ホワイトカラーの生産性を上げるため、ツールの導入が盛んに行われました。ただ、私が思うに、人事評価ツールの導入は慎重に行うべきだという気がしています。
人事ツールのなかでも、簡単な性格診断テストの類は参考程度に使われるからいいとしても、人事評価システムのIT化には危険性があると思っています。
なぜそのように感じたかというと、きっかけは今月号の特集にあります。今回、弊誌では創刊30周年を記念し、30年間に掲載した論文の中から30本をセレクトして紹介しました。特集を組むにあたり、私は30年もの間に世に出た論文や書籍を再度読み返したのです。そうすると、何らかのツールや制度が出てくる背景には時代の要請があったことを再確認しました。
本来、人事制度とはこの基本的な戦略論のムーブメントに合っているものでなければなりません。これまでの戦略を推し進めてきた結果、行き詰まりを見せ、これまでのやり方ではダメなのだということがわかる。そのときに、人事制度は変わっていくはずです。
事業の特性にあわせて人事制度を変えようとしたときに、ボトルネックとなるのが、ITシステム、人事評価ツールなのです。一度導入したシステムは、なかなかやめるわけにはいかないのです。サンクコストが発生してしまうこともあります。さらには、
「こんなくだらないものを誰が入れたのだ」
責任追及をする人が現れるかもしれません。
本来でしたら、事業の性格によって戦略が変わり、それにしたがってインセンティブも変えていかなければなりません。しかしながら、人事のITシステムに縛られ、一律、なにも変えられない、それが現状ではないかと感じることがあります。求める人材が変わってくるにもかかわらず、人事システムがメンテナンスされていない。そのような状況に私は問題を感じざるを得ません。(岩崎 卓也)
2006/10/31
2006/10/28
マネジャーが部下の問題を解決するには
次号のDHBRは組織が抱えている病理に迫ります。
「受動攻撃性:変化を拒む組織の病」という論稿には、組織DNAのオンライン診断を無料で提供している企業の調査結果が載っています。回答を分析すると、世の中の4分の1以上の組織は不健全な組織に分類されるといいます。この論稿では、成人であるにもかかわらず幼児性を抱えている問題ある人を取り上げています。「言われたことをやらない」「やり過ごす」人を「受動攻撃型」と呼び、分析しています。
そのほか組織の方針に公然と反対する勢力も私たちのまわりには良く出現します。これは改革の妨げとなると指摘しています。なぜ、このような不健全な組織が生まれてしまうのか、またそれから逃れる方法はあるのか、調査結果から論じています。
「睡眠不足は企業リスクである」では、睡眠時間を削るとパフォーマンスが低下することに焦点を当て語っています。ハーバード・メディカルスクールの睡眠の権威は睡眠不足の危険性を警告し、社員も経営陣も等しく従う睡眠指針を会社として規定するべきだ、と主張しているのです。
弊誌では以前、「Cクラス社員のマネージメント」という特集を組みました。ここでは、「寛容になり諦めよう。Cクラス社員にパワーを使うのはもったいないよ」という主張が根底にあります。どうしようもないCクラス社員はどこの組織にでも一人くらいならいるものだということです。実のところ、これを発行した頃、読んで納得することで溜飲が下がった、という声が編集部にいくつか届きました。
要するに、マネージャーが部下の問題の解決をするには、ひたすら「優しくなれ」ということです。そこにいくしかないのです。あとは「どうしようもない社員は首を切る」という選択肢もありますが、日本では頻繁にはできない風習がありますね。
マネジメントをする人間にとって、最も重要で難しい問題を取り上げた次号が読者の皆さまにとって、なにかしらの刺激や参考になるよう望んでいます。(岩崎 卓也)
「受動攻撃性:変化を拒む組織の病」という論稿には、組織DNAのオンライン診断を無料で提供している企業の調査結果が載っています。回答を分析すると、世の中の4分の1以上の組織は不健全な組織に分類されるといいます。この論稿では、成人であるにもかかわらず幼児性を抱えている問題ある人を取り上げています。「言われたことをやらない」「やり過ごす」人を「受動攻撃型」と呼び、分析しています。
