポイント制には部門特性の問題が出てくるのです。企業の中にはルーチンワークに従事している部署があります。ここでは目の前のことをミスしないで、時間内に効率よく進めていくことが大切になります。すると、加点よりも減点のほうが評価しやすくなります。例えば、ハンバーガーショップで、マニュアル通りに作業をしている人に対して、ハンバーガーを一つ作る毎に「良くできた」と声をかけ、ハンコを押すのはおかしなことでしょう。むしろ、遅刻した、服装が汚い、手洗いを怠ったなど、減点する要素のほうが目に付きやすいのです。ルーチンワークは褒めるのが難しく、パニッシュのチャンスが多くなります。
もう一つはハンコが少ない人に対する処遇をどうするのか、という問題があります。生産現場ではとかく、しっかりと仕事する人としない人に分かれがちです。優秀な人はたくさんハンコがもらえてうれしいものです。しかし、たいして仕事をしない人も必ず出ます。カードにハンコが埋まっていかない人を、そのまま放置しても良いのか。放置したとしても、ハンコが少ない人なりに考え、ハンコをたくさんもらおうとして気働きをするようになるのか。処遇をどうするのか、意見が分かれるところです。評価方法はいろいろあります。が、いずれにしろ、評価は絶対評価にならないのです。ポイント制も相対評価の域を出ず、ベストとは言えないかもしれません。それでも、褒めたことが形に残る点など、現行制度と比べるとベターなのではないかと思います。(岩崎 卓也)
しかしながら、ポイント制を実施するにあたり2つ注意点があります。一つはポイント制には部門特性の問題が出てくるのです。企業の中にはルーチンワークに従事している部署があります。ここでは目の前のことをミスしないで、時間内に効率よく進めていくことが大切になります。すると、加点よりも減点のほうが評価しやすくなります。例えば、ハンバーガーショップで、マニュアル通りに作業をしている人に対して、ハンバーガーを一つ作る毎に「良くできた」と声をかけ、ハンコを押すのはおかしなことでしょう。むしろ、遅刻した、服装が汚い、手洗いを怠ったなど、減点する要素のほうが目に付きやすいのです。ルーチンワークは褒めるのが難しく、パニッシュのチャンスが多くなります。
もう一つはハンコが少ない人に対する処遇をどうするのか、という問題があります。生産現場ではとかく、しっかりと仕事する人としない人に分かれがちです。優秀な人はたくさんハンコがもらえてうれしいものです。しかし、たいして仕事をしない人も必ず出ます。カードにハンコが埋まっていかない人を、そのまま放置しても良いのか。放置したとしても、ハンコが少ない人なりに考え、ハンコをたくさんもらおうとして気働きをするようになるのか。処遇をどうするのか、意見が分かれるところです。評価方法はいろいろあります。が、いずれにしろ、評価は絶対評価にならないのです。ポイント制も相対評価の域を出ず、ベストとは言えないかもしれません。それでも、褒めたことが形に残る点など、現行制度と比べるとベターなのではないかと思います。(岩崎 卓也)
2008/07/19
関係が上手くいく人は
アメリカにはユニークな心理学者がいるものです。ジョン・M・ゴットマンという人は家庭内の人間関係について研究している学者です。35年間、何千組もの夫婦を調べ、科学的な分析を重ねてきました。夫婦はどうしたら長続きして、どのような夫婦が離婚するのかを調査しているのです。HBR誌のシニア・エディターがゴットマン氏にインタビューしました。今号、2008年8月号「パートナーシップの心理学」という記事がそうです。
ゴットマン氏が何年も使っているテストに「ペーパー・タワー・タスク」というものがあります。これは対象となる夫婦に紙やセロハンテープなどを渡して、紙の塔を協力して作ってもらうのです。長続きする夫婦は短時間でペーパー・タワーをこしらえてしまうそうです。逆に、幸福な結婚生活を送っていない夫婦は時間がかかるといいます。
ゴットマン氏は職場の人間関係と夫婦関係は違うと言います。とはいえ、このインタビュー記事を読む限り、ゴットマン氏の研究は職場の人間関係にも応用できることがわかります。良好な人間関係を築くには「イエス」という言葉が大切です。以前、今号の『オンラインRPGは「協働する組織」の実験場』という論文の解説でも書きましたが、すぐその場でその行為に対してポジティブな評価をすることが大事なのです。職場でも夫婦でも、何かあったら、その場で褒めることが大切なのです。ゴットマン氏は塩が入った瓶にたとえ、瓶に「イエス」という言葉をたくさん詰めておき、塩を振るように、できる限り「イエス」を示すのだといいます。
