私たち日本企業は、中国市場の開拓、中国企業との取引を模索してきました。しかしながら、労働力や市場の魅力のみが語られ、その実態についてはほとんど知られていないのではないでしょうか。
今月号に掲載した「中国人都市生活者のプロファイル」は、中国の現状を把握するのに適した論文です。執筆者のウィリアム・マキューアン氏はギャラップ・オーガニゼーションという世論調査会社でブランド・マネジメントのグローバル・プラクティス・リーダーを勤めている人です。ほかの3人の執筆者も同様にギャラップの社員で、それぞれシドニー、北京と上海、プリンストンを中心に活動している方たちです。
彼らは私たちが持っている中国に対する誤解を指摘しています。
例えば、以下の項目。
・中国人たちは一生懸命働いて金持ちになることだけを考えている。
・中国人労働者はきわめて献身的である。
・いまや中国の消費者の可処分所得は潤沢である。
・中国最大の消費財市場は一般家庭用品である。
これらは中国の都市で生活する人については当てはまらないことであり、日本人、欧米人たちが持つ誤った認識だというのです。
ギャラップ・オーガニゼーションは10年間にわたって、中国人の勤労意欲と消費意欲について詳細な調査を実施してきた会社です。私たちの中国に対する常識を覆す調査結果は、今の中国の本当の姿を映し出すものとなっています。
2006/04/28
2006/04/26
中国人社員のやる気と日本の人事制度
今回のBRICs特集では、中国に関する論文を全部で3本取り上げました。そのなかのHBRチャイナ編集長が寄せた論文「中国人社員のやる気を引き出す法」は、日本企業が現地従業員をきちんと使えていない現状について、問題提起したものです。興味深いデータとしては、中国の就職人気ランキングがあります。これによると、上位50位に入った日本企業は、ソニーと松下だけなのです。なぜ日本企業は中国で人気がないのでしょうか。
大きな理由として「サービス残業」の問題があげられています。現地の日本人管理職は自ら夜遅くまで残業をします。それだけならよいのですが、周囲の人間に対してもサービス残業をすることが当たり前だとする考え方が根強くあるといいます。本論では徹底してこのような日本的な考え方を否定しています。現地中国人にとっては、サービス残業をしたからといって、年功序列なので特別なメリットもない――これでは「何のために働くの?」という疑問が湧いてくるのも当然なわけです。このような状況をみて、ソニーと松下は中国では年功序列をやめました。両社の人気が高いのはそのためです。
ただ、私はこの事例だけをもとに、中国企業の給与体系を実力主義を前提とした成果業績給にすればすべてが解決する、と結論付けるのは正しいとは思えません。例えば中国支社長、本次長が年収3000万円の給料をもらっていて、上海の高級マンションの上層階に住んでいたとします。そこに、日本人の事業部長クラスの人がやってきたときに、彼はどう思うでしょうか。
この論稿を読んで私が思うことは、これは単に中国における日本企業の雇用問題だけではないのだということです。今日、企業ではグローバル化の流れのなかでマーケットの戦略ばかり国際的な整合性がはかられています。人事制度に対する取り組みが置き去りにされた結果、このような歪みが生じているのではないでしょうか。
日本が本気で中国に勝とうと思ったら、私は日本も実力主義を前提とした成果業績給にするべきだと思います。もちろん、欧米のような何千万円ももらえるような仕組みにまで変える必要があるのかどうかは別途議論が必要です。ただ、中国での雇用問題は、国内の人事制度から生じる歪みという根深い問題が裏側にあるのです。それを解決していくには、今一度国内の人事制度について国際的な整合性という面で検討する必要があるのだと感じました。(岩崎卓也)
大きな理由として「サービス残業」の問題があげられています。現地の日本人管理職は自ら夜遅くまで残業をします。それだけならよいのですが、周囲の人間に対してもサービス残業をすることが当たり前だとする考え方が根強くあるといいます。本論では徹底してこのような日本的な考え方を否定しています。現地中国人にとっては、サービス残業をしたからといって、年功序列なので特別なメリットもない――これでは「何のために働くの?」という疑問が湧いてくるのも当然なわけです。このような状況をみて、ソニーと松下は中国では年功序列をやめました。両社の人気が高いのはそのためです。
ただ、私はこの事例だけをもとに、中国企業の給与体系を実力主義を前提とした成果業績給にすればすべてが解決する、と結論付けるのは正しいとは思えません。例えば中国支社長、本次長が年収3000万円の給料をもらっていて、上海の高級マンションの上層階に住んでいたとします。そこに、日本人の事業部長クラスの人がやってきたときに、彼はどう思うでしょうか。
