10月4日、大前研一さんの新刊を弊社より発刊させていただきます。タイトルは『大前研一 戦略論』です。内容は大前さんの論文集になります。実は、「ハーバードビジネスレビュー」アメリカ本誌に寄稿した日本人の中で、もっとも寄稿回数が多いのは大前さんなのです。日本人の場合、1回のみの掲載がほとんどというのに、なんと全部で7本も書いています。もちろん、英語で書かれているのですが、そのうち日本語に翻訳されていないものが4本もありました。今回、新たに日本語訳をつけたものが本書で読めます。
この本は大前さんの80年代の文筆活動をまとめたものともいえます。80年代当時、大前さんはマッキンゼーのディレクターをしており、今とは書く目的も違うこともあり作風が多少異なる部分もあります。20〜30歳代の方にとっては、今まで知らなかった大前さんの世界を垣間見ることになるかもしれませんね。また、40歳を超えた世代の方ならば、この頃の大前さんの活躍が記憶に残っている方も多いことでしょう。とはいえ、当時書かれたものは非常に多くあるので、全部お読みになっていない方もいるでしょう。また、もうかなり時間も経っているので内容を忘れている人もいらっしゃることでしょう。本書は論文のサマライズなので、読むことで内容を思い出し、学び直すといった点でお役に立つのではないかと自負しております。
1番おすすめしたい論文は「競争は戦略の目的ではない」(Getting Back to Strategy)です。この論文で彼はアカデミズムの戦略論に対して一石を投じています。「競争に勝つことが戦略の目的ではないだろう」と彼は言うのです。
〈戦略は顧客第一主義に基づいて立案されなければならない。そして、ライバルを相手に成否を試すのだ。〉
このような言葉で、私達がついつい忘れがちになってしまうことを問題として指摘しているのです。
昔、TBSブリタニカという出版社がありました。そこには、「ビジネスマン諸君」というさまざまな業界の人が書いたコラムがありました。以前大前さんはウォールストリートジャーナルで連載をしていました。「ザ・ベスト・コラム」というところに掲載されていました。こういったコラムまでが本書には掲載されているのです。
「もう過去のものですよ」
ご本人は仰ってましたが、私は新鮮さを感じますね。「ふるきをたずねて新しきを知る」とはまさにこのことを言うのだと思います。
ときどき大前さんとはお話しする機会がありますが、とにかく彼は明晰です。脳みそのつくりが違うなぁ、と私はいつも感じています。本書は大前さんの戦略論の原点ともいえます。80年代の大前さんをよく知っている方も、そうでない方もよろしければご一読を。(岩崎 卓也)
2007/09/29
2007/09/26
降っても晴れても リスクに強い組織
ここのところ松下の製品不具合に関する情報をよく目にします。先日は松下電池製、電池パックの不具合がありました。その前はナショナルFF式石油暖房機、ストーブの欠陥が重大事故を起こす可能性があるとして回収を行いました。このときは当時の社長である中村氏が委員長になって対策を進めました。このようなことは何度も起こってはいけないことです。ただ、私が思うに、企業は危機に直面したときお客様と真摯に向き合うことは何よりも大切でしょう。適切な対応によってお客様からの信頼を得ると同時に、危機を繰り返し乗り越えることによって足腰が鍛えられるのです。
他社の災難を対岸の火事だと思っている企業もあるかもしれません。自分のところにも火事が起きたとき、生き残れるのか自問したことはありますか。ポイントとなるのはお客様のことだけを考えて会社の組織体制、仕組みを作っているかどうかだといえます。このようなリスクに対して強い組織作りを意識することがまずは大切なのでしょう。
昔、ロッキード社の社長を務めていた人に雨男のような人がいました。彼は雇われ社長でしたが、行く先々で会社の危機に見舞われたのです。でも、彼は何度も危機を乗り越えてきているから、会社に大変なことが起こると迅速に対応できます。雨に降られ慣れているので、「今日は快晴だけど夕方6時くらいから雨が降る」といったことがなんとなくわかるような人でした。
まさに「組織が覚える」ということはこういうことです。シミュレーションではわからないことを実体験として覚えていくことが大切なのです。メーカーが取組んでいる素晴らしい側面を新聞で目にすることは少ないです。ですから、ユーザーであるお客様はメーカー社内のことはわかりません。恐らく、松下電器は一般的に知られているよりもしっかりとした対応をしているのではないかと私は思っています。全容を解明してくださるのなら、DHBRならきちんとメーカーの良い部分も書くでしょう。
