2008/02/27

CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)の存在

次号2008年4月号のテーマは戦略です。事業の戦略と企業全体の戦略、大きく分けると戦略はこの二つがあります。次号はこのうちの後者、企業戦略に焦点を当てました。1970年代に書かれた論文に、チーフ・ストラテジー・オフィサー(CSO)について触れられているものがあります。CSOというのはCEO、COOとは異なり、戦略だけを専門に担当する経営幹部を指します。この論文では組織のなかにCSOがいても良いのではないか、と提言しています。多くの企業ではCOO、CEOが戦略を考えています。まわりを見渡すと、CSOを持っている企業はあるにはあるのですが、そう多くはありません。

次号では「CSO(最高戦略責任者)の役割」「戦略とCSO」など、論文のアーカイブを新訳しました。CSOがいないからといって、支障が出るものではありません。が、これを機に戦略を専門に担当するCSOについて考えてみてはいかがでしょうか。
そのほかには、多角化した企業、事業のダイバーシティの問題をどうバランスさせていくのかをテーマにした論文などを載せる予定です。

企業戦略の父といわれているイゴール・アンゾフが執筆した本に、『アンゾフ戦略経営論』(中央経済社)というものがあります。絶版になっていたのですが、先日復刻しているのを見かけました。アンゾフ・マトリックスは製品と市場の2軸をとり、企業の採るべき戦略を導き出していくものです。このマトリクスをDHBRで最初に紹介した論文を次号で掲載します。

ところで、ボストン・コンサルティング・グループが提唱したもので、タイム・ベースド・コンペティション(タイムベース競争)というものがあります。以前からあるものですが、日本では定着せずにいました。しかし、今の時代だからこそ、タイムベース競争が必要になってくるのではないでしょうか。時間を活用し、競争していくという考え方がより大切らにります。
消費者の利便性をよくするというのは時間を短くすることです。長くすれば安心感を与えることができます。時間という要素が関係のない競争は一個もありません。時間という経営資源をもう一度考え直すことは大事なのです。

なぜ、タイムベース競争は日本では定着しなかったのでしょうか。以前。この言葉が多く使われた時代、日本は産業のリーダー国であり、貿易摩擦が起きていました。当時の日本はひた走っており、ビジネスパーソンは時間を度外視して働いていました。がむしゃらに、頑張っていた時期なので、時間が気にならなかったのでしょう。タイミングも大事ですが、時間という要素をどうやって戦略の中の要因に入れていくのか、その様な意味で、タイムベース競争に関する論文を載せます。(岩崎 卓也)

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次号は2008年3月10日に発売する予定です。
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2008/02/23

「答えが書いてある本」と「考えさせる本」

2008年3月号に「一流人材のつくり方」という論文があり、先日内容を紹介しました。前回のおさらいになりますが、一流人材を作るうえで必要なことは3つあります。1番目は師匠が優秀であることです。第2は本人が考えながらトレーニングしていること。3番目が反復練習となります。詳細はDHBRに掲載されている本論にゆずりますが、一番大切なのは良い師匠につくことなのだと私は思っています。

前回の続きになりますが、2番目と3番目についてはどうなのか。2番目の「考えながらトレーニングする」ですが、意外とこれは実現するのが難しくなっていると感じています。今、ビジネス書で売れているものの多くは、「答えが書いてある本」なのです。出版界は答えの載っている本が好きなのです。自己啓発書の多くにはどのようにすべきか、パターンが書いてあります。手帳の書き方、話し方などが具体的に書かれています。確かに、参考になることがたくさん載っていて有益です。が、読んでラクに覚えられるので、読んでおしまいにしがちです。もっと、自分で考えることがあっても良いのではないかと思っています。

3番目の反復トレーニングも同様。本を読んだだけでは、頭の良い人にはなれません。明日からAクラス社員になろうと思っても急にはなれないのです。「×秒で財務諸表が読める」といった広告を目にすることがありますが無理です。財務諸表のどこに目を向けたら良いのか、短期間でポイントを理解することはできるでしょう。でも、昔ながら電卓をたたいて、一つずつ財務諸表を学んだ人とでは明らかに理解の度合いに差がでます。数字の意味がわかるには反復練習が必要です。

例えば、DCF法(Discounted Cash Flow法)はファイナンスの基礎です。勉強を始めると、最初に覚えます。でも、一回数式を使ったくらいでは覚えられません。何回も続けて繰り返し、使うことで、使いこなせるようになります。勉強したから、身に着くものではないのです。この論文の反復練習が大切だというところに、特に私は共感しました。(岩崎 卓也)
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2008/02/20