この論稿を読んで私が思うことは、これは単に中国における日本企業の雇用問題だけではないのだということです。今日、企業ではグローバル化の流れのなかでマーケットの戦略ばかり国際的な整合性がはかられています。人事制度に対する取り組みが置き去りにされた結果、このような歪みが生じているのではないでしょうか。
日本が本気で中国に勝とうと思ったら、私は日本も実力主義を前提とした成果業績給にするべきだと思います。もちろん、欧米のような何千万円ももらえるような仕組みにまで変える必要があるのかどうかは別途議論が必要です。ただ、中国での雇用問題は、国内の人事制度から生じる歪みという根深い問題が裏側にあるのです。それを解決していくには、今一度国内の人事制度について国際的な整合性という面で検討する必要があるのだと感じました。(岩崎卓也)
2006/04/21
インドの大前研一
今月の特集で取り上げたインドに関する論稿は、インド経営大学院ラックナウ校教授のアルン・クマール・ジャイン氏から寄せられたものです。本論のおもしろさは、日本ではまだ良く知られていないインドの企業が出てくるところにあります。やはりインド企業をよく研究してきた先生が書いただけのことはあり、深く勉強をしているなぁ、という印象を持ちました。
また、〈これからあと25年から30年は経済発展が続くのではないだろうか〉、というジャイン氏の主張も興味深いものがあります。この理論のもとになっているものは、ロシアの経済学者、コンドラチェフ氏の「コンドラチェフ波」です。経済成長の波は上昇が30年、下降が30年の周期で続いていくというもので、これに当てはめるとインドはちょうど上昇の始まりにあることがわかります。
ただ、私が思うに、インドが持つ産業力の真価を判断するのには、インドの中堅財閥がポイントになるのではないでしょうか。インドには日本のジャーナリストが取材をしていないような、中堅の会社がたくさんあります。これらの企業を詳しく見ていくことは、今後の課題でもあるような気がします。
ところで、実の話をしますと、今回私たちはこのインドの記事を作成するのに、非常に苦労をしたのです。この原稿はほとんどが私たち編集部で作成したといっても過言ではありません。なぜなら、ジャイン氏から送られてきたものはマテリアル(素材)のみ。しかも4万語。それをもとに私たちは記事を作成していきました。
しかしながら、プロフィールに書かれている「インドの大前研一と称される」。この一文は当編集部がつけたものではなく、ジャイン氏自らが書いたものなのです。インドにおける大前研一氏の崇拝度は非常に高いと聞いていました。ジャイン氏が書かれたプロフィールを読んで改めて実感しました。(岩崎卓也)
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(追記)2008年1月5日
「コンドラチェフ波」修正しました。
また、〈これからあと25年から30年は経済発展が続くのではないだろうか〉、というジャイン氏の主張も興味深いものがあります。この理論のもとになっているものは、ロシアの経済学者、コンドラチェフ氏の「コンドラチェフ波」です。経済成長の波は上昇が30年、下降が30年の周期で続いていくというもので、これに当てはめるとインドはちょうど上昇の始まりにあることがわかります。
ただ、私が思うに、インドが持つ産業力の真価を判断するのには、インドの中堅財閥がポイントになるのではないでしょうか。インドには日本のジャーナリストが取材をしていないような、中堅の会社がたくさんあります。これらの企業を詳しく見ていくことは、今後の課題でもあるような気がします。
ところで、実の話をしますと、今回私たちはこのインドの記事を作成するのに、非常に苦労をしたのです。この原稿はほとんどが私たち編集部で作成したといっても過言ではありません。なぜなら、ジャイン氏から送られてきたものはマテリアル(素材)のみ。しかも4万語。それをもとに私たちは記事を作成していきました。
しかしながら、プロフィールに書かれている「インドの大前研一と称される」。この一文は当編集部がつけたものではなく、ジャイン氏自らが書いたものなのです。インドにおける大前研一氏の崇拝度は非常に高いと聞いていました。ジャイン氏が書かれたプロフィールを読んで改めて実感しました。(岩崎卓也)
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(追記)2008年1月5日
