5月になると、HBRの国際会議、「HBR conference(ハーバード ビジネス レビュー カンファレンス)」が開催されます。HBR各国の編集長が集まり、自分たちのしていることを報告しあう会議で、4年前から毎年開かれています。
総販売部数では中国がトップでした。HBR China(中国)は11万5千部も売れているというから驚きです。ただし、このうち8万5千部は企業がまとめて買っているものなのです。中でもテレコム1社でプレミアムに6万5千部ほど購入。顧客へのサービスとして雑誌を使っています。残り2万部は複数の企業が少量ずつ買っているようです。一方の市販ベースではドイツが1位。日本は2位でした。その次が中国で、最近ロシアが売れ始めています。
さらに驚いたことは、ポーランドのHBRの値段です。なんと37ドル。1ドル110円で計算すると約4000円になります。日本が2000円ですから、倍以上の価格が付いているのです。私が「ちょっと高いのではないか?」と言ったところ、「何を言っている? これでも安いくらいだ」と。日本が安すぎるのだと言われてしまいました。全世界で見ると、アメリカが17ドル、ドイツなどほか国は19ドルで販売しています。掲載論文の数やページ数でいうと、日本は中国などと比べ多くなっています。その上、翻訳作業面で見ると、日本語はドイツ語などに比べ翻訳に手間がかかります。グローバルな視点で見ると、HBRポーランドの編集長が言ったとおり、日本のHBRはコストに対して安い値段となっているのかもしれませんね。
ところで、翻訳という仕事はプロとアマチュアでは大きく異なります。例えば、日本において、翻訳は直訳が正しい方法だと思われがちです。しかし、これはプロとしては間違った考え方です。翻訳というのはイマジネーションなのです。英文などの外国語で書かれたものを日本語で表現する。これが翻訳です。「make」を辞書にある通り「作る」と訳し、断片的なつなぎあわせで文章を作る作業は翻訳とはいいません。これは大学試験に合格するための訳だと私は考えます。
小誌では読者の方に少しでも読みやすいものを提供できればと思い努力しています。従って、HBR論稿(原文)で読みにくいものがあれば、均一化するために時には超訳も行います。これからも誌面の品質にこだわりを持つことに変わりはありません。HBRの国際会議に出席したことで、日本のHBRのあり方を確かめ、今後とも良いものを提供し続けようと改めて思った次第です。(岩崎卓也)
2006/05/30
2006/05/27
ソネット・エムスリーのビジネスモデル
新興企業には、ユニークなビジネスモデルを確立している会社があります。そのなかで、私が注目するのはソネット・エムスリー株式会社です。So-net(ソニーコミュニケーションネットワーク株式会社)を筆頭株主とする会社で、医療従事者限定ポータルサイト「m3.com」を運営しています。
このサイトは対象を医療従事者に限定し、医師に役立つ様々な情報とサービスを提供しているところに特徴があります。医療従事者が必要とする情報に、最も迅速かつ的確にたどりつけるというのがセールスポイントなのです。日本の全医師の47%が利用し、現在27万人以上の医療従事者が会員登録。国内最大級の医療従事者限定ポータルサイトだといえます。
このサイトの中にある「MR君」は、医師と製薬企業を結ぶ相互コミュニケーションサービスで、製薬企業からダイレクトに豊富な情報を得ることができるのです。製薬会社からすると、低コストで営業を展開できるところがメリットでしょう。一方の医者からすると、いちいち病院を訪れてくるMR(製薬会社の営業、医薬情報担当者)に会う必要がないうえ、夜中でも使えるので便利です。双方にとって機会コストを削減しているといえます。
また、インターネットの特色を生かしたコミュニティが盛んである点も特筆すべきことです。サイト内には医師限定掲示板があり、「m3.com」に登録している医師により、医療ニュースや診療について充実した意見交換が行われています。