日本では自社の不都合点を「恥」としてオープンにしない傾向があります。アメリカは恥だと思っていない。むしろ、オープンにするほうがフェアだと言ってしまうでしょう。恥の部分を重ねる。これはほめられることではありませんし、当事者は辛い。それでも、危機にどう対応するか、真摯に向き合っていくことで強い組織を作っていくではないかという気がしています。(岩崎 卓也)
他社の災難を対岸の火事だと思っている企業もあるかもしれません。自分のところにも火事が起きたとき、生き残れるのか自問したことはありますか。ポイントとなるのはお客様のことだけを考えて会社の組織体制、仕組みを作っているかどうかだといえます。このようなリスクに対して強い組織作りを意識することがまずは大切なのでしょう。
昔、ロッキード社の社長を務めていた人に雨男のような人がいました。彼は雇われ社長でしたが、行く先々で会社の危機に見舞われたのです。でも、彼は何度も危機を乗り越えてきているから、会社に大変なことが起こると迅速に対応できます。雨に降られ慣れているので、「今日は快晴だけど夕方6時くらいから雨が降る」といったことがなんとなくわかるような人でした。
まさに「組織が覚える」ということはこういうことです。シミュレーションではわからないことを実体験として覚えていくことが大切なのです。メーカーが取組んでいる素晴らしい側面を新聞で目にすることは少ないです。ですから、ユーザーであるお客様はメーカー社内のことはわかりません。恐らく、松下電器は一般的に知られているよりもしっかりとした対応をしているのではないかと私は思っています。全容を解明してくださるのなら、DHBRならきちんとメーカーの良い部分も書くでしょう。
日本では自社の不都合点を「恥」としてオープンにしない傾向があります。アメリカは恥だと思っていない。むしろ、オープンにするほうがフェアだと言ってしまうでしょう。恥の部分を重ねる。これはほめられることではありませんし、当事者は辛い。それでも、危機にどう対応するか、真摯に向き合っていくことで強い組織を作っていくではないかという気がしています。(岩崎 卓也)
2007/09/22
消費者の顔をした株主
今月号の特集、『「お客様主義」経営論』を制作している過程で、「消費者」と「株主」という二つの顔を持った個人の集団が企業と対峙する時代が来るのではないかと感じました。そもそも、コンシューマリズムは1960年代、ケネディ大統領が4つの権利を提唱したことに端を発します。安全を求める権利、選択する権利、知らされる権利、意見を反映される権利があると大統領が言い、日本にも飛び火したのです。
ところが、21世紀になってから、顧客主義が軽んじられてきたことは先日、こちらのブログで述べたとおりです。しかしながら、これからの時代、個人株主がさらに増えていくことを考えると流れは変わってくるような気がします。個人株主というのは消費者なのです。個人株主を大事にするか、お客様主義になれるかどうか、仕組みを変える必要が出てくることが予想されます。
流れを後押しするものの一つにXBRLがあります。以前、こちらのブログでも紹介しましたが、東証は決算情報(決算短信等)にXBRLを本格導入することを基本方針とし、検討を進めることとしています。
今はPDFで開示されている財務業績がXBRLの導入により、数値を手入力する必要がなくなります。今までと比べて、手入力によるミスが少なくなるでしょう。解析ソフトも開発が進んでいるようですね。XBRLの導入により、データをダウンロードすれば、これまでの何千分の一の時間で作業がすむようになります。今後は上場会社が今よりもっと細かく分析される傾向が強まるでしょう。
個人株主の中には賢い方がたくさんいます。XBRLの導入で情報開示がこの道のプロと言われていた人たちが、企業分析を今まで以上に短時間できるようになるのです。その結果、分析がより細かくできるようになるでしょう。企業に消費者の顔をした株主の個人集団がより激しく企業と対峙する時代が来るかもしれません。これから先、個人へのパワーが増す中、矢面に立たされる企業が出てくることは想像に難くはないと思っています。(岩崎 卓也)
ところが、21世紀になってから、顧客主義が軽んじられてきたことは先日、こちらのブログで述べたとおりです。しかしながら、これからの時代、個人株主がさらに増えていくことを考えると流れは変わってくるような気がします。個人株主というのは消費者なのです。個人株主を大事にするか、お客様主義になれるかどうか、仕組みを変える必要が出てくることが予想されます。
流れを後押しするものの一つにXBRLがあります。以前、こちらのブログでも紹介しましたが、東証は決算情報(決算短信等)にXBRLを本格導入することを基本方針とし、検討を進めることとしています。