そのほか組織の方針に公然と反対する勢力も私たちのまわりには良く出現します。これは改革の妨げとなると指摘しています。なぜ、このような不健全な組織が生まれてしまうのか、またそれから逃れる方法はあるのか、調査結果から論じています。
「睡眠不足は企業リスクである」では、睡眠時間を削るとパフォーマンスが低下することに焦点を当て語っています。ハーバード・メディカルスクールの睡眠の権威は睡眠不足の危険性を警告し、社員も経営陣も等しく従う睡眠指針を会社として規定するべきだ、と主張しているのです。
弊誌では以前、「Cクラス社員のマネージメント」という特集を組みました。ここでは、「寛容になり諦めよう。Cクラス社員にパワーを使うのはもったいないよ」という主張が根底にあります。どうしようもないCクラス社員はどこの組織にでも一人くらいならいるものだということです。実のところ、これを発行した頃、読んで納得することで溜飲が下がった、という声が編集部にいくつか届きました。
要するに、マネージャーが部下の問題の解決をするには、ひたすら「優しくなれ」ということです。そこにいくしかないのです。あとは「どうしようもない社員は首を切る」という選択肢もありますが、日本では頻繁にはできない風習がありますね。
マネジメントをする人間にとって、最も重要で難しい問題を取り上げた次号が読者の皆さまにとって、なにかしらの刺激や参考になるよう望んでいます。(岩崎 卓也)
2006/10/24
学習に要するコストと年齢との関係
コッターのリーダーシップの本を出します。これまでのコッターの本とは少々中身が違います。王国を舞台にした寓話になっているのです。読み進めて行くうちに、コッターのリーダーシップ論が理解できるように工夫されています。こちらは市販される予定ですので、気軽に手にとっていただきたいです。
寓話という形を取っていることもあり、非常に読みやすいものとなっています。そのせいでしょうか、
「高校生ぐらいだったら、何かを感じてくれるのではないか」
といった声が出てきました。弊社は学校教育、環境教育をひとつの事業として展開しています。そこで、「ビジネスのメソッドを教育の現場に活用する」プロジェクトとして、今回の本を位置付けました。全国の小中高5万校に対して、寄贈をしようと考えています。
リーダーシップというのは年齢が高くなってから学ぼうとすると、コストがかかってしまうものです。もっと若い世代でやれば低コストで済むのではないか、という気持ちもあります。他方、現状では体育祭、文化祭などで、クラスの中での役割をすでに固定的な自分の役割とみなし、「こんなもんだよなぁ」とあきらめてしまっている子供が多いとも思うのです。
しかしながら、ちゃんとした手順を踏めば、自分も変われるし、周りも変われる。気合いとか根性とか、思い切ってやるとか、そういうことではなくて、ツール、手段を使うことで、変われるものだと私は思っています。高校の時から、リーダーシップを教材として学ぶことは意義あることではないでしょうか。
学校教育では手がまわらない部分の支援となれば幸いです。なんらかの形で、高校生の教育に、使ってもらおうと毎日動いております。
ぜひ社会人になる前の方たちに、会社に入るまでにベーシックな考え方を身に付けてもらいたいなぁ、という思いでいます。(NIJIN-OT)
寓話という形を取っていることもあり、非常に読みやすいものとなっています。そのせいでしょうか、
「高校生ぐらいだったら、何かを感じてくれるのではないか」
といった声が出てきました。弊社は学校教育、環境教育をひとつの事業として展開しています。そこで、「ビジネスのメソッドを教育の現場に活用する」プロジェクトとして、今回の本を位置付けました。全国の小中高5万校に対して、寄贈をしようと考えています。