随分前のことになりますが、人事制度をどう改定したらよいか、という意見を求められたことがあります。そのとき、従業員の評価はポイント制にしたらどうかと提案しました。仕事上でよいことをしたら、ハンコが一個もらえるのです。一定のポイトンがたまると、何かもらえます。ポイントは積み上げていくわけだから、全部が加点評価になります。ゴットマン氏は同じことを言っています。あなたのパートナーに、イエス、イエスと、ことあるごとに言いなさい。加点評価をすすめています。
ただし、言葉は心に残りますが、形には残りません。100回褒めてもらったけど職場での評価はCだった、ということがあります。どんなに褒めてもらっても、結果がA評価になるとは限りません。ハンコは100個押してもらったら、必ず何かもらえるのです。褒める、ポイントをもらうというのはプロセスです。言葉とハンコ、どちらがフェアなプロセスなのかといえば、言葉よりもハンコの数のほうだと思うのです。夫婦ならば、言葉によって褒めてもよいでしょう。が、職場で同じ加点評価をするなら、ポイント制の方がよいのではないか、などと思いながら論文を読みました。(岩崎 卓也)
▽2008年8月号のご注文はこちらからできます
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059690808
ゴットマン氏が何年も使っているテストに「ペーパー・タワー・タスク」というものがあります。これは対象となる夫婦に紙やセロハンテープなどを渡して、紙の塔を協力して作ってもらうのです。長続きする夫婦は短時間でペーパー・タワーをこしらえてしまうそうです。逆に、幸福な結婚生活を送っていない夫婦は時間がかかるといいます。
ゴットマン氏は職場の人間関係と夫婦関係は違うと言います。とはいえ、このインタビュー記事を読む限り、ゴットマン氏の研究は職場の人間関係にも応用できることがわかります。良好な人間関係を築くには「イエス」という言葉が大切です。以前、今号の『オンラインRPGは「協働する組織」の実験場』という論文の解説でも書きましたが、すぐその場でその行為に対してポジティブな評価をすることが大事なのです。職場でも夫婦でも、何かあったら、その場で褒めることが大切なのです。ゴットマン氏は塩が入った瓶にたとえ、瓶に「イエス」という言葉をたくさん詰めておき、塩を振るように、できる限り「イエス」を示すのだといいます。
随分前のことになりますが、人事制度をどう改定したらよいか、という意見を求められたことがあります。そのとき、従業員の評価はポイント制にしたらどうかと提案しました。仕事上でよいことをしたら、ハンコが一個もらえるのです。一定のポイトンがたまると、何かもらえます。ポイントは積み上げていくわけだから、全部が加点評価になります。ゴットマン氏は同じことを言っています。あなたのパートナーに、イエス、イエスと、ことあるごとに言いなさい。加点評価をすすめています。
ただし、言葉は心に残りますが、形には残りません。100回褒めてもらったけど職場での評価はCだった、ということがあります。どんなに褒めてもらっても、結果がA評価になるとは限りません。ハンコは100個押してもらったら、必ず何かもらえるのです。褒める、ポイントをもらうというのはプロセスです。言葉とハンコ、どちらがフェアなプロセスなのかといえば、言葉よりもハンコの数のほうだと思うのです。夫婦ならば、言葉によって褒めてもよいでしょう。が、職場で同じ加点評価をするなら、ポイント制の方がよいのではないか、などと思いながら論文を読みました。(岩崎 卓也)
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2008/07/16
スポーツの理論とビジネス
ビジネスをスポーツにたとえて解説する人がいます。話を聞いていて、違和感をおぼえることがありませんか。ビジネスとスポーツには異なる部分があります。両者を同じように語っても、あてはまらない部分が出てしまいます。
種目によりますが、スポーツは個人の力が具体的に見えます。キーとなるプレーヤーが肝心な場面で満塁ホームランを打ったから勝てたというように、決定打というものがあります。が、ビジネスでは個人による決定打はあまりありません。