「コンドラチェフ波」修正しました。
2006/04/18
ファシリテーション・ペイメントと賄賂の境界
今月の特集に、HBRロシア編集長が「ロシア・ビジネスの十戒」という論稿を寄せていますが、その中で、「腐敗は日常の一部であり、うまく対処する術を身につけよ」という教えがあります。その背景には、ロシアでは賄賂は日常茶飯事であり、このような腐敗行為と無縁でいられることはほぼ不可能であるという、何とも隔靴掻痒の現実があるからです。
「ファシリテーション・ペイメント」という言葉をご存知でしょうか。これは、経済取引上の合意へとこぎつけるに、何らかの金銭的便宜を図ることです。羊羹の箱が二重底になっていて、そこにお金を隠して渡していたなんて時代もあったようですが、このようにこそこそすること自体、日本人には「賄賂は悪である」という認識が備わっています。ここ数年は、接待飲食ですら厳禁とする企業も増えています。ですから、ロシアをはじめ、東欧やCIS(独立国家共同体)諸国における、公然と賄賂を要求する国で事業展開するのは、相当きついだろうなぁと思います(そういえば、90年代後半の第二次中国ブームの際にも、同じような問題提起があったことを思い出しました)。
ところが、アメリカのFCPA(外国不正行為防止法:Foreign Corrupt Practices Act)は、少額のファシリテーション・ペイメントを認めていたりします。ヨーロッパでも、個人同士のやり取りはダメですが、企業同士のやり取りならかまわないとしている国もあります。実際、90年代後半、パーシー・バーネビクがまだABBの会長を務めていた時、フォルクス・ワーゲンへのファシリテーション・ペイメントでは、倫理性については問われましたが、法的には問題ないという見解でした。ただし、イギリスの反テロ法(Anti-Terrorism, Crime, and Security Act)は、ファシリテーション・ペイメントについてはゼロ・トレランス(容赦無用)です。いやはや、難しい問題ですが、こういうところで躓きやすいのでしょう。
ちなみに、日本では賄賂と同様、御法度とされている行為に「談合」がありますね。某旧帝国大学の某教授が以前、「談合は優れたシステムである」とおっしゃっていました。もちろんオフレコですが・・・・・・。官製談合などはもってのほかとはいえ、「資材や人の調達については、地元業者のほうが詳しく、効率的である。しかも、地域ごとに異なる気候や地質、文化や慣習などを踏まえたうえで、ふさわしい建材や建築方法を知っているのも地元業者である」という主張でした。なるほど。入札制度は質を正しく評価できない。したがってコスト競争になる。耐震偽装などは、コスト競争の弊害ともいえなくもない。しかも談合は、経済学でいう「取引コスト」も小さくて済むのだそうです。たしかに、あうんの呼吸でいけますから、効率的といえます。
ロシアHBRの編集長の論文がきっかけとなって、「ルールを一元的に解釈する危険」、そして「矛盾を受け入れる重要性」を再認識しました。フランスで働く日系コンサルタントいわく「日本人は多面的に考えられないから、特にヨーロッパで失敗する」。何をかいわんやですね。(岩崎卓也)
「ファシリテーション・ペイメント」という言葉をご存知でしょうか。これは、経済取引上の合意へとこぎつけるに、何らかの金銭的便宜を図ることです。羊羹の箱が二重底になっていて、そこにお金を隠して渡していたなんて時代もあったようですが、このようにこそこそすること自体、日本人には「賄賂は悪である」という認識が備わっています。ここ数年は、接待飲食ですら厳禁とする企業も増えています。ですから、ロシアをはじめ、東欧やCIS(独立国家共同体)諸国における、公然と賄賂を要求する国で事業展開するのは、相当きついだろうなぁと思います(そういえば、90年代後半の第二次中国ブームの際にも、同じような問題提起があったことを思い出しました)。
ところが、アメリカのFCPA(外国不正行為防止法:Foreign Corrupt Practices Act)は、少額のファシリテーション・ペイメントを認めていたりします。ヨーロッパでも、個人同士のやり取りはダメですが、企業同士のやり取りならかまわないとしている国もあります。実際、90年代後半、パーシー・バーネビクがまだABBの会長を務めていた時、フォルクス・ワーゲンへのファシリテーション・ペイメントでは、倫理性については問われましたが、法的には問題ないという見解でした。ただし、イギリスの反テロ法(Anti-Terrorism, Crime, and Security Act)は、ファシリテーション・ペイメントについてはゼロ・トレランス(容赦無用)です。いやはや、難しい問題ですが、こういうところで躓きやすいのでしょう。