リーダーシップというのは年齢が高くなってから学ぼうとすると、コストがかかってしまうものです。もっと若い世代でやれば低コストで済むのではないか、という気持ちもあります。他方、現状では体育祭、文化祭などで、クラスの中での役割をすでに固定的な自分の役割とみなし、「こんなもんだよなぁ」とあきらめてしまっている子供が多いとも思うのです。
しかしながら、ちゃんとした手順を踏めば、自分も変われるし、周りも変われる。気合いとか根性とか、思い切ってやるとか、そういうことではなくて、ツール、手段を使うことで、変われるものだと私は思っています。高校の時から、リーダーシップを教材として学ぶことは意義あることではないでしょうか。
学校教育では手がまわらない部分の支援となれば幸いです。なんらかの形で、高校生の教育に、使ってもらおうと毎日動いております。
ぜひ社会人になる前の方たちに、会社に入るまでにベーシックな考え方を身に付けてもらいたいなぁ、という思いでいます。(NIJIN-OT)
2006/10/21
『魂のシャウト!』でぐっすり睡眠
先月は徹夜を何度か行いました。ある徹夜した翌朝、私は朝5時に会社を出ました。その日は夕食を食べる時間がとれなかったので、遅い夕食を食べに恵比寿まで行ったのです。最近は朝7時までやっている居酒屋があります。そこで読んだ本が面白かったので紹介させてください。
タイトルは『魂のシャウト!』、お笑い芸人の井上マーの作品です。彼は島田紳助の弟子で、吉本興業に所属しています。
お笑いのピン芸コンクールに「R-1ぐらんぷり」というものがあります。これは若手芸人に漫談の実力を発揮してもらおうという趣旨のものです。
2005年、井上マーは決勝進出をして、惜しくも2位で終わっています。第1位にならなかったせいか、あまり有名ではないのですが、私はこの単純に笑える彼の芸風は面白いと思っています。
「コンビニ弁当の中にいるお漬け物が叫んでる。
“こんなぬくもりなんて俺にはいらない”」
「柔(ヤワラ)ちゃんの前髪が叫んでいる。
“縛られたくないんだぁぁぁぁ”」
「えんぴつのなかのいっこうに減らない白色が叫んでいる。
“おれの存在感って、なんだろう”」
あらゆるモノを擬人化して、そこからアナロジーを引き出すところに特徴があります。彼の芸を一冊にまとめたのがこの本です。
徹夜の仕事が続くと、ある種興奮した状態になり、なかなか寝付けないことがあります。そのようなとき、この本は気持ちをやわらげてくれるのです。私はご飯を食べながら『魂のシャウト!』を読み、家に帰ってからぐっすりと眠ることができました。この本は張り詰めた心の状態を弛緩し、睡眠へ誘導してくれる一冊ともいえます。(岩崎 卓也)
タイトルは『魂のシャウト!』、お笑い芸人の井上マーの作品です。彼は島田紳助の弟子で、吉本興業に所属しています。
お笑いのピン芸コンクールに「R-1ぐらんぷり」というものがあります。これは若手芸人に漫談の実力を発揮してもらおうという趣旨のものです。
2005年、井上マーは決勝進出をして、惜しくも2位で終わっています。第1位にならなかったせいか、あまり有名ではないのですが、私はこの単純に笑える彼の芸風は面白いと思っています。
「コンビニ弁当の中にいるお漬け物が叫んでる。
“こんなぬくもりなんて俺にはいらない”」
「柔(ヤワラ)ちゃんの前髪が叫んでいる。
“縛られたくないんだぁぁぁぁ”」
「えんぴつのなかのいっこうに減らない白色が叫んでいる。
“おれの存在感って、なんだろう”」
あらゆるモノを擬人化して、そこからアナロジーを引き出すところに特徴があります。彼の芸を一冊にまとめたのがこの本です。
徹夜の仕事が続くと、ある種興奮した状態になり、なかなか寝付けないことがあります。そのようなとき、この本は気持ちをやわらげてくれるのです。私はご飯を食べながら『魂のシャウト!』を読み、家に帰ってからぐっすりと眠ることができました。この本は張り詰めた心の状態を弛緩し、睡眠へ誘導してくれる一冊ともいえます。(岩崎 卓也)
2006/10/18
失敗してもいいからという昨今の風潮
「失敗しても良いからやりなさい」という風潮が蔓延しています。企業によって、新規事業は失敗しても査定に響かないところもあると言われています。先日、ある大手電機メーカーの方と話をする機会がありました。そこでは販路拡大のための新規プロジェクトが立ち上げられ、メンバーが参画していました。