これまでも、各方面でコミュニティマーケティングが行われてきましたが、コミュニティとしてうまくいったビジネスの例はほとんどないのです。楽天はポータルであってコミュニティではありません。コミュニティとしてうまくいき、かつ高い収益性を実現しているサイトはほんのひと握りです。そのような意味で同社は希少な存在だといえます。(岩崎卓也)
このサイトは対象を医療従事者に限定し、医師に役立つ様々な情報とサービスを提供しているところに特徴があります。医療従事者が必要とする情報に、最も迅速かつ的確にたどりつけるというのがセールスポイントなのです。日本の全医師の47%が利用し、現在27万人以上の医療従事者が会員登録。国内最大級の医療従事者限定ポータルサイトだといえます。
このサイトの中にある「MR君」は、医師と製薬企業を結ぶ相互コミュニケーションサービスで、製薬企業からダイレクトに豊富な情報を得ることができるのです。製薬会社からすると、低コストで営業を展開できるところがメリットでしょう。一方の医者からすると、いちいち病院を訪れてくるMR(製薬会社の営業、医薬情報担当者)に会う必要がないうえ、夜中でも使えるので便利です。双方にとって機会コストを削減しているといえます。
また、インターネットの特色を生かしたコミュニティが盛んである点も特筆すべきことです。サイト内には医師限定掲示板があり、「m3.com」に登録している医師により、医療ニュースや診療について充実した意見交換が行われています。
これまでも、各方面でコミュニティマーケティングが行われてきましたが、コミュニティとしてうまくいったビジネスの例はほとんどないのです。楽天はポータルであってコミュニティではありません。コミュニティとしてうまくいき、かつ高い収益性を実現しているサイトはほんのひと握りです。そのような意味で同社は希少な存在だといえます。(岩崎卓也)
2006/05/23
考える力をアップさせるには
私はビジネスパーソン、特に若い人にもっと本を読んで欲しいと願っています。知識を得られるだけでなく、本は思考訓練に適しているというのがオススメする大きな理由です。哲学の本でも何でもかまいません。『「知」のソフトウェア』(立花隆著/講談社)に書かれているとおり、大切なのはわからなくてもいいから全部めくることだと思っています。人間の認知能力はけっこう高いのです。全部めくることで何が書いてあるのか、なんとなくわかるものなのですね。「時間がないから本が読めない」とお悩みの方は一度試していただくと良いでしょう。
ただ、考える訓練をするのは本だけが有効ではありません。前に書きましたが、プロファイルが出てくる漫画はロジカルシンキングの訓練法に最適だといえます。そのほかに私が有効だと感じたのはフランス映画。難解なものがたくさんあります。なぜここでこのような終わり方をするのか理解できない作品を目にすることがよくあるのです。例えば『去年マリエンバートで』やルイス・ブニュエル監督のシリーズなど、言いたいことはあるのだろうけど、何が言いたいのかよくわからんというのが私の感想です。
わからないながらも作品を観ていくうちに、私は結局のところ観る側が自由に判断すればよいのではないかと思うようになりました。わからなくてもいいのです。そう考えると、フランス映画や現代美術は楽しいものになってきます。これは本も同じなのです。わからなくても全ページをめくって何かしら考えることが大事なのではないでしょうか。(岩崎卓也)
ただ、考える訓練をするのは本だけが有効ではありません。前に書きましたが、プロファイルが出てくる漫画はロジカルシンキングの訓練法に最適だといえます。そのほかに私が有効だと感じたのはフランス映画。難解なものがたくさんあります。なぜここでこのような終わり方をするのか理解できない作品を目にすることがよくあるのです。例えば『去年マリエンバートで』やルイス・ブニュエル監督のシリーズなど、言いたいことはあるのだろうけど、何が言いたいのかよくわからんというのが私の感想です。