ちなみに、日本では賄賂と同様、御法度とされている行為に「談合」がありますね。某旧帝国大学の某教授が以前、「談合は優れたシステムである」とおっしゃっていました。もちろんオフレコですが・・・・・・。官製談合などはもってのほかとはいえ、「資材や人の調達については、地元業者のほうが詳しく、効率的である。しかも、地域ごとに異なる気候や地質、文化や慣習などを踏まえたうえで、ふさわしい建材や建築方法を知っているのも地元業者である」という主張でした。なるほど。入札制度は質を正しく評価できない。したがってコスト競争になる。耐震偽装などは、コスト競争の弊害ともいえなくもない。しかも談合は、経済学でいう「取引コスト」も小さくて済むのだそうです。たしかに、あうんの呼吸でいけますから、効率的といえます。
ロシアHBRの編集長の論文がきっかけとなって、「ルールを一元的に解釈する危険」、そして「矛盾を受け入れる重要性」を再認識しました。フランスで働く日系コンサルタントいわく「日本人は多面的に考えられないから、特にヨーロッパで失敗する」。何をかいわんやですね。(岩崎卓也)
2006/04/14
マーケット・セグメンテーションの是非
ビジネスパーソンにとって、馴染み深い概念であるマーケティングのセグメンテーション。次月号ではその是非について迫ります。タイトル(仮)は「顧客理解のマーケティング手法」。マーケティングについては、2005年8月号『「コモディティ化」時代のマーケティング戦略』で特集を組みました。今回はマーケティングの幅広い概念の中で、「セグメンテーション」に焦点をしぼって論文を厳選いたしました。
特集として掲載する論考は5本。「マーケティングの悪慣行:その原因と救済法」は、『イノベーションのジレンマ』の著者、クレイトン・クリステンセンが執筆しています。彼は論考において、〈セグメンテーションを信じるあまり、マーケティングの努力が報われていないのではないだろうか〉と読者に問いかけます。もちろん、彼は100%セグメンテーションを否定しているわけではなく、逆説的な問題提起をしているのです。
そのほか、マーケット・セグメンテーションが正しくやれていないのではないだろうか、といったことをテーマにした論考などが掲載される予定です。発売は5月10日。どうぞご期待ください。
特集として掲載する論考は5本。「マーケティングの悪慣行:その原因と救済法」は、『イノベーションのジレンマ』の著者、クレイトン・クリステンセンが執筆しています。彼は論考において、〈セグメンテーションを信じるあまり、マーケティングの努力が報われていないのではないだろうか〉と読者に問いかけます。もちろん、彼は100%セグメンテーションを否定しているわけではなく、逆説的な問題提起をしているのです。
そのほか、マーケット・セグメンテーションが正しくやれていないのではないだろうか、といったことをテーマにした論考などが掲載される予定です。発売は5月10日。どうぞご期待ください。
2006/04/11
本格的なリーダーシップに触れる
『MBAリーダーシップ』が発売されました。弊社MBAシリーズにおいて、リーダーシップをテーマにするのは初めてのことです。本シリーズに、これまでリーダーシップについて書かれたものがないこと自体、不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。これは、日本にはリーダーシップを本格的に研究している学者がほとんどいないことに関係しているといえます。
監修者の大中さんは三菱商事に就職した後、1980年代の第一次MBAブームの頃、カーネギーメロン大学でMBAを取得しました。
その後、なぜ彼がリーダーシップに目覚めていったのかというと、GEへの転職がきっかけでした。当時はジャック・ウェルチの時代。リーダーは先天的な能力よりも、後天的な能力を自ら開発していかないと、GEのなかでは生き残れませんでした。そのとき行ったトレーニングの経験が本書には生かされています。
プライスウォーターハウスのコンサルティング部門、ヒューイット・アソシエイツのトップを経て、リーダーシップの研究をやってこられた大中さん。その集大成ともいえるのが、この『MBAリーダーシップ』です。
学者が書いたものではなく、企業でトップを経験した人が著したものなので、非常に実践的な内容になっています。そういった意味においては、日本で初めて出版されたリーダーシップの本だといえます。(岩崎卓也)
監修者の大中さんは三菱商事に就職した後、1980年代の第一次MBAブームの頃、カーネギーメロン大学でMBAを取得しました。