ところが、驚いたことにこのプロジェクト、3年間で利益がたった50万円しかないというのです。最先端技術の開発ならば、そのようなことも充分ありえます。しかし、そうでない全てのものに対して「失敗しても良いから」「利益が出なくてもいい」といった体質でいるのは問題なのではないでしょうか。
昔から、企業内新規事業、企業内ベンチャーといったことが問題になっています。これらの持つ問題点は遊びでやっていることなのです。無駄なお金を使わせているところが大企業の懐の深さといえばそれまでなんですけれども、3年で50万円はないだろう、という気もします。
企業としては、別会計のプロジェクトにして、社員がやることに教育的な意味があるのかもしれません。しかし、30代半ばの人間に教育的な仕事をさせるというのもなんだか違うような気もします。メーカーの利益率の低さに対して指摘する声がありますが、このような実態を見て、やはり問題なのだと実感した次第です。(岩崎卓也)
ところが、驚いたことにこのプロジェクト、3年間で利益がたった50万円しかないというのです。最先端技術の開発ならば、そのようなことも充分ありえます。しかし、そうでない全てのものに対して「失敗しても良いから」「利益が出なくてもいい」といった体質でいるのは問題なのではないでしょうか。
昔から、企業内新規事業、企業内ベンチャーといったことが問題になっています。これらの持つ問題点は遊びでやっていることなのです。無駄なお金を使わせているところが大企業の懐の深さといえばそれまでなんですけれども、3年で50万円はないだろう、という気もします。
企業としては、別会計のプロジェクトにして、社員がやることに教育的な意味があるのかもしれません。しかし、30代半ばの人間に教育的な仕事をさせるというのもなんだか違うような気もします。メーカーの利益率の低さに対して指摘する声がありますが、このような実態を見て、やはり問題なのだと実感した次第です。(岩崎卓也)
2006/10/10
全てを画一的なものに当てはめる愚
ハーバードの教授が書いた論文に、「Power Is the Great Motivator」というものがあります。そこでは人間が持つふたつの動機について書かれています。
ひとつは達成動機。これはすごいことをしたい、人よりも優れたことをしたいというものです。もうひとつは権力動機といって、人を管理したい、組織を自分の思い通りに動かしたいというものです。リーダーはこのふたつの動機に注意を払う必要があります。とりわけ、権力動機を組織のために行使しようとする意志を持つことが大切です。自分のために使うのならば、単なるボス猿になってしまいます。
人事制度・組織を専門とするある米コンサルティング会社が出した論文があります。そこには、達成動機の管理をきちんとしなければならないと書かれてありました。今日では、株主利益といった圧力が強まり、拝金主義的な部分が色濃く存在します。達成動機の方向性を管理していないと、組織や業績それぞれに悪影響を及ぼしてしまうのではないかということです。私はこれを読んでなるほどその通りだと思いました。
しかし、人事コンサルティング会社のよろしくない点は、クライアントの業種、市場規模、産業の成熟度、そして仕事の中身がスタッフなのかラインなのか、そのような前提条件を取っ払って、ひとつのモデルに当てはめようとするところです。組織には歴史からメンバーのスキルまで、さまざまなことがらが存在しています。それを横に置いて、「達成動機が必要なのだけれど、あまりにも強いと悪だ」という論調で語るのはいかがなものかと思いました。
IBMのガースナー改革にもこのモデルが使われたといいます。多くのマネージャーは権力動機が強く、その権力を個人のために使っている傾向がある。したがって、部下や仕事に対しては、多くの介入をする。多くのマネージャーはマイクロマネージメントをしている、と言うのです。そういう人たちが最終的にリストラの対象になっていった、と書かれてあります。これは本当でしょうか。『巨象も踊る』などを読んでもそのようなことはどこにも書かれていません。