人事面でも、スポーツチームと企業とは異なります。社員にはプロスポーツ選手のような、シーズンごとの契約見直しが必要だという意見があります。要するに、「実力のない者は去れ」という考えをする人がいるのです。もちろん、この考え方が適している組織もあります。が、従業員を辞めさせないという、今の日本の組織は生物学的に見ても良くできていると私は思います。
ダメだと言われている人を遊ばせておきながら進める。これは必ずしも悪いことだとは言えません。細胞組織の何パーセントかは何もしない細胞でできています。身体の組織が正常に保っているのは、その何もしない細胞があるからだといわれています。全員が優秀な選手である必要はないのです。バスケットでは、精鋭ばかりを集めたドリームチームで戦っても、必ずしも上手く行くとは限りません。野球も同じです。4番バッター、スター選手だけでチームを作っても、優勝できないでしょう。
スポーツのたとえ話はわかりやすい。が、スポーツの本質はビジネスとは違うのです。ゲームも同じです。現実世界のビジネスは失敗した後、容易にリセットできないことが多いし、人は敵に攻撃されたら痛みを感じます。今号、2008年8月号の『オンラインRPGは「協働する組織」の実験場』という論文を前回こちらのブログで紹介しました。この論文は非常に面白かったのですが、私は全部を信じることはできないと伝えたのは、このような理由からです。この論文は従業員のトレーニングとして、協力のあり方をビジュアルに見せるという点では意味があると思います。が、ゲームの考え方をすべてビジネスに応用できるわけではありません。
執筆者の一人、トーマス・マローン教授はMITのスローン・スクール・オブ・マネジメントの教授です。余談になりますが、彼の息子さんは「週刊少年ジャンプ」で連載している『NARUTO -ナルト-』のファンだといいます。
マローン教授が来日したとき、あるパーティでご一緒したことがあります。乾杯の挨拶でマローン教授は、息子さんがナルトの情報交換をするために、つたない翻訳機にかけて、日本語で日本人とコミュニケーションをとっている、と言っていました。来日の際には秋葉原で買い物をしたそうです。そのおかげで今、秋葉原に一番詳しいアメリカ人は自分ではないか、とジョークを言っていました。この論文の依頼者がIBMということに加え、息子さんがナルトファンだということで、マローン教授はゲームに興味を抱いたのではないか。私はそのように思いました。(岩崎 卓也)
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種目によりますが、スポーツは個人の力が具体的に見えます。キーとなるプレーヤーが肝心な場面で満塁ホームランを打ったから勝てたというように、決定打というものがあります。が、ビジネスでは個人による決定打はあまりありません。
人事面でも、スポーツチームと企業とは異なります。社員にはプロスポーツ選手のような、シーズンごとの契約見直しが必要だという意見があります。要するに、「実力のない者は去れ」という考えをする人がいるのです。もちろん、この考え方が適している組織もあります。が、従業員を辞めさせないという、今の日本の組織は生物学的に見ても良くできていると私は思います。
ダメだと言われている人を遊ばせておきながら進める。これは必ずしも悪いことだとは言えません。細胞組織の何パーセントかは何もしない細胞でできています。身体の組織が正常に保っているのは、その何もしない細胞があるからだといわれています。全員が優秀な選手である必要はないのです。バスケットでは、精鋭ばかりを集めたドリームチームで戦っても、必ずしも上手く行くとは限りません。野球も同じです。4番バッター、スター選手だけでチームを作っても、優勝できないでしょう。
スポーツのたとえ話はわかりやすい。が、スポーツの本質はビジネスとは違うのです。ゲームも同じです。現実世界のビジネスは失敗した後、容易にリセットできないことが多いし、人は敵に攻撃されたら痛みを感じます。今号、2008年8月号の『オンラインRPGは「協働する組織」の実験場』という論文を前回こちらのブログで紹介しました。この論文は非常に面白かったのですが、私は全部を信じることはできないと伝えたのは、このような理由からです。この論文は従業員のトレーニングとして、協力のあり方をビジュアルに見せるという点では意味があると思います。が、ゲームの考え方をすべてビジネスに応用できるわけではありません。
執筆者の一人、トーマス・マローン教授はMITのスローン・スクール・オブ・マネジメントの教授です。余談になりますが、彼の息子さんは「週刊少年ジャンプ」で連載している『NARUTO -ナルト-』のファンだといいます。