わからないながらも作品を観ていくうちに、私は結局のところ観る側が自由に判断すればよいのではないかと思うようになりました。わからなくてもいいのです。そう考えると、フランス映画や現代美術は楽しいものになってきます。これは本も同じなのです。わからなくても全ページをめくって何かしら考えることが大事なのではないでしょうか。(岩崎卓也)
2006/05/20
顧客の購買可能性を推定
顧客がどの製品をいつ買うか、顧客行動を予測することは難しいことです。今月号の特集で取り上げた論稿、「いつ、だれに、何を売るかを知る方法」は、最近さまざまな分野で広まってきている統計手法をマーケティングの世界に応用したものです。
今回紹介する論文で、執筆者のクマーらは独自のモデルを紹介しています。このモデルは「ベイズ推定」と呼ばれる考え方をベースにしており、ある顧客が、ある製品を、あるタイミングで購入する可能性を推定することができるのです。このような推定はモデルのなかのパラメーターを求めることで可能になります。実作業は、企業のデータをこのモデルに入れて、〈Gauss〉などの統計処理専用ソフトウエアを使うことで、パラメーターを推定することができます。パラメーターがわかれば、数式に値を入れることで「顧客が購入する可能性」の値を求めることができるわけです。
ただ、統計モデルを利用する場合、自社のパターンがこのモデルに適合するかどうか、事前に過去のデータを使って調べておくことが大切です。もし、合わないようでしたら、理由を考え、データの収集方法を変えるか、別のモデルを探さなければなりません。それには、まずはベイズ理論の理解が必要になってきます。そこで、今回の「FROM the EDITORS」では、ベイズ統計学入門の書をいくつか紹介しました。当編集部でも最初は難しいと感じていましたが、何冊か読むうちに少しずつ理解度がアップしたように思います。渡部洋『ベイズ統計学入門』(福村出版)など、わかりやすいとされている書籍を中心に紹介してあります。よろしければご参考にしてくださいませ。
今回紹介する論文で、執筆者のクマーらは独自のモデルを紹介しています。このモデルは「ベイズ推定」と呼ばれる考え方をベースにしており、ある顧客が、ある製品を、あるタイミングで購入する可能性を推定することができるのです。このような推定はモデルのなかのパラメーターを求めることで可能になります。実作業は、企業のデータをこのモデルに入れて、〈Gauss〉などの統計処理専用ソフトウエアを使うことで、パラメーターを推定することができます。パラメーターがわかれば、数式に値を入れることで「顧客が購入する可能性」の値を求めることができるわけです。
ただ、統計モデルを利用する場合、自社のパターンがこのモデルに適合するかどうか、事前に過去のデータを使って調べておくことが大切です。もし、合わないようでしたら、理由を考え、データの収集方法を変えるか、別のモデルを探さなければなりません。それには、まずはベイズ理論の理解が必要になってきます。そこで、今回の「FROM the EDITORS」では、ベイズ統計学入門の書をいくつか紹介しました。当編集部でも最初は難しいと感じていましたが、何冊か読むうちに少しずつ理解度がアップしたように思います。渡部洋『ベイズ統計学入門』(福村出版)など、わかりやすいとされている書籍を中心に紹介してあります。よろしければご参考にしてくださいませ。
2006/05/16
役に立たないマーケティングを斬る
2006年6月号、特集記事の2本目は「セグメンテーションの再発見」です。執筆者のひとり、ダニエル・ヤンケロビッチは40年前に「デモグラティックス以外の特性による分類」という考え方をHBRで紹介した人です。この論文は従来のデモグラフィックス(年齢や所得、職業や職制など人口統計上の特性)だけで消費者を分類する方式に対して修正をするもので、いまだに読み継がれています。