私はこの米コンサルティング会社が出した論文にはいくつか疑義があると思います。メインフレームビジネスの場合、お客さまのことを考えるのならば、細かいことまでを考えなければいけないでしょう。クライアントに対して、マネージャーの管理範囲内で収まっているのならば、細かく指示をするのは当たり前だろうと思います。それがIBMの顧客第一主義に違反しているとは思えません。マイクロマネージメントをしているという指摘は正しいものではないと思います。さらに、リストラの対象になったというのも疑問です。
もうひとつは心理学に関することです。この人事コンサルティングは心理学を用いて社員のモデル化を図っています。先ほども申し上げたとおり、ひとつのモデルを全体に当てはめていくのはいかがなものか、と思っています。心理学を使うことについては、新たな測定の側面を提示してくれるという意味では良いのです。しかし、実際のマーケティングの世界では、CMに起用するタレントを決めることくらいにしか使われていません。
このモデルで彼らはツールを作り、全体にあてはめていくわけです。これは困ったことだと思います。(岩崎 卓也)
※DHBRは10月10日に発売です。
ひとつは達成動機。これはすごいことをしたい、人よりも優れたことをしたいというものです。もうひとつは権力動機といって、人を管理したい、組織を自分の思い通りに動かしたいというものです。リーダーはこのふたつの動機に注意を払う必要があります。とりわけ、権力動機を組織のために行使しようとする意志を持つことが大切です。自分のために使うのならば、単なるボス猿になってしまいます。
人事制度・組織を専門とするある米コンサルティング会社が出した論文があります。そこには、達成動機の管理をきちんとしなければならないと書かれてありました。今日では、株主利益といった圧力が強まり、拝金主義的な部分が色濃く存在します。達成動機の方向性を管理していないと、組織や業績それぞれに悪影響を及ぼしてしまうのではないかということです。私はこれを読んでなるほどその通りだと思いました。
しかし、人事コンサルティング会社のよろしくない点は、クライアントの業種、市場規模、産業の成熟度、そして仕事の中身がスタッフなのかラインなのか、そのような前提条件を取っ払って、ひとつのモデルに当てはめようとするところです。組織には歴史からメンバーのスキルまで、さまざまなことがらが存在しています。それを横に置いて、「達成動機が必要なのだけれど、あまりにも強いと悪だ」という論調で語るのはいかがなものかと思いました。
IBMのガースナー改革にもこのモデルが使われたといいます。多くのマネージャーは権力動機が強く、その権力を個人のために使っている傾向がある。したがって、部下や仕事に対しては、多くの介入をする。多くのマネージャーはマイクロマネージメントをしている、と言うのです。そういう人たちが最終的にリストラの対象になっていった、と書かれてあります。これは本当でしょうか。『巨象も踊る』などを読んでもそのようなことはどこにも書かれていません。
私はこの米コンサルティング会社が出した論文にはいくつか疑義があると思います。メインフレームビジネスの場合、お客さまのことを考えるのならば、細かいことまでを考えなければいけないでしょう。クライアントに対して、マネージャーの管理範囲内で収まっているのならば、細かく指示をするのは当たり前だろうと思います。それがIBMの顧客第一主義に違反しているとは思えません。マイクロマネージメントをしているという指摘は正しいものではないと思います。さらに、リストラの対象になったというのも疑問です。
もうひとつは心理学に関することです。この人事コンサルティングは心理学を用いて社員のモデル化を図っています。先ほども申し上げたとおり、ひとつのモデルを全体に当てはめていくのはいかがなものか、と思っています。心理学を使うことについては、新たな測定の側面を提示してくれるという意味では良いのです。しかし、実際のマーケティングの世界では、CMに起用するタレントを決めることくらいにしか使われていません。