ナレッジ・ワーカーの動機付けは

今号2008年3月号は「リーダーシップ強化法」を特集として組みました。リーダーにとって人を育てることがいかに重要かは言うまでもありません。こちらのブログではいくつかの論文について触れました。人を育てるということですと、今号の「知識労働者のモチベーション心理学」をおすすめしたいですね。特集ではなく「HBR Articles」に掲載した論文です。

動機づけには内発的動要因と発的要因によるものがあるといわれています。外発的というのは給与などのインセンティブや出世することなど、目に見えるものを主に指し、内発的というのは仕事のやりがいやねぎらいの言葉などをいいます。これまで、具体的なメカニズムについての調査は工場労働者を対象にしたものが主でした。知的労働者を対象にして本格的に調査したものは多くありません。本論文は社員の動機付けと、仕事をしながら社員は何を考え、どう感じているのかに注目しました。また、結果としてそれがどう成果に影響しているのか、調査結果が出ています。

この調査では26のプロジェクト、チームに属する238人のナレッジ・ワーカーに日誌を毎日記入してもらいました。12000件に近いデータを分析したのがこの論文です。結論から言うと、外発的な要因はその人の動機付けにあまり影響しなくて、内発的な要因のほうが動機付けとして大きい。上司の行動が社員のみならず、チームや企業のパフォーマンスに大きく影響していることが明らかになったとあります。

確かに、その通りだと私は思います。しかし、その一方で私はやはり皆、お金が欲しいという側面があるのも事実だと感じています。アメリカだけでなく中国でも若い人がベンチャーをやるのはなぜか。それはお金が欲しいからという理由が一つとしてあるのではないでしょうか。他人より頭一歩抜き出たいという点では外発的も内発的も同じですが、やはり金が欲しいのです。あるいは、日本人の場合は外発的要因である出世も大きな影響を及ぼすでしょう。

本論文の調査結果などには興味深いものがありますが、読者の中に違和感を覚える方もいるかもしれません。それぞれ価値観は多様です。異論があるかもしれませんが、本論は人を育てることをテーマにしている点、しかも知的労働者が何を考えているのか、具体的な手法や分析結果などが記載されている、といった面白さもあります。よろしければ一読をおすすめします。(岩崎 卓也)
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2008/02/16

一流人材にはつくり方がある

今号、2008年3月号に「一流人材のつくり方」という論文があります。冒頭に出てくる事例は興味深いものがあります。一昔前まで、女性は空間的思考が苦手だと言われていました。ハンガリーのある教育者夫婦がこの定説はおかしいと思い、自分の娘3人に施しした実験の話が紹介されています。

その夫婦は娘がまだ幼いうちから、空間的な思考が必要なチェスを徹底的に教え込んだのです。その結果、娘は3人とも女性チェス・プレーヤー世界ランキングで10位以内に入ったといいます。この論文は誤った定説に対する問題提起から入り、IQとその人の専門能力について相関性はないことを明らかにしていきます。専門能力は努力のほどとトレーニングの仕方によって変わるのです。やり方を間違わなければ一流の域に到達することが可能なのではないでしょうか。

それには大切なことが大きく3つあるといいます。一番目は師匠が優秀であることです。結局、良い指導者に恵まれないと良い結果は出ないのですね。第二は、本人が考えながらトレーニングをしないと身に着かないということです。のんべんだらりとやっていては、成長しないといいます。これはイチローが学生時代に、一打席ずつ考えながらバッティングセンターでボールを打っていた、ということと共通する部分があるように思えます。

三番目が反復練習。これをしないことには、いつまでたっても伸びていきません。したがって、一年、二年では専門能力は育成できないものだということがいえます。時間がかかることは明らかです。しかも、先の3つの条件は必要条件です。十分条件は運、心技体の体、コンディションなどに恵まれることがあげられます。

以上のことはリーダーシップ、ビジネスの能力にも同じことがいえるとこの論文に書かれています。その通りだな、と私は思います。翻すと、オールラウンドプレーヤーにはそう簡単になれるものではないのです。一芸に秀でるだけでも大変なのですから。でも、時間と労力はかかりますが、一流人材をつくる方法はあるということです。とくに、3つの条件のうち、一番大切なのは良い師匠につくことなのでしょう。そういう意味でも、前回紹介した「メンタリングの原点」などを読み、人材育成について考えることが大切になってくるのです。(岩崎 卓也)

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▽「DHBR」2008年3月号は一冊からお求めになれます。
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059690308
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2008/02/13

組織能力の底上げがなぜうまくいかないのか

前回、「メンタリングの原点」という論文を紹介しました。この論文は問題提起をしています。ここでは社員をA、B、Cとパフォーマンスで分けています。メンタリングはパフォーマンスの高いA社員と問題児のC社員に偏りがちになってしまう、とこの論文では指摘しています。本来なら、組織の大多数を占め、ロイヤリティも高いBクラスの人たちにメンタリングを行き届かせるべきなのです。できていないのが問題だ、とこの論文はいっています。