今回の論文では、「今行われているセグメンテーションは正しくない」とヤンケロビッチは言います。CMに起用するタレントを選ぶくらいしか役に立たないマーケティングの現状に対し、疑問を投げかけているのです。特に私がおもしろいと思ったのは、サイコグラフィックス(思考や価値観、行動志向などの特性)に対する問題点を指摘しているところです。第二次世界大戦後から60年代、70年代と時代の流れの中で、サイコグラフィックスがセグメンテーションの主流となっていく様子を心理学などを交えて解説しており、興味深い内容になっています。
本論の結論は、成功が難しいといわれているシニアマーケットでさえ、デモグラフィックス分析をきちんとやることで、良い結果をもたらすのだということです。ただし、よくよく読むと、その分析方法は、例えば「1人で暮らしていくことを念頭に置いている」といったサイコグラフィックスに類したものになっています。つまり一方でサイコグラフィックスの問題点を指摘していながら、その要素を推奨している形になっているのです。このような部分で論調には無理があるように感じましたが、サイコグラフィックス登場の歴史的背景や経緯に関する論述は興味深く、マーケティング担当者のみならず、ビジネスパーソン全体に役立つこともあるかと思いご紹介しました。(岩崎卓也)
今回の論文では、「今行われているセグメンテーションは正しくない」とヤンケロビッチは言います。CMに起用するタレントを選ぶくらいしか役に立たないマーケティングの現状に対し、疑問を投げかけているのです。特に私がおもしろいと思ったのは、サイコグラフィックス(思考や価値観、行動志向などの特性)に対する問題点を指摘しているところです。第二次世界大戦後から60年代、70年代と時代の流れの中で、サイコグラフィックスがセグメンテーションの主流となっていく様子を心理学などを交えて解説しており、興味深い内容になっています。
本論の結論は、成功が難しいといわれているシニアマーケットでさえ、デモグラフィックス分析をきちんとやることで、良い結果をもたらすのだということです。ただし、よくよく読むと、その分析方法は、例えば「1人で暮らしていくことを念頭に置いている」といったサイコグラフィックスに類したものになっています。つまり一方でサイコグラフィックスの問題点を指摘していながら、その要素を推奨している形になっているのです。このような部分で論調には無理があるように感じましたが、サイコグラフィックス登場の歴史的背景や経緯に関する論述は興味深く、マーケティング担当者のみならず、ビジネスパーソン全体に役立つこともあるかと思いご紹介しました。(岩崎卓也)
2006/05/12
『イノベーションのジレンマ』の著者、クリステンセンが執筆
2006年6月号が発売となりました。今月号の特集は「顧客『再発見』のマーケティング手法」です。「セグメンテーションという悪弊」の執筆者は『イノベーションのジレンマ』で有名になったハーバード・ビジネススクール教授、クレイトン M.クリステンセンら3人。顧客を職業や年齢、性別で分類するセグメンテーションの弊害を指摘しています。
マーケティングの話に、セオドア・レビットの「ドリルの穴」があります。これは「消費者は1/4径のドリルを買いたいのではなく1/4径の穴が欲しいのだ」というものです。つまり、大切なのは顧客が処理しなければならない「ジョブ」に焦点を当てることなのです。そうすることで見えてくるもの――それはそのジョブを処理するのにふさわしい「目的ブランド」。これを目指すことがひとつの方向性として浮かび上がってくると主張しています。
他社と激しい競争を繰り広げているうちに、「ドリルの穴」の話は頭ではわかっていても、ついつい市場シェアの計算に励む私たち。自社製品の性能や価格をライバルのものと比較評価し、他社に対し優位になるよう性能、機能を追加することに注力してしまいます。しかしながら、これでは見誤ってしまうのです。耳の痛い話が多々登場しますが、本論は読者にとって、今まで見落としていたことを再考するきっかけとなるのではないでしょうか。
マーケティングの話に、セオドア・レビットの「ドリルの穴」があります。これは「消費者は1/4径のドリルを買いたいのではなく1/4径の穴が欲しいのだ」というものです。つまり、大切なのは顧客が処理しなければならない「ジョブ」に焦点を当てることなのです。そうすることで見えてくるもの――それはそのジョブを処理するのにふさわしい「目的ブランド」。これを目指すことがひとつの方向性として浮かび上がってくると主張しています。