このモデルで彼らはツールを作り、全体にあてはめていくわけです。これは困ったことだと思います。(岩崎 卓也)
※DHBRは10月10日に発売です。
2006/10/07
ブルー・オーシャン戦略の本質
今回は、ブルー・オーシャン戦略とほかの理論を比較してみます。戦略論のなかの「ポジショニング」から「コア・コンピタンス」、「ケーパビリティ」、最近出てきた「リソース・ベースト・ビュー」(RBV)といったものと比べてみました。これらの戦略論は、内部資源が優れていることや今ある能力に注目し、既存の能力を研ぎ澄ませることで他社に勝とうとしています。ほかの戦略論は基本的に決定論なのです。こうしなくてはならないと、縛っていくのです。
ブルー・オーシャン戦略は戦略論のような考えに縛られないところに特徴があるのです。理想を追い求めたときに自社の足りない部分は何かを考えます。アイデアを出し、足りないものを探していくことで、自分たちの行きたいブルー・オーシャンに行き着くだろうというものなのです。
これは戦後の日本企業がやってきたことと同じです。ソニーは安かろう、悪かろうの日本製品を一流にしたいと考えました。このときに微細化技術を使えばブルー・オーシャンに行き着くだろうなどとは考えなかったはずです。何も制約のないところで、進んで行ったらブルー・オーシャンに行き着いたのです。
大切なのは決定論ではないところです。決定論に縛られると、「ウチにはこのようなリソースがないからやめよう」「やったことが無いからリスクが高い」と考えるわけです。もちろんこれらは間違いではありません。しかし、これではイノベーションが生まれて来ないのです。
グローバル市場になったとき、産業の要因については古い理論では合わなくなりました。それならば、その環境要因が働かないところを探せばいいじゃないかというのがチャン・キムの考え方です。イノベーションとは、前人未到のものをムリに生み出そうとして生まれるものではありません。今の状況の中で、制約に縛られずに探すことが大切なのです。
チャン・キム氏のインタビュー記事は11月号で詳細を紹介します。(岩崎 卓也)
ブルー・オーシャン戦略は戦略論のような考えに縛られないところに特徴があるのです。理想を追い求めたときに自社の足りない部分は何かを考えます。アイデアを出し、足りないものを探していくことで、自分たちの行きたいブルー・オーシャンに行き着くだろうというものなのです。
これは戦後の日本企業がやってきたことと同じです。ソニーは安かろう、悪かろうの日本製品を一流にしたいと考えました。このときに微細化技術を使えばブルー・オーシャンに行き着くだろうなどとは考えなかったはずです。何も制約のないところで、進んで行ったらブルー・オーシャンに行き着いたのです。
大切なのは決定論ではないところです。決定論に縛られると、「ウチにはこのようなリソースがないからやめよう」「やったことが無いからリスクが高い」と考えるわけです。もちろんこれらは間違いではありません。しかし、これではイノベーションが生まれて来ないのです。
グローバル市場になったとき、産業の要因については古い理論では合わなくなりました。それならば、その環境要因が働かないところを探せばいいじゃないかというのがチャン・キムの考え方です。イノベーションとは、前人未到のものをムリに生み出そうとして生まれるものではありません。今の状況の中で、制約に縛られずに探すことが大切なのです。
チャン・キム氏のインタビュー記事は11月号で詳細を紹介します。(岩崎 卓也)
2006/10/03
ブルー・オーシャン戦略の誤解
10月13日開催予定のセミナーで基調講演をするのは、INSEADのキャン・キム教授です。8月末、私は彼にアメリカで会いました。その模様は弊誌2006年11月号(10月10日発売)に掲載する予定です。