今はPDFで開示されている財務業績がXBRLの導入により、数値を手入力する必要がなくなります。今までと比べて、手入力によるミスが少なくなるでしょう。解析ソフトも開発が進んでいるようですね。XBRLの導入により、データをダウンロードすれば、これまでの何千分の一の時間で作業がすむようになります。今後は上場会社が今よりもっと細かく分析される傾向が強まるでしょう。
個人株主の中には賢い方がたくさんいます。XBRLの導入で情報開示がこの道のプロと言われていた人たちが、企業分析を今まで以上に短時間できるようになるのです。その結果、分析がより細かくできるようになるでしょう。企業に消費者の顔をした株主の個人集団がより激しく企業と対峙する時代が来るかもしれません。これから先、個人へのパワーが増す中、矢面に立たされる企業が出てくることは想像に難くはないと思っています。(岩崎 卓也)
2007/09/19
価値の上がるものにお金をかけたい
私は住む家は「賃貸」にしており、購入していません。恐らくこれからも購入しないでしょう。もちろん、これは私個人の考え方によるもので、借りるか買うかどちらが良いのか断定できるものではありません。私が購入に踏み切らないのはリスクの大きさが理由としてあげられます。中でも一番大きな理由は地震です。正確な地盤情報はハッキリとわからないものです。自分が購入した土地が実は地盤がゆるい、といったことが万が一明らかになる可能性もないとはいいきれないのです。そのほか、病気になり寝たきりになってしまうなど、支払いができなくなるパターンがいくもあります。保険加入によって保障される部分もありますが、保険金が思ったよりも少ない、支払われないといったことを考えるとやはりちゅうちょしてしまいますね。
賃貸住宅に住んでいるもう一つの理由は資産価値が下がっていくものに対して、ローンの返済をしていくことに抵抗を感じていることがあります。何千万円ものお金を利息として払うのなら、他のものに使いたいのです。そういった意味では、ローンを組まずにキャッシュで家が買えるのならば、私は分譲マンションを購入するかもしれませんね。
そもそも日本の住宅取得とアメリカとでは感覚が随分違います。アメリカは住宅を購入したあと、転売したときに価値が上がります。日本では土地そのものは買ったときの価格よりも高く売れることはありますが、建物は年々価値が下がっていきます。
アメリカでは庭の手入れをこまめにしてお花を植える、良い家具を入れる、お風呂をリフォームするといったことを施すと上モノの価値が上がっていく場合がよくあるのです。日本のように転売したときに建物の価値が必ず下がるようなことはありません。マンションを買って住み始めたら、その時点で2〜3割評価額が下がってしまいます。土地の価格が上がった場合、マンションの価格が買ったときよりも高く売れることはありますが、あくまで居住部分は価値が下がるというのが日本の考え方です。
ただし、ヒトは買い物が好きです。何かを手に入れると幸せな気持ちになります。ですから、家を買うということは単に損得だけで判断できない部分があることも事実ですね。とはいえ、やはり私はリスクを考えると住居は賃貸でいこうと思っています。(岩崎 卓也)
賃貸住宅に住んでいるもう一つの理由は資産価値が下がっていくものに対して、ローンの返済をしていくことに抵抗を感じていることがあります。何千万円ものお金を利息として払うのなら、他のものに使いたいのです。そういった意味では、ローンを組まずにキャッシュで家が買えるのならば、私は分譲マンションを購入するかもしれませんね。
そもそも日本の住宅取得とアメリカとでは感覚が随分違います。アメリカは住宅を購入したあと、転売したときに価値が上がります。日本では土地そのものは買ったときの価格よりも高く売れることはありますが、建物は年々価値が下がっていきます。
アメリカでは庭の手入れをこまめにしてお花を植える、良い家具を入れる、お風呂をリフォームするといったことを施すと上モノの価値が上がっていく場合がよくあるのです。日本のように転売したときに建物の価値が必ず下がるようなことはありません。マンションを買って住み始めたら、その時点で2〜3割評価額が下がってしまいます。土地の価格が上がった場合、マンションの価格が買ったときよりも高く売れることはありますが、あくまで居住部分は価値が下がるというのが日本の考え方です。
ただし、ヒトは買い物が好きです。何かを手に入れると幸せな気持ちになります。ですから、家を買うということは単に損得だけで判断できない部分があることも事実ですね。とはいえ、やはり私はリスクを考えると住居は賃貸でいこうと思っています。(岩崎 卓也)
2007/09/15
無意識に顧客を搾取する企業
2007年10月号「お客様が敵に変る時」という論稿は日本にも及ぶかもしれない新しい流れをあらわしています。
私たちは企業に勤める人間でもあり、その一方で消費者でもあります。顧客という立場に立ったとき、企業に対してとても腹立たしい気持ちになったことは、1回や2回は皆様おありでしょう。