マローン教授が来日したとき、あるパーティでご一緒したことがあります。乾杯の挨拶でマローン教授は、息子さんがナルトの情報交換をするために、つたない翻訳機にかけて、日本語で日本人とコミュニケーションをとっている、と言っていました。来日の際には秋葉原で買い物をしたそうです。そのおかげで今、秋葉原に一番詳しいアメリカ人は自分ではないか、とジョークを言っていました。この論文の依頼者がIBMということに加え、息子さんがナルトファンだということで、マローン教授はゲームに興味を抱いたのではないか。私はそのように思いました。(岩崎 卓也)
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2008/07/12
ゲームの世界での協働
今号、2008年8月号には『オンラインRPGは「協働する組織」の実験場』という論文を掲載しました。オンラインRPG(role-playing gameロールプレイングゲーム)には、全世界からコンピュータネットワークを介して何人もの人が集まります。参加者同士でパーティを組み、冒険、戦闘などの試練を乗り越え、目的の達成を目指します。オンラインRPGの世界では、理想のコラボレーションが実現しているといいます。
この論文は面白いです。しかし、全部をそのまま納得するのには疑問符がつきます。論文の執筆者もオンラインRPGはファンタジーの世界だということは承知しており、〈ゲームだからといって、頭から馬鹿にしないで欲しい〉と前置きしています。
とはいえ、この論文が提示するロジックはきちんと成り立っています。オンラインRPGには、リアルの世界とは違う独特の環境があります。それにより、リーダーシップ、インセンティブ、リスク・テイキングなどの面で、理想のコラボレーションが実現できる。これは近未来のビジネス環境のワーク・スタイルを垣間見ることになる、といいます。
具体的にいうと、オンラインRPGでは今まで誰とも付き合ったことのない人たちとパーティを組むので、「あ、うん」が通じません。チームのメンバーは自分の持っているスキルと相手のスキルをお互いに認めあわないと、バトルが上手く行かない環境におかれます。この場合、人によって得意技が違います。ので、オンラインRPGでは比較的たやすく状況に応じてリーダーが変わるようなこともあります。しかも、リーダーはみんなから選ばれるのではなくて、自然発生的に出てくるのです。
インセンティブの与え方についても、現実の会社とは違います。リーダーはバトルが終わった瞬間に褒美を上手く分けます。剣、薬などのアイテムやお金が仕事に応じて配分されるわけです。昔から心理学で言われていますが、褒めることが大事なのではなくて、すぐその場でその行為に対してポジティブな評価をすることが大事なのです。
しかし、企業では、少なくとも半年くらい経ってからでないと報酬に反映されないのが一般的です。組織ではポジティブな評価を有形なもの、特に金銭的なもので、すぐにあげるわけには行きません。できないから、褒めるという形で代替しています。オンラインRPGでは、いい仕事をすれば、その場でアイテムがもらえます。確かに、理想的です。なるほどと思いました。
この論文はリアルな世界に役に立つものです。が、「企業文化があれば」という条件がつきます。環境が整っていなければ、いくらツールを入れても効果は低いでしょう。そこをこの論文ではごまかしています。この論文は面白いけれど、全部納得できないと冒頭で申し上げたのはそのごまかしているように見える部分があるからなのです。(岩崎 卓也)
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この論文は面白いです。しかし、全部をそのまま納得するのには疑問符がつきます。論文の執筆者もオンラインRPGはファンタジーの世界だということは承知しており、〈ゲームだからといって、頭から馬鹿にしないで欲しい〉と前置きしています。
とはいえ、この論文が提示するロジックはきちんと成り立っています。オンラインRPGには、リアルの世界とは違う独特の環境があります。それにより、リーダーシップ、インセンティブ、リスク・テイキングなどの面で、理想のコラボレーションが実現できる。これは近未来のビジネス環境のワーク・スタイルを垣間見ることになる、といいます。