弊誌では人材教育に関する多くの取材経験があります。そのとき、目にした企業の悩みとして、組織能力の向上が思うように行かないというものがありました。理論的には、伸びている人を伸ばし、Cクラスに属する人たちの底上げ教育を同時にやると組織能力は上がるはずです。でも、実際はさほど上がっていかないという声を耳にしたのです。なぜでしょう。Aクラス社員を伸ばすことは問題なく、こちらの期待通りに実施できるケースが多いようです。でも、仮にCクラス社員に属する人たちに特別な教育を施し、優秀な社員へと変えることができたとします。そうすると、それまでBクラス社員だった人のなかからCクラスに転落する社員が出てくるようです。どんな手を打っても、Cクラス社員はいなくならないという状況が時としてあるのです。

組織は細胞と似ています。よく役に立つ細胞がいて、一方で役に立たない細胞がいる。自殺してしまう細胞もいるといいます。これらの中でポジティブな作用をする細胞を取り除いてしまうと、今度は何も働かなかった細胞が代わりをするようになるそうです。アリや働き蜂の社会も同様です。本当に働く者と怠け者が2:8の割合で分かれると言われています。働き者の蜂を追い出して怠け者の蜂だけにすると、この中の優秀な2割だけで集団を作り、残りが怠け者のまま残るといいます。

優秀な人材ばかりで集まったドリームチームは組織として成り立たないと言われる理由はここにあるのですね。優秀な人は優秀でない人がいるから出てくる。働き者でない人を切っても、働き者の一部が働かない人になってしまい、結局、切らなくても良かったということも起こるのです。このような経験に頭を痛めた方も多く、実は皆、悩ましく思っているのではないでしょうか。いろいろな企業の人にご自身の経験を本音でうかがいたいものです。(岩崎 卓也)

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▽「DHBR」2008年3月号は本日(2月9日)発売です。
一冊からお求めになれます。
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059690308
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2008/02/09

師匠について(その2)

今号の「DHBR」2008年3月号は「リーダーシップ強化法」を特集します。先月号の特集「リーダーシップ 経営力の本質」は、リーダーシップの中でも心得を中心に組みました。今号はリーダーシップのハウトゥに寄った内容になっています。
「メンタリングの原点」は金融業界、コンサルティング会社など、人材の質がカギを握る企業を対象とした論文です。退職率が高止まりしつつある現状を踏まえ、メンタリングの問題点、メンタリングに不可欠な基本とは何かについて述べられています。

以前、こちらのブログで私は社外にメンターを作ると良いのではないか、と書きました。メンタリングやコーチングが会社の中で制度化されていることは悪いことではないと思います。ではどこに問題があるのか。この論文では、評定の中に部下と対話することをプラス評価として入れることについて触れています。勤務評定に組み込み定量的な評価を下すようになると、やがてメンター制度は形式的なものになってしまうと指摘しています。

若手社員に仕事を教えながら、達成感や能力開発をされているという実感を与えるためにメンター制度が必要だと言われています。しかし、形式的だとかえって逆効果だという本論の主張はうなずけます。メンタリングにはアプレンティスシップ(apprenticeship)が必要なのです。この言葉は直訳すると徒弟制度になります。が、意味合いとしては年少者を重んじないネガティブなものではなく、従来から日本にある師弟関係を指しています。望ましいメンタリングの形は一対一の血の通ったものであるべきだというのがこの論文に書かれています。確かに、その通りだと私は感じました。

メンタリングを導入すると、メンタイーの成長だけでなく、メンターにもメリットがあるといわれています。その一つがインタイーが優秀だと触発されて、メンターが伸びるケースがあるといわれています。また、メンターになる人にはコミュニケーションのトレーニングを施すので、意志を伝え合う技術も伸びるでしょう。このような効果も含めて考えるとメンター制を実施するのはいいことだと思います。が、メンターを選ぶ際に機械的に入社年での先輩、後輩といった基準で関係を作るのはどうかと思うときがあります。本論文を読み、機械的なメンター制度の弊害を改めて感じました。(岩崎 卓也)
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2008/02/06

不安定なときこそ優れた人材が出てくる

先日、知人がDVDを観たと言っていました。タイトルは『長州ファイブ』といい、感動的で面白かったといいます。これは幕末、国禁を犯してまでイギリスへ渡った若者たちの話です。モデルになっているのは長州藩の5人。伊藤博文、日本の鉄道の父と呼ばれる井上勝、東京大学工学部の前身となる工学寮を創立した山尾庸三、そして井上馨、遠藤謹助です。

「倒幕だ、と幕府を倒すことばかり考えているのでは日本は良くならない」
今、自分たちがしなければならないことは海外の技術を学ぶことだ、と彼らは考えます。海外の進んだ技術を日本に持ち帰ることで、日本を良くしたいという気持ちが強かったのです。当時、密航が見つかれば死罪です。命がけでイギリスに渡ったのです。