生命保険会社から送られてくる約款の文字が小さくて読めない、携帯電話の料金プランが複雑でどれに加入してよいのかわからないといったことは、アメリカでもよくあることなのです。この論稿では携帯電話のサービスプラン、銀行などを事例に用いて説明をしています。
〈企業は顧客の判断ミスをなくそうとするどころかつけ入っている〉と言い切り、透明で顧客本位の戦略から顧客を搾取する企業本位の戦略に変えてしまったことを批判しています。もちろん、すべての企業がそうではありません。なかには顧客を食い物にして短期的に儲けようとしている企業があることはアメリカも日本も同じなのです。
このような企業はやがて顧客に憎まれ見放されるでしょう。それだけではありません。この論稿で注目すべきは、アメリカでは訴訟が起きる、賠償金支払を命ぜられる、といったケースがすでに発生していることです。これまで企業は「それはお客様の自己責任です」という言葉で都合よく処理してきた部分もありますが、今後は言えなくなるような時代が来るかもしれません。
“value for money”という言葉があります。支払った金額に見合った価値を享受する。その視点から、今後は使わないものに対して、企業はお客様にお金を返すといった必要性も出てくる可能性はあります。自社に好ましくない商慣行の兆候があるかどうか確認が必要です。こちらの論稿では4つの質問によって、自社をチェックし分析するためのヒントを紹介しています。自社が危険な状態にはまっているのかどうか、今のうちに自問しておくと良いかもしれません。(岩崎 卓也)
私たちは企業に勤める人間でもあり、その一方で消費者でもあります。顧客という立場に立ったとき、企業に対してとても腹立たしい気持ちになったことは、1回や2回は皆様おありでしょう。
生命保険会社から送られてくる約款の文字が小さくて読めない、携帯電話の料金プランが複雑でどれに加入してよいのかわからないといったことは、アメリカでもよくあることなのです。この論稿では携帯電話のサービスプラン、銀行などを事例に用いて説明をしています。
〈企業は顧客の判断ミスをなくそうとするどころかつけ入っている〉と言い切り、透明で顧客本位の戦略から顧客を搾取する企業本位の戦略に変えてしまったことを批判しています。もちろん、すべての企業がそうではありません。なかには顧客を食い物にして短期的に儲けようとしている企業があることはアメリカも日本も同じなのです。
このような企業はやがて顧客に憎まれ見放されるでしょう。それだけではありません。この論稿で注目すべきは、アメリカでは訴訟が起きる、賠償金支払を命ぜられる、といったケースがすでに発生していることです。これまで企業は「それはお客様の自己責任です」という言葉で都合よく処理してきた部分もありますが、今後は言えなくなるような時代が来るかもしれません。
“value for money”という言葉があります。支払った金額に見合った価値を享受する。その視点から、今後は使わないものに対して、企業はお客様にお金を返すといった必要性も出てくる可能性はあります。自社に好ましくない商慣行の兆候があるかどうか確認が必要です。こちらの論稿では4つの質問によって、自社をチェックし分析するためのヒントを紹介しています。自社が危険な状態にはまっているのかどうか、今のうちに自問しておくと良いかもしれません。(岩崎 卓也)
2007/09/12
儲からないお客様につくしなさい
弊誌の“FROM the EDITORS”というコーナーには、編集部からのメッセージを掲載させていただいています。今月号、このコーナーの原稿を執筆しているとき思い出したことがあります。それは山中〓(かん)氏の言葉です。氏は「百貨店経営の神様」とあがめられた経営者で、私はお亡くなりになる前に一度お会いしたことがあります。
「儲かるお客様から本当に儲けるためには、儲からないお客様につくしなさい」
山中氏はこのようにおっしゃっていました。
「このお客はあまり儲けさせてくれないから、そのお金に見合う程度の事しかやらない」
効率のよいやり方のように思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこれは駄目だということなのです。山中氏にとって、お客様をランク付けして対応を分けて付き合うなんて言語道断だということです。儲からないお客様にも儲けさせてくれるお客様と同じように接することが大事なのです。そうしないと本当にいいサービスは身に付かないのです。商売の原則からいうと、儲かるお客様というのは全体の2割程度、儲からないお客様は8割います。儲かるお客様が利益の8割を稼いでいるわけで、ここにも2:8の法則が当てはまります。ということは10回お客様が来るとしたら、そのうち儲かるお客様は2回だけしか来ないのです。