具体的にいうと、オンラインRPGでは今まで誰とも付き合ったことのない人たちとパーティを組むので、「あ、うん」が通じません。チームのメンバーは自分の持っているスキルと相手のスキルをお互いに認めあわないと、バトルが上手く行かない環境におかれます。この場合、人によって得意技が違います。ので、オンラインRPGでは比較的たやすく状況に応じてリーダーが変わるようなこともあります。しかも、リーダーはみんなから選ばれるのではなくて、自然発生的に出てくるのです。
インセンティブの与え方についても、現実の会社とは違います。リーダーはバトルが終わった瞬間に褒美を上手く分けます。剣、薬などのアイテムやお金が仕事に応じて配分されるわけです。昔から心理学で言われていますが、褒めることが大事なのではなくて、すぐその場でその行為に対してポジティブな評価をすることが大事なのです。
しかし、企業では、少なくとも半年くらい経ってからでないと報酬に反映されないのが一般的です。組織ではポジティブな評価を有形なもの、特に金銭的なもので、すぐにあげるわけには行きません。できないから、褒めるという形で代替しています。オンラインRPGでは、いい仕事をすれば、その場でアイテムがもらえます。確かに、理想的です。なるほどと思いました。
この論文はリアルな世界に役に立つものです。が、「企業文化があれば」という条件がつきます。環境が整っていなければ、いくらツールを入れても効果は低いでしょう。そこをこの論文ではごまかしています。この論文は面白いけれど、全部納得できないと冒頭で申し上げたのはそのごまかしているように見える部分があるからなのです。(岩崎 卓也)
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2008/07/09
ブルー・オーシャン戦略におけるフェア・プロセス
次号、2008年8月号に「フェア・プロセス:協力と信頼の源泉」という論文を掲載します。執筆したのはブルー・オーシャン戦略のチャン・キム教授とレネ・モボルニュ教授のおふたりです。この論文は1997年に書かれたもので、その頃はまだブルー・オーシャン戦略はありませんでした。
この論文はどうしたら人は協力するようになるのかを調査したものです。この内容を鵜呑みにすれば、人はフェアなプロセスを経た結論であるならば、たとえ自分の意に沿わないものでも、拒否することはないそうです。程度はあるが甘んじて受け入れるのだといいます。
では、どのようなものがフェアなプロセスになるのでしょうか。この論文では「エンゲージメント」が重要だとしています。エンゲージメントというのは、日本語に訳しづらいのですが、約束といってもいいし、参加の奨励といってもいい。ようするに、コミュニケーションをしっかりすることが重要だということです。この論文を読み進めていくと、フェアプロセスは手間がかかることだというのがわかります。したがって、企業ではおざなりに、そして中途半端にされがちなことだといえます。
フェアプロセスをどう実行するか、これが課題です。わが身を振り返っても、相手に対して上手く説明できないこともありました。ものごとは常に表と裏があって、アンビバレンスです。何が間違っているのか、なぜこちらのほうがいいのか。一つのことを語るにも何通りもの言い方があり、何通りもの解釈が成り立ちます。厳密に突き詰めていくと、どちらかの妥協が必要になるのだと思います。
この妥協することへの納得感は年齢と経験によって違います。私はこの論文を読んで思ったのは、妥協することにインセンティブが必要なのではないかということです。どんなにフェアなプロセスを踏んでも、物事は一元的では解決できません。どうしても多元的になる。したがって、平行線をたどることもあれば、どこかで妥協して受け入れさせる場面が出てくることもあります。結論を納得するにはギブアンドテイクというか、何らかのインセンティブが必要なのではないかと思いました。
ただし、この論文ではどうしたらいいのかというところまで書いてありません。そこまで教えてくれたら、より良い論文になるのになぁ、と思いました。
補足になりますが、このフェアプロセスというのは、ブルー・オーシャン・ストラテジーにおいても、大事なツールです。フェアプロセスは民主主義ではありません。アイデアの一番いいものに対して、個人ではなく組織、あるいはチームがコミットメントを傾けるためのツールなのです。ブルー・オーシャン戦略は最終的には他部門の人などが協力して新製品開発をする過程に至ります。部門の代表者が出てきて利害調整をしている現状があります。しかし、この調整をするからイノベーションが生まれてこないのであって、フェアプロセスを入れることで利害を脇におくことができます。