他社と激しい競争を繰り広げているうちに、「ドリルの穴」の話は頭ではわかっていても、ついつい市場シェアの計算に励む私たち。自社製品の性能や価格をライバルのものと比較評価し、他社に対し優位になるよう性能、機能を追加することに注力してしまいます。しかしながら、これでは見誤ってしまうのです。耳の痛い話が多々登場しますが、本論は読者にとって、今まで見落としていたことを再考するきっかけとなるのではないでしょうか。
2006/05/09
漫画とロジカルシンキング
ロジカルシンキングを身につけるための訓練方法を目にすることが良くあります。本当に訓練次第で習得することができるのか、疑問に思ったことがある方もいるのではないでしょうか。ところが、先日ある漫画を読んでいて、ロジカルシンキングは訓練次第で身につくことを確信しました。
プロファイリングが出てくる漫画。これは勉強になります。私が読んだのは「Death note」(デスノート、大場 つぐみ, 小畑 健)。少年ジャンプに連載されている人気漫画で、6月に映画化される予定もあります。ある日、死神が人間界に一冊のノートを落としました。それはデスノートと呼ばれ、そこに名前を書かれた人は死んでしまうというお話です。登場人物たちは必然性の積み上げで推理をしていきます。状況証拠から割り出される犯人像、犯人はこういう性格だからこのようなことをするだろうなど、漫画では帰納もあれば演繹もあるのです。ストーリーもおもしろいですし、良くできている漫画だと思います。ただ、「少年ジャンプ」の連載にしては内容が複雑で難しく、我々「ドラゴンボール」の時代とは明かに違うと感じました。最近の小学生はこんなに難しい漫画を理解できるのかと驚かされます。
ところで、ロジカルシンキングはその性質から、会議を効率化するだけでなく、議論まで効率化してしまいます。ここにロジカルシンキングが持つ危険性を感じるのです。ロジカルシンキングにおいては、ばかげた意見の排除、脱線をゆるさない、といったことが生じます。もちろん、理路整然と話すことは大事なことです。とはいえ、目的に対して直線的に進み、回り道を許さない状態ではアイデアはふんだんに出てきません。ロジカルシンキングは手続きなどを決めるのには適しているのかもしれませんが、ものづくりとか、新しい企画を考えていくような場合には不向きだといえます。
この危険性を考えると、デスノートばかり読んでいる最近の子供って怖いなと思いました。思考回路がロジカルシンキングのみですと、理屈で成り立っているときはよいのですが、不確定要素が入ってくるとパニックに陥ってしまうこともあるのです。あくまで思考法をひとつに絞らず、オプションを持つことが大切だといえます。正・反両方持ち合わせ、そのなかで左右に行ったり来たりできる弁証法など、いくつかの思考法を持ち柔軟に使い分ける必要があるのではないでしょうか。(岩崎卓也)
プロファイリングが出てくる漫画。これは勉強になります。私が読んだのは「Death note」(デスノート、大場 つぐみ, 小畑 健)。少年ジャンプに連載されている人気漫画で、6月に映画化される予定もあります。ある日、死神が人間界に一冊のノートを落としました。それはデスノートと呼ばれ、そこに名前を書かれた人は死んでしまうというお話です。登場人物たちは必然性の積み上げで推理をしていきます。状況証拠から割り出される犯人像、犯人はこういう性格だからこのようなことをするだろうなど、漫画では帰納もあれば演繹もあるのです。ストーリーもおもしろいですし、良くできている漫画だと思います。ただ、「少年ジャンプ」の連載にしては内容が複雑で難しく、我々「ドラゴンボール」の時代とは明かに違うと感じました。最近の小学生はこんなに難しい漫画を理解できるのかと驚かされます。