この人は儲からない客だとして、8回も質の低いサービスをしている店員のところに、良いお客が来たからといって突然良いサービスができるでしょうか。サービスのレベルを変える。これは本当良いサービスを身に付けている人のやることではないはずです。そもそも、良いサービスは反復して行ったほうがサービスを提供する人も苦にならないはずです。
要するに全力を尽くしましょうということです。全力を尽くさずにいると、本当に尽くさなくてはならないときに全力を出せなくなってしまうのです。80%をサボっている人が残りの20%、大切なお客様が来たときに本当にいいサービスができるのかどうか。サボっていた身体でベストパフォーマンスは出せないでしょう。
他方、顧客対応の質を上げるならマニュアル整備に力を入れるべき、という考え方も一つあります。もちろん、業種によってマニュアルはどうしても必要になってくると思いますが、それに頼っていていいのかということです。またマニュアルを作ったら、作り放しでいいのかという問題もあります。トヨタがトヨタでありつづけているのは、マニュアルを常に改善しているからでもあるのです。マニュアルを日々改善していけばいくほど、例外が減っていってクオリティーが上がっていくということなのではないでしょうか。
今月号の“FROM the EDITORS”は、『お客様主義は「永遠の課題」』というタイトルをつけました。執筆に当たっては、山中かん氏のことを思いながら書いた部分もありました。(岩崎 卓也)
2007年10月号 9月10日発売 定価2,000円(税込)
特集:「お客様主義」経営論
一冊から購入できます。
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059691007
「儲かるお客様から本当に儲けるためには、儲からないお客様につくしなさい」
山中氏はこのようにおっしゃっていました。
「このお客はあまり儲けさせてくれないから、そのお金に見合う程度の事しかやらない」
効率のよいやり方のように思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこれは駄目だということなのです。山中氏にとって、お客様をランク付けして対応を分けて付き合うなんて言語道断だということです。儲からないお客様にも儲けさせてくれるお客様と同じように接することが大事なのです。そうしないと本当にいいサービスは身に付かないのです。商売の原則からいうと、儲かるお客様というのは全体の2割程度、儲からないお客様は8割います。儲かるお客様が利益の8割を稼いでいるわけで、ここにも2:8の法則が当てはまります。ということは10回お客様が来るとしたら、そのうち儲かるお客様は2回だけしか来ないのです。
この人は儲からない客だとして、8回も質の低いサービスをしている店員のところに、良いお客が来たからといって突然良いサービスができるでしょうか。サービスのレベルを変える。これは本当良いサービスを身に付けている人のやることではないはずです。そもそも、良いサービスは反復して行ったほうがサービスを提供する人も苦にならないはずです。
要するに全力を尽くしましょうということです。全力を尽くさずにいると、本当に尽くさなくてはならないときに全力を出せなくなってしまうのです。80%をサボっている人が残りの20%、大切なお客様が来たときに本当にいいサービスができるのかどうか。サボっていた身体でベストパフォーマンスは出せないでしょう。
他方、顧客対応の質を上げるならマニュアル整備に力を入れるべき、という考え方も一つあります。もちろん、業種によってマニュアルはどうしても必要になってくると思いますが、それに頼っていていいのかということです。またマニュアルを作ったら、作り放しでいいのかという問題もあります。トヨタがトヨタでありつづけているのは、マニュアルを常に改善しているからでもあるのです。マニュアルを日々改善していけばいくほど、例外が減っていってクオリティーが上がっていくということなのではないでしょうか。
今月号の“FROM the EDITORS”は、『お客様主義は「永遠の課題」』というタイトルをつけました。執筆に当たっては、山中かん氏のことを思いながら書いた部分もありました。(岩崎 卓也)
2007年10月号 9月10日発売 定価2,000円(税込)
特集:「お客様主義」経営論
一冊から購入できます。
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059691007
2007/09/08
カスタマー・エクスペリエンスの重要性