この論文を読んで、ブルー・オーシャン戦略はよく設計されていると改めて思いました。(岩崎 卓也)
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▽ご注文はこちら
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この論文はどうしたら人は協力するようになるのかを調査したものです。この内容を鵜呑みにすれば、人はフェアなプロセスを経た結論であるならば、たとえ自分の意に沿わないものでも、拒否することはないそうです。程度はあるが甘んじて受け入れるのだといいます。
では、どのようなものがフェアなプロセスになるのでしょうか。この論文では「エンゲージメント」が重要だとしています。エンゲージメントというのは、日本語に訳しづらいのですが、約束といってもいいし、参加の奨励といってもいい。ようするに、コミュニケーションをしっかりすることが重要だということです。この論文を読み進めていくと、フェアプロセスは手間がかかることだというのがわかります。したがって、企業ではおざなりに、そして中途半端にされがちなことだといえます。
フェアプロセスをどう実行するか、これが課題です。わが身を振り返っても、相手に対して上手く説明できないこともありました。ものごとは常に表と裏があって、アンビバレンスです。何が間違っているのか、なぜこちらのほうがいいのか。一つのことを語るにも何通りもの言い方があり、何通りもの解釈が成り立ちます。厳密に突き詰めていくと、どちらかの妥協が必要になるのだと思います。
この妥協することへの納得感は年齢と経験によって違います。私はこの論文を読んで思ったのは、妥協することにインセンティブが必要なのではないかということです。どんなにフェアなプロセスを踏んでも、物事は一元的では解決できません。どうしても多元的になる。したがって、平行線をたどることもあれば、どこかで妥協して受け入れさせる場面が出てくることもあります。結論を納得するにはギブアンドテイクというか、何らかのインセンティブが必要なのではないかと思いました。
ただし、この論文ではどうしたらいいのかというところまで書いてありません。そこまで教えてくれたら、より良い論文になるのになぁ、と思いました。
補足になりますが、このフェアプロセスというのは、ブルー・オーシャン・ストラテジーにおいても、大事なツールです。フェアプロセスは民主主義ではありません。アイデアの一番いいものに対して、個人ではなく組織、あるいはチームがコミットメントを傾けるためのツールなのです。ブルー・オーシャン戦略は最終的には他部門の人などが協力して新製品開発をする過程に至ります。部門の代表者が出てきて利害調整をしている現状があります。しかし、この調整をするからイノベーションが生まれてこないのであって、フェアプロセスを入れることで利害を脇におくことができます。
この論文を読んで、ブルー・オーシャン戦略はよく設計されていると改めて思いました。(岩崎 卓也)
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2008/07/05
協力の難しさ
次号、2008年8月号は「協力する組織」というコンセプトで特集を組みます。協力はさまざまな言葉で表現されてきました。たとえば、コラボレーション、チームワーク、そのほか、クロスファンクショナルチームなどがあります。なぜ協力するのか。協力は現状を改革するようなアイデア、技術、オペーレーションにつながるところに意味があると思います。つまり、組織として成長していくために、一人の力よりも多人数の智恵が集まったほうが良いということです。
最近、集団的知性(Collective Intelligence、集合知)を使った取り組みを耳にします。ハリウッドではどの映画が当たるのか、専門家と一般の人たちを比較して予測するようなことがあるそうです。
N(母数)を多くしていく中で、もっと良いアイデアが出てくるのではないかと考える人もいます。協力に関する研究はありますが、まだ結果は多く出ていません。ビジネス雑誌、書籍でも協力をテーマにしたものは数として少ないといっていいでしょう。次号のように協力を大きく取り上げることは意外とチャレンジングだったと思っています。
協力はことのほか難しい。中間管理職以上の方の中には、実感されている人が多いと思います。理由はたくさんあります。