チャン・キム氏が著した『ブルー・オーシャン戦略』は日本語をはじめ、世界31か国語に訳されています。しかし、経営学者の方などがこの戦略に対して否定的な意見を述べているのを耳にすることがあります。かくいう私も論文を読んだときは、何が目新しいのだろうかといった疑問が湧いてきました。しかし、今はそうは思っていません。むしろ我々はこの戦略について、正しく理解していないだけだと思っています。
帰国後、キム氏とのインタビュー記事をまとめていると、論文の中には言及されていない事項があることに気づきました。それはブルーオーシャン戦略を戦略と捉えるよりも、「自発的に自己変革をとげるためのツールだ」と理解するほうが高い効果をもたらすのではないかと思うのです。私たちは戦略の側面だけを捉えています。ここにブルー・オーシャン戦略に対する誤解のひとつがあるのです。
サムスンがブルー・オーシャンのフレームワークを取り入れたのは97年です。ブルー・オーシャン戦略を実行できるようになったのが2000年頃なので、約3年かかっています。サムスンの進め方が素晴らしいのは、本社主導ではなく現場にイニシアティブを委ねている点です。本社がサポートに徹することが重要なのです。大企業で行われている企業風土変革運動や改革プロジェクトといったものは、本社主導になっているのが現状です。しかしイノベーションを起こすには、本社ではなく事業部門が主導的立場で実施することが大切なのです。つまり、戦略論として本社主導で行うものではなく、事業部門が自発的に自己改革を遂げる。そのためのツールとしてブルー・オーシャン戦略を捉えると良いようです。
とはいえ、ブルー・オーシャン戦略が戦略的な側面を全く持ち合わせていないということではありません。これまで弊誌ではブルー・オーシャン戦略を他の戦略論と比較することはあえて行いませんでした。今回のインタビューでは、改めて他の理論との比較について質問をしています。コアコンピタンス、ケーパビリティそしてポジショニングなど、他の理論と比較しながらブルー・オーシャン戦略の本質に迫ることを試みました。
その結果は次回のブログでお伝えします。(岩崎 卓也)
チャン・キム氏が著した『ブルー・オーシャン戦略』は日本語をはじめ、世界31か国語に訳されています。しかし、経営学者の方などがこの戦略に対して否定的な意見を述べているのを耳にすることがあります。かくいう私も論文を読んだときは、何が目新しいのだろうかといった疑問が湧いてきました。しかし、今はそうは思っていません。むしろ我々はこの戦略について、正しく理解していないだけだと思っています。
帰国後、キム氏とのインタビュー記事をまとめていると、論文の中には言及されていない事項があることに気づきました。それはブルーオーシャン戦略を戦略と捉えるよりも、「自発的に自己変革をとげるためのツールだ」と理解するほうが高い効果をもたらすのではないかと思うのです。私たちは戦略の側面だけを捉えています。ここにブルー・オーシャン戦略に対する誤解のひとつがあるのです。
サムスンがブルー・オーシャンのフレームワークを取り入れたのは97年です。ブルー・オーシャン戦略を実行できるようになったのが2000年頃なので、約3年かかっています。サムスンの進め方が素晴らしいのは、本社主導ではなく現場にイニシアティブを委ねている点です。本社がサポートに徹することが重要なのです。大企業で行われている企業風土変革運動や改革プロジェクトといったものは、本社主導になっているのが現状です。しかしイノベーションを起こすには、本社ではなく事業部門が主導的立場で実施することが大切なのです。つまり、戦略論として本社主導で行うものではなく、事業部門が自発的に自己改革を遂げる。そのためのツールとしてブルー・オーシャン戦略を捉えると良いようです。
とはいえ、ブルー・オーシャン戦略が戦略的な側面を全く持ち合わせていないということではありません。これまで弊誌ではブルー・オーシャン戦略を他の戦略論と比較することはあえて行いませんでした。今回のインタビューでは、改めて他の理論との比較について質問をしています。コアコンピタンス、ケーパビリティそしてポジショニングなど、他の理論と比較しながらブルー・オーシャン戦略の本質に迫ることを試みました。
その結果は次回のブログでお伝えします。(岩崎 卓也)