新しいバズワードとまではいいませんが、「カスタマー・エクスペリエンス」という言葉はキーワードとして注目に値すると思います。サービス業に限らず、メーカーまでもが自分たちはユーザーが製品を使っているシーンを想定して開発をしていると言っています。自動車メーカーも同じです。一時期、日本の自動車会社は、我々はトランスポーテーションサービスカンパニーであると言い出したわけです。
次号2007年10月号の特集には、「顧客経験のマネジメント」という論稿を掲載します。ここでは、カスタマー・エクスペリエンス(顧客経験)について触れられています。顧客の期待だけでなく、顧客の経験までを把握して経営をすべきというのがこの論稿の主張です。
顧客経験いうことを意識することは企業の中で根付いているように見えるのですが、現実はどうなのでしょう。問題は誤ったCRMが繰り広げられていることではないでしょうか。90年代、儲けさせてくれるお客様が良い客、という風潮が出ていました。CRMをみると、私たちは儲けや利益優先といったものごとで、お客様を知らないうちに値踏みしているのではないでしょうか。お客様からすると、自分がもうかるお客かどうかなんて関係のないことです。企業を儲けさせるために付き合っているわけではないわけですから、顧客のライフタイムバリューなんて関係のないことです。このお客さんと生涯付き合ったら何千万円もらえるかを、企業が考えているなんて、お客さんは想像もしません。出会いが悪かったらライフタイムバリューはゼロです。お客様はその企業とは付き合いません。
「いっぱいお金を払ってくれるからいいサービスをしましょう」
これはわかるのですが、払ってないお客さんをないがしろにしてしまおうという風潮があるのではないでしょうか。
アメリカではレストランやホテルなどでチップを払うのが普通です。ところが、日本人はアメリカ人と比べ、たくさんの量を食べられないわけです。
レストランで店の人に、「前菜をメインにして欲しい」などとお願いすると、店員はいきなり不機嫌になってしまいます。仕方がないので、一本300ドルものワインを頼むと、今度はサービスでよくなるのですね。
日本ではここまで極端なケースはまれですが、効率化の道具を入れ、コストを削減を図ってきました。知らないうちに、ある程度均一であるはずの組織にばらつきが出たのが今なのかなという気がしています。(岩崎 卓也)
次号2007年10月号の特集には、「顧客経験のマネジメント」という論稿を掲載します。ここでは、カスタマー・エクスペリエンス(顧客経験)について触れられています。顧客の期待だけでなく、顧客の経験までを把握して経営をすべきというのがこの論稿の主張です。
顧客経験いうことを意識することは企業の中で根付いているように見えるのですが、現実はどうなのでしょう。問題は誤ったCRMが繰り広げられていることではないでしょうか。90年代、儲けさせてくれるお客様が良い客、という風潮が出ていました。CRMをみると、私たちは儲けや利益優先といったものごとで、お客様を知らないうちに値踏みしているのではないでしょうか。お客様からすると、自分がもうかるお客かどうかなんて関係のないことです。企業を儲けさせるために付き合っているわけではないわけですから、顧客のライフタイムバリューなんて関係のないことです。このお客さんと生涯付き合ったら何千万円もらえるかを、企業が考えているなんて、お客さんは想像もしません。出会いが悪かったらライフタイムバリューはゼロです。お客様はその企業とは付き合いません。
「いっぱいお金を払ってくれるからいいサービスをしましょう」
これはわかるのですが、払ってないお客さんをないがしろにしてしまおうという風潮があるのではないでしょうか。
アメリカではレストランやホテルなどでチップを払うのが普通です。ところが、日本人はアメリカ人と比べ、たくさんの量を食べられないわけです。
レストランで店の人に、「前菜をメインにして欲しい」などとお願いすると、店員はいきなり不機嫌になってしまいます。仕方がないので、一本300ドルものワインを頼むと、今度はサービスでよくなるのですね。
日本ではここまで極端なケースはまれですが、効率化の道具を入れ、コストを削減を図ってきました。知らないうちに、ある程度均一であるはずの組織にばらつきが出たのが今なのかなという気がしています。(岩崎 卓也)
2007/09/05
顧客、消費者、そしてお客様
次号、2007年10月号の特集は「お客様主義 経営論」です。9月10日発売となります。弊誌の歴史の中でも、変わったタイトルです。なせ、このタイトルにしたのかというと、ここ10年来、お客様が一番大事なのだという気運が高まっていないのではないか、そのような疑問を感じているからです。