もともと、企業はアダム・スミスのピンの製造の話に始まるように、分業で成り立っています。ピラミッド組織の上に向かって、出世をしていく形になります。ふるいにかけられていくわけですから、成功した場合、誰が成功したのかということが話に出てきます。皆はチームのおかげです、と言いますが、誰かが最終的な褒美にあずかるのです。そのチームが社内で勝って優位に立つということは、誰かが劣位に立つことになります。部門間の協力が必要だとはいえ、見えざる敵を助することになると、他部門との協力は難しくなります。
また、組織の中で、相性の問題はそんなに昔ほど今は重要な要素ではないと思いますが、そういうこともあります。
これまで、企業は協力の難しさに対して、逃げてきたのではないでしょうか。目的の前にチームメンバーは皆平等なんだ、職位も経験も関係ない、と言いながらごまかしていた部分があると思います。自由にアイデアを話し合って、優れたアイデアを採用していく。わかりやすいのですが、現実にはそのプロセスを作るのはむずかしいのです。
当たり前のことですが、ビジネスの世界はエンピリカルとシチュエーショナルです。経験があるということは大きなパワーになります。社内でも一セクションで物事が解決するわけではないので、社内的な交渉力も必要になってきます。そういったときに、経験の浅い人が自由に発言ができたとしても、採用される可能性は相対的には低くなってしまいます。協力をすることは本当に難しい。総論賛成で、各論の部分でぶつかり合うテーマだと思います。その中で、次号では協力することをテーマにした論文をいくつか紹介します。(岩崎 卓也)
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2008年8月号は7月10日(木)発売予定です。
最近、集団的知性(Collective Intelligence、集合知)を使った取り組みを耳にします。ハリウッドではどの映画が当たるのか、専門家と一般の人たちを比較して予測するようなことがあるそうです。
N(母数)を多くしていく中で、もっと良いアイデアが出てくるのではないかと考える人もいます。協力に関する研究はありますが、まだ結果は多く出ていません。ビジネス雑誌、書籍でも協力をテーマにしたものは数として少ないといっていいでしょう。次号のように協力を大きく取り上げることは意外とチャレンジングだったと思っています。
協力はことのほか難しい。中間管理職以上の方の中には、実感されている人が多いと思います。理由はたくさんあります。
もともと、企業はアダム・スミスのピンの製造の話に始まるように、分業で成り立っています。ピラミッド組織の上に向かって、出世をしていく形になります。ふるいにかけられていくわけですから、成功した場合、誰が成功したのかということが話に出てきます。皆はチームのおかげです、と言いますが、誰かが最終的な褒美にあずかるのです。そのチームが社内で勝って優位に立つということは、誰かが劣位に立つことになります。部門間の協力が必要だとはいえ、見えざる敵を助することになると、他部門との協力は難しくなります。
また、組織の中で、相性の問題はそんなに昔ほど今は重要な要素ではないと思いますが、そういうこともあります。
これまで、企業は協力の難しさに対して、逃げてきたのではないでしょうか。目的の前にチームメンバーは皆平等なんだ、職位も経験も関係ない、と言いながらごまかしていた部分があると思います。自由にアイデアを話し合って、優れたアイデアを採用していく。わかりやすいのですが、現実にはそのプロセスを作るのはむずかしいのです。
当たり前のことですが、ビジネスの世界はエンピリカルとシチュエーショナルです。経験があるということは大きなパワーになります。社内でも一セクションで物事が解決するわけではないので、社内的な交渉力も必要になってきます。そういったときに、経験の浅い人が自由に発言ができたとしても、採用される可能性は相対的には低くなってしまいます。協力をすることは本当に難しい。総論賛成で、各論の部分でぶつかり合うテーマだと思います。その中で、次号では協力することをテーマにした論文をいくつか紹介します。(岩崎 卓也)
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2008年8月号は7月10日(木)発売予定です。
2008/07/02
脳科学は面白い
前回、ソニーCSLのシンポジウムで講演したソニー社長 中鉢さんについて書きました。このシンポジウムでは、ほかにソニーCSLに所属する北野宏明氏、茂木健一郎氏などがパネルディスカッションに登場しました。