ところで、ロジカルシンキングはその性質から、会議を効率化するだけでなく、議論まで効率化してしまいます。ここにロジカルシンキングが持つ危険性を感じるのです。ロジカルシンキングにおいては、ばかげた意見の排除、脱線をゆるさない、といったことが生じます。もちろん、理路整然と話すことは大事なことです。とはいえ、目的に対して直線的に進み、回り道を許さない状態ではアイデアはふんだんに出てきません。ロジカルシンキングは手続きなどを決めるのには適しているのかもしれませんが、ものづくりとか、新しい企画を考えていくような場合には不向きだといえます。
この危険性を考えると、デスノートばかり読んでいる最近の子供って怖いなと思いました。思考回路がロジカルシンキングのみですと、理屈で成り立っているときはよいのですが、不確定要素が入ってくるとパニックに陥ってしまうこともあるのです。あくまで思考法をひとつに絞らず、オプションを持つことが大切だといえます。正・反両方持ち合わせ、そのなかで左右に行ったり来たりできる弁証法など、いくつかの思考法を持ち柔軟に使い分ける必要があるのではないでしょうか。(岩崎卓也)
2006/05/05
ドイツを特集します
もうすぐサッカーW杯が開催されます。初戦は6月9日のドイツvs.コスタリカ。日本代表は12日、オーストラリアと戦う予定となっています。4年に一度の大イベントワールドカップ。サッカー好きは今から待ち遠しいことでしょう。ところでドイツといえば、小誌2006年7月号では「ドイツ」を特集として組みます。
もともと編集部では、ドイツは日本的経営の第3の道を探る上で、参考になるのではないかと考えていました。なぜかというとドイツは日本と類似している点が多いからです。例えば、前回のブログ記事テーマである高齢社会。ドイツは日本と同様に問題は深刻で、2030年には65歳以上の人口の総人口に占める割合が25%を超えるといわれています。高福祉政策により、膨大な財政上の負担が重くなっている点も日本と共通する点です。
さらに、日本の労働組合と類似した方式をとっていることも似ています。そのほか、資源がない、自動車産業が盛んといったことなど例をあげればきりがありません。もちろん、文化的な違いはありますが、世界中を見回したとき、一番日本に近い国はドイツなのではないでしょうか。
経営の舵取りについていえば、ドイツ企業はステークスホルダーの利害を状況に対応しながら行っています。バランスを取るという点で、ドイツは日本よりもシステム化されているといえるでしょう。最近の日本では、時折アメリカの株主主権主義にひきずられる傾向が見受けられます。このような状況下、ドイツのモデルを知ることは、企業経営にとってプラスになるに違いありません。
もともと編集部では、ドイツは日本的経営の第3の道を探る上で、参考になるのではないかと考えていました。なぜかというとドイツは日本と類似している点が多いからです。例えば、前回のブログ記事テーマである高齢社会。ドイツは日本と同様に問題は深刻で、2030年には65歳以上の人口の総人口に占める割合が25%を超えるといわれています。高福祉政策により、膨大な財政上の負担が重くなっている点も日本と共通する点です。
さらに、日本の労働組合と類似した方式をとっていることも似ています。そのほか、資源がない、自動車産業が盛んといったことなど例をあげればきりがありません。もちろん、文化的な違いはありますが、世界中を見回したとき、一番日本に近い国はドイツなのではないでしょうか。
経営の舵取りについていえば、ドイツ企業はステークスホルダーの利害を状況に対応しながら行っています。バランスを取るという点で、ドイツは日本よりもシステム化されているといえるでしょう。最近の日本では、時折アメリカの株主主権主義にひきずられる傾向が見受けられます。このような状況下、ドイツのモデルを知ることは、企業経営にとってプラスになるに違いありません。
2006/05/02
高齢化社会は終わっている