私は山尾庸三に関する本を読んだことがあります。幕末のように、激しく揺れ動き、秩序が乱れる時代になると、突出した人物が多く出てくるものです。
今の時代、私たちは概ね平安の中にいます。組織が安定しているということは秩序が守られていることをあらわします。むしろ、秩序を乱すような不安定な状態のほうが良い意味での特異な人が出て来ることに適しているのです。
ドラッカーは言います。組織には人がリスクを犯すとか、チャレンジしようとすることに対して、アシを引っ張る仕組みが多すぎる。概して、組織は秩序を作る仕組みになっているのだ、ということです。

もちろん度が過ぎてはいけませんが、秩序が壊れるくらいの危機的な状況を乗り越えた企業は強くなるといわれています。また、経験則として認めるならば、危機のない安定した組織にイノベーションは生まれにくいともいえます。
最近の日本は非常にコンサバティブです。社長は任期内で波風立たずに勤め上げれば名社長です。予定調和に安住するほうがラクだから、多くの人はそちらに流れていくのでしょう。予定調和に生きずに、自ら舵取りしながら生きていくことは疲れることです。安定した世界の中でしかリーダーシップを発揮できない人もときどきいます。もちろん、自覚している人もいるわけで、江戸幕末や明治初期にロマンを感じる人がたくさんいるのは、安定している組織の中ではイノベーションが生まれてこないことを自身で自覚していることのあらわれなのかもしれない、とも思いました。(岩崎 卓也)
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2008/02/02

大塚製薬がとった青色の戦略

今年は明治、大正、昭和初期に創業した経営者の自伝、評伝を読もうと思っています。本田 宗一郎の『俺の考え』(新潮社)、『私の履歴書』(日本経済新聞社)や藤沢武夫の著書など、すでに読了したものもあります。

今、私が最も興味深いと感じているのは大塚製薬です。1921年、大塚武三郎氏は徳島県鳴門市に化学原料メーカーとして大塚製薬工場を創立しました。その後、大塚正士(まさひと)氏が経営を継承。オロナイン軟膏やオロナミンCドリンクなどを発売し、大塚製薬の名が知られるようになりました。意外に思われる方もいるかもしれませんが、大塚製薬は上場していません。
商品開発で特徴的なのは、それまで市場にないものを創るところにあります。競争のないところに進出していくのです。ポカリスエット(POCARI SWEAT)をみてもわかるでしょう。これは大塚明彦氏が代表取締役社長のときに発売されました。SWEATって汗です。今でこそ、スポーツドリンクはたくさん出ていますが、当時は画期的な商品でした。ファイブミニも、カロリーメイトも同じです。

ポカリスエットが発売された当時、消費材のパッケージにブルーを用いることはご法度だったといいます。色には進出色と後退色があって、進出色はオレンジ、黄色、朱色などの暖色系で、色の配置によって向こうからこちら側に出っ張って見える色をいいます。進出してくるように見えるから、進出色というようです。後退色は青などの寒色系で向こう側に後退して見える色を指します。赤などの進出色は波長が長く、後退色である青は波長が短い。当時、青などの波長の短い色よりも赤などの長いものを使ったほうが良いとされ、コカ・コーラをはじめ、赤をイメージカラーにした商品は多かったのです。ならば、あえて他が避ける青を使おうということで、ポカリスエットのカラーを掟破りの青にしたといいます。

大塚製薬といえば、オロナミンCドリンクが有名です。オロナミンCが誕生する前、飲料メーカーの多くはブドウ糖などをビンにつめて売っていました。大塚製薬も同様の製品がありましたが、競争に勝てませんでした。そんな折、リポビタンDなどの他社商品が薬っぽいことに気づきます。美味しくするにはどうしたら良いのだろう? 試行錯誤の末、炭酸を入れることに気づいたのです。これがオロナミンCの開発のきっかけだといわれています。

類似の他社商品の多くは医薬部外品(あるいは医薬品)になります。今でこそ医薬部外品はコンビニでも売れるようになりましたが、当時は薬局等でしか売れませんでした。でも、オロナミンCは医薬部外品、医薬品ではありません。炭酸が入りおいしさを追求したおかげで、お菓子屋さんでも売れるようになったのです。違うチャネルを得ることで、競争から逃れられるようになったわけですね。以来、大塚製薬は競争のないところに行くようになりました。競争がないから、常に一番手になれます。とにかく、逆張りをして過当競争に巻き込まれないようにする。まさに、これはブルーオーシャン戦略なのですね。大塚製薬はずっと昔から、意識もせずにブルーオーシャン戦略をとっていた会社なのです。(岩崎 卓也)
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