北野宏明さんは弊社刊行『したたかな生命』(共著)の著者でもあります。なかでも印象に残ったのは、製薬業界の話です。現在、製薬メーカーの多くは新薬開発にかかる投資を2倍に増やしているといいます。他方、新薬開発で創薬が生まれるのは1/2になったそうです。1/4、効率が悪くなっているのです。
製薬業界には2010年問題があります。大型医薬品の特許が切れ、医薬品メーカーの利益が減ってしまうと懸念されています。しかも、R&Dの回収率が悪くなったという現状があります。今、CSLでは創薬をLinuxのようなオープンイノベーションの形で開発しようと取り組んでいるといいます。全く新しい開発のスタイルを試みているようです。
茂木健一郎さんも登場しました。茂木さんの話も面白かったです。鏡に映る自分の姿を自分だと認識できるかどうか。もちろん、人間はできます。が、イヌやネコはできません。多くの動物の中で、自分だと認識できる動物はそんなに多くないそうです。脳科学は面白いですね。できれば、いつかDHBRでも脳に関する特集を組みたいと思いました。
話は変わりますが、脳の話といえば、2008年3月号に「一流人材のつくり方」という論文があります。この論文では、「女性はチェスが弱い」という説を覆すことになる実験をしています。女性は空間把握ができないから地図が読めない、チェスで勝てないなどと言う人がいます。この論文では、執筆者が自分の娘にチェスを徹底的に教え込みました。その結果、娘は3人とも女性チェス・プレーヤー世界ランキングで10位以内に入ったといいます。男女で脳は違うといわれています。が、本当はそんなに大きく変わらないのかもしれない。私はこの論文を読んでそう感じました。(岩崎 卓也)
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▽バックナンバー 「DHBR」2008年3月号はこちらから
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059690308
▽最新号はこちら 2008年7月号(6月10日発売)
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059690708
北野宏明さんは弊社刊行『したたかな生命』(共著)の著者でもあります。なかでも印象に残ったのは、製薬業界の話です。現在、製薬メーカーの多くは新薬開発にかかる投資を2倍に増やしているといいます。他方、新薬開発で創薬が生まれるのは1/2になったそうです。1/4、効率が悪くなっているのです。
製薬業界には2010年問題があります。大型医薬品の特許が切れ、医薬品メーカーの利益が減ってしまうと懸念されています。しかも、R&Dの回収率が悪くなったという現状があります。今、CSLでは創薬をLinuxのようなオープンイノベーションの形で開発しようと取り組んでいるといいます。全く新しい開発のスタイルを試みているようです。
茂木健一郎さんも登場しました。茂木さんの話も面白かったです。鏡に映る自分の姿を自分だと認識できるかどうか。もちろん、人間はできます。が、イヌやネコはできません。多くの動物の中で、自分だと認識できる動物はそんなに多くないそうです。脳科学は面白いですね。できれば、いつかDHBRでも脳に関する特集を組みたいと思いました。
話は変わりますが、脳の話といえば、2008年3月号に「一流人材のつくり方」という論文があります。この論文では、「女性はチェスが弱い」という説を覆すことになる実験をしています。女性は空間把握ができないから地図が読めない、チェスで勝てないなどと言う人がいます。この論文では、執筆者が自分の娘にチェスを徹底的に教え込みました。その結果、娘は3人とも女性チェス・プレーヤー世界ランキングで10位以内に入ったといいます。男女で脳は違うといわれています。が、本当はそんなに大きく変わらないのかもしれない。私はこの論文を読んでそう感じました。(岩崎 卓也)
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▽バックナンバー 「DHBR」2008年3月号はこちらから
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059690308
▽最新号はこちら 2008年7月号(6月10日発売)
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059690708