サービス業にいらっしゃる方は「顧客」「消費者」という言葉を日常的に使うことはないと思います。「お客様」と呼んでいるはずです。「顧客」「消費者」って冷たい言い方だと思いませんか。伊勢丹の有名な言葉で「お買い場」というものがあります。商品の「売り場」ではなく、お客様がお買いになる場所という、お客様の視点から物を見ていることが伝わってくる言葉なのです。このような言霊を定着させていくことが、経営においては大事だと常々いわれていたのですが、最近忘れられているのではないでしょうか。
21世紀になってから、ビジネスジャーゴンにはお客様関連のものがみあたりません。ビジネスジャーゴンはITが流行っているときは、売らんがためのものでした。ことお客様にかかわるもので、企業の怠慢を戒めるようなものはほとんどありませんでした。そこで、原点に帰るという意味を含めて、日本企業が大事にしていた、「お客様」と呼んでいる言葉をもう一度使ってみようということで、今号のタイトルををつけたのです。
つきつめていえば、お客様を第一に考えるということは、企業で一番大切なことだと思うのです。日本の経営スタイル、風土に合っていることでもあります。ところが、90年代後半から、株主価値経営がいわれ始め、知らないうちに顧客主義が軽んじられてきたな、ということは多くの人が実感しているところだと思います。
そんななか、バリュー・ベースド・マネジメント(VBM)という言葉が出てきて、ビジネスモデル、企業内部の仕組みを変えていかなくてはならないという考えが強くなってきました。もちろん、これらは大切なことです。かといって効率を優先する、自社の仕組みや事情を優先してやって良いということはありえないのです。
正直、私自身、自分の会社を省みたとき、天につばを吐くような気持ちにさせられます。出版、テレビなど、マスメディアにはお客様という言葉がない。読者であり視聴者なのです。創る人と読む人、観る人なのです。
出版社が大切にしているステークスホルダーは、書店であり、校正、ライターなどのスタッフです。エンドユーザーとの接点がしっかりとなされていないのです。もちろん、お客様を大事にしていないとはいいませんが、一番大事にいているかどうか、その部分について自分自身を含め再度考え直したい、これが今号のテーマです。(岩崎 卓也)
サービス業にいらっしゃる方は「顧客」「消費者」という言葉を日常的に使うことはないと思います。「お客様」と呼んでいるはずです。「顧客」「消費者」って冷たい言い方だと思いませんか。伊勢丹の有名な言葉で「お買い場」というものがあります。商品の「売り場」ではなく、お客様がお買いになる場所という、お客様の視点から物を見ていることが伝わってくる言葉なのです。このような言霊を定着させていくことが、経営においては大事だと常々いわれていたのですが、最近忘れられているのではないでしょうか。
21世紀になってから、ビジネスジャーゴンにはお客様関連のものがみあたりません。ビジネスジャーゴンはITが流行っているときは、売らんがためのものでした。ことお客様にかかわるもので、企業の怠慢を戒めるようなものはほとんどありませんでした。そこで、原点に帰るという意味を含めて、日本企業が大事にしていた、「お客様」と呼んでいる言葉をもう一度使ってみようということで、今号のタイトルををつけたのです。
つきつめていえば、お客様を第一に考えるということは、企業で一番大切なことだと思うのです。日本の経営スタイル、風土に合っていることでもあります。ところが、90年代後半から、株主価値経営がいわれ始め、知らないうちに顧客主義が軽んじられてきたな、ということは多くの人が実感しているところだと思います。
そんななか、バリュー・ベースド・マネジメント(VBM)という言葉が出てきて、ビジネスモデル、企業内部の仕組みを変えていかなくてはならないという考えが強くなってきました。もちろん、これらは大切なことです。かといって効率を優先する、自社の仕組みや事情を優先してやって良いということはありえないのです。
正直、私自身、自分の会社を省みたとき、天につばを吐くような気持ちにさせられます。出版、テレビなど、マスメディアにはお客様という言葉がない。読者であり視聴者なのです。創る人と読む人、観る人なのです。
出版社が大切にしているステークスホルダーは、書店であり、校正、ライターなどのスタッフです。エンドユーザーとの接点がしっかりとなされていないのです。もちろん、お客様を大事にしていないとはいいませんが、一番大事にいているかどうか、その部分について自分自身を含め再度考え直したい、これが今号のテーマです。(岩崎 卓也)
2007/09/01
教えて欲しいことがあります
今年になってから3度の世界同時株安が起こりました。2月の中国上海からの株安、3月の米国の株安、7月に起こった株安。今回はご存知の通り、米国のサブプライム問題が理由とされています。この問題はどこまで飛び火するのでしようか。