ここ何年かで、「高齢化社会」という言葉をよく目にするようになりました。2030年には65歳が33%を超えるといわれ、危機感が高まっています。ところがこの言葉、実はより正確な言い方があるのをご存知でしょうか。高齢化社会というのは、65歳以上の人口が総人口に占める比率が7パーセントを超えたときに用いる言葉とされているのですが、さらに14パーセントを超えると「高齢社会」、20パーセントを超える「超高齢社会」と呼ぶのが正しいようです。
とうの昔に7パーセントを超えてしまった日本においては、「高齢化社会」と呼べる時代は既に終わっているのです。そのような状況にもかかわらず、日本は非常に対策が遅れているといわなければなりません。年金財政が優先され、支給が65歳からに引き上げられたりするだけなのです。特に問題なのは、「高齢者が働けるような環境づくり」がないがしろにされていることだといえます。
一方、アメリカの取り組みはどうでしょうか。日本とは公的年金制度の面で大きく異なっています。アメリカでは65歳以上の人が他の所得を持っていても受給金額を減らされない、と規定されているのです。これまではリタイアすることで年金を満額受け取れるというインセンティブがあったわけですが、現在はなくなりました。また、企業でも高齢対策に取組んでいるところがあります。たとえば、2004年、IBMでは平均年齢60歳というシニアチームが誕生しました。アメリカは2030年に65歳以上が20%に行くかどうかといわれています。アメリカと比べると、日本は問題が深刻な割には、のんびりしているような気がしてなりません。
ただ、日本ではこのような状況に対して、今後、ハイパフォーマーな老人が多く出現してくるのではないか、と私は予想しています。もちろん、65歳過ぎて、社会に必要とされる老人は、相当なビジネスの知識と経験が必要になってきます。ただ、20年後の65歳は、ITリテラシーの問題はさほどないし、英語を話せる人だって多くいるはずです。体力差を除けば、20年後の20代に劣らないほどの能力を持った60代も多いのではないのでしょうか。このようなことを踏まえ、私は雑誌の誌面作りをしていくうえで、今後高齢社会を考慮していくことが重要になってくることを感じました。さらには、DHBRがハイパフォーマーシルバーエイジの出現にお役に立てればな、とも思ったのであります。(岩崎卓也)
とうの昔に7パーセントを超えてしまった日本においては、「高齢化社会」と呼べる時代は既に終わっているのです。そのような状況にもかかわらず、日本は非常に対策が遅れているといわなければなりません。年金財政が優先され、支給が65歳からに引き上げられたりするだけなのです。特に問題なのは、「高齢者が働けるような環境づくり」がないがしろにされていることだといえます。
一方、アメリカの取り組みはどうでしょうか。日本とは公的年金制度の面で大きく異なっています。アメリカでは65歳以上の人が他の所得を持っていても受給金額を減らされない、と規定されているのです。これまではリタイアすることで年金を満額受け取れるというインセンティブがあったわけですが、現在はなくなりました。また、企業でも高齢対策に取組んでいるところがあります。たとえば、2004年、IBMでは平均年齢60歳というシニアチームが誕生しました。アメリカは2030年に65歳以上が20%に行くかどうかといわれています。アメリカと比べると、日本は問題が深刻な割には、のんびりしているような気がしてなりません。
ただ、日本ではこのような状況に対して、今後、ハイパフォーマーな老人が多く出現してくるのではないか、と私は予想しています。もちろん、65歳過ぎて、社会に必要とされる老人は、相当なビジネスの知識と経験が必要になってきます。ただ、20年後の65歳は、ITリテラシーの問題はさほどないし、英語を話せる人だって多くいるはずです。体力差を除けば、20年後の20代に劣らないほどの能力を持った60代も多いのではないのでしょうか。このようなことを踏まえ、私は雑誌の誌面作りをしていくうえで、今後高齢社会を考慮していくことが重要になってくることを感じました。さらには、DHBRがハイパフォーマーシルバーエイジの出現にお役に立てればな、とも思ったのであります。(岩崎卓也)