竹中平蔵氏の発言は楽観的です。世界経済が米国依存を強めていることから、影響の波及が大きい面はあるとするものの、そんなに深刻な問題ではないといっています。かつて、大臣をおやりになったことや経済学者というお立場にあることなどから影響力を考慮し、あえてオブラートに包んでいるのかとも思います。
他方、大前研一氏はサブプライムローンの証券化を問題だと指摘しています。サブプライムローンが何千、何万と束ねられREITのような小口債券化した商品、いわゆるABS(アセット・バックト・セキュリティ:資産担保証券)に転じていることの危うさを指摘しています。サブプライムとは住宅ローンの一種です。本当だったら貸してはいけない人たちに、高利で貸していたのがサブプライムローンなのです。
ABS化したものを各国の機関投資家がどれだけポートフォーリオの中に入れているのかわかりませんが、日本の機関投資家も買っていることは確かです。ここに問題があるのだと思います。
証券化することで最初のお金がどんどん姿を変えていっています。私はセカンドオピニオンとして、あらゆる新聞に目を通したわけではありません。しかし、少なくとも竹中氏と大前氏の言っていることは全く違うわけです。竹中さんはそんなにゆゆしき問題ではないと言っています。他方、大前氏は深刻な問題だと言っているのです。ちょっとわからない状況になっています。
なかでも、市場の予測に関しては証券会社のエコノミストというのは専門家なのでしょうが、ニュートラルではないような気がします。私が知りたいのは、ニュートラルで本当のこと言ってくれるエコノミストは誰なのか、ということです。
皆様、ニュートラルで本当のことを言ってくれるエコノミストをご存知でしたら教えていただけますか。このブログのコメント欄に、エコノミスト名やご解説等を入れていただけるとうれしいです。
もちろん、プライムローンの問題に関しては、正しいことを言える人がいるのかどうか、難しい面もあります。今の市場はひとつのことが動けば複雑に多数のものが絡み合って、予想外のものが動くといった状況です。このようなカオスな経済を正しく読める人なんて、つきつめるといないのかもしれません。
だったら、「読めない」って自ら言って欲しい気もしますが、できないのが専門家のつらいところなのでしょう。ただ、私たちとしては、投資判断はなんかの形で欲しいものです。
エコノミストをご存知の方、教えてください。(岩崎 卓也)
竹中平蔵氏の発言は楽観的です。世界経済が米国依存を強めていることから、影響の波及が大きい面はあるとするものの、そんなに深刻な問題ではないといっています。かつて、大臣をおやりになったことや経済学者というお立場にあることなどから影響力を考慮し、あえてオブラートに包んでいるのかとも思います。
他方、大前研一氏はサブプライムローンの証券化を問題だと指摘しています。サブプライムローンが何千、何万と束ねられREITのような小口債券化した商品、いわゆるABS(アセット・バックト・セキュリティ:資産担保証券)に転じていることの危うさを指摘しています。サブプライムとは住宅ローンの一種です。本当だったら貸してはいけない人たちに、高利で貸していたのがサブプライムローンなのです。
ABS化したものを各国の機関投資家がどれだけポートフォーリオの中に入れているのかわかりませんが、日本の機関投資家も買っていることは確かです。ここに問題があるのだと思います。
証券化することで最初のお金がどんどん姿を変えていっています。私はセカンドオピニオンとして、あらゆる新聞に目を通したわけではありません。しかし、少なくとも竹中氏と大前氏の言っていることは全く違うわけです。竹中さんはそんなにゆゆしき問題ではないと言っています。他方、大前氏は深刻な問題だと言っているのです。ちょっとわからない状況になっています。
なかでも、市場の予測に関しては証券会社のエコノミストというのは専門家なのでしょうが、ニュートラルではないような気がします。私が知りたいのは、ニュートラルで本当のこと言ってくれるエコノミストは誰なのか、ということです。
皆様、ニュートラルで本当のことを言ってくれるエコノミストをご存知でしたら教えていただけますか。このブログのコメント欄に、エコノミスト名やご解説等を入れていただけるとうれしいです。
もちろん、プライムローンの問題に関しては、正しいことを言える人がいるのかどうか、難しい面もあります。今の市場はひとつのことが動けば複雑に多数のものが絡み合って、予想外のものが動くといった状況です。このようなカオスな経済を正しく読める人なんて、つきつめるといないのかもしれません。
だったら、「読めない」って自ら言って欲しい気もしますが、できないのが専門家のつらいところなのでしょう。ただ、私たちとしては、投資判断はなんかの形で欲しいものです。
エコノミストをご存知の方、教えてください。(岩崎 卓也)