その後、なぜ彼がリーダーシップに目覚めていったのかというと、GEへの転職がきっかけでした。当時はジャック・ウェルチの時代。リーダーは先天的な能力よりも、後天的な能力を自ら開発していかないと、GEのなかでは生き残れませんでした。そのとき行ったトレーニングの経験が本書には生かされています。
プライスウォーターハウスのコンサルティング部門、ヒューイット・アソシエイツのトップを経て、リーダーシップの研究をやってこられた大中さん。その集大成ともいえるのが、この『MBAリーダーシップ』です。
学者が書いたものではなく、企業でトップを経験した人が著したものなので、非常に実践的な内容になっています。そういった意味においては、日本で初めて出版されたリーダーシップの本だといえます。(岩崎卓也)
2006/04/07
先読みDHBR(2)――ブラジル市場は外資に優しい
前回のブログ記事でお伝えしたとおり、10日発売のDHBRにはBRICsのロシア、ブラジル、中国の3か国のHBR編集長が執筆した論文を掲載する予定でいます。今回はBRICsのなかのブラジルをご紹介します。
執筆は、HBRブラジル編集長とジャーナリストのマリオ・デ・アルメイダ氏のおふたり。アルメイダ氏はガゼタ・メルカンティール紙という日本でいえば日経新聞にあたる新聞の編集長をつとめた人です。ブラジルは生産基地、消費市場として、外資に優しく、可能性が高い国であるとふたりは主張します。具体例として、製造分野について外資が集中している実態を紹介。古くからブラジルに進出している日本企業――自動車産業、電気などの事例も登場します。
だだし、注意しなければならないのは、金融政策が偏っているうえ、政策などの文書がポルトガル語なので、外資にとっては資金調達が高コストになってしまう点です。本論で紹介されている事例は、ビール市場の熾烈な競争。世界的に有名なビール会社、モルソン・クアーズのブラジル市場参入から撤退までが詳しく記されています。失敗と成功の両方ともがふんだんに紹介されているので、ブラジル進出をお考えの企業の方、そうでない方でもブラジルに興味をもたれていらっしゃる方にはご満足いただけるのではないかと存じます。
執筆は、HBRブラジル編集長とジャーナリストのマリオ・デ・アルメイダ氏のおふたり。アルメイダ氏はガゼタ・メルカンティール紙という日本でいえば日経新聞にあたる新聞の編集長をつとめた人です。ブラジルは生産基地、消費市場として、外資に優しく、可能性が高い国であるとふたりは主張します。具体例として、製造分野について外資が集中している実態を紹介。古くからブラジルに進出している日本企業――自動車産業、電気などの事例も登場します。
だだし、注意しなければならないのは、金融政策が偏っているうえ、政策などの文書がポルトガル語なので、外資にとっては資金調達が高コストになってしまう点です。本論で紹介されている事例は、ビール市場の熾烈な競争。世界的に有名なビール会社、モルソン・クアーズのブラジル市場参入から撤退までが詳しく記されています。失敗と成功の両方ともがふんだんに紹介されているので、ブラジル進出をお考えの企業の方、そうでない方でもブラジルに興味をもたれていらっしゃる方にはご満足いただけるのではないかと存じます。
2006/04/04
先読みDHBR――ロシアでのビジネスチャンスを逃さないための10か条
ハーバード・ビジネス・レビューは、全世界で11か国語になっています。英語、日本語、ドイツ語のほか、台湾、ハンガリー、ポーランド語。スペイン語に関しては、HBRスペインのほか、HBR南米版のスペイン語というのがあります。次回の特集テーマであるBRICsにおいては、ロシア、ブラジル、中国の3か国語があります。
世界各国HBRのネットワークにより、次号では、BRICsのロシア、ブラジル、中国の3か国のHBR編集長が執筆した論文を掲載予定。今日はそのなかのHBRロシアの編集長執筆の論文をご紹介いたします。
本論文を読んで「やっぱりね」と思ったことは、ロシアはワイロが当たり前のようにまかり通っている国だということです。スウェーデンの家具会社、イケアがロシアに参入した当初、モスクワ市と何度となくぶつかり、いじめに遭った様が事細かにレポートされています。
興味深いのは、国の腐敗度を測る「腐敗認識指数」について。日本は159か国中、21位でしたが、ロシアは126位です。捲土重来は間違いないとされながらも、謎が多くリスクが高いロシア。本論ではロシアでビジネスをするうえでのリスクを、腐敗のほか、法律面、国民性などから分析しています。その結果、ロシアで事業展開するための心得10カ条を解説しています。ロシア人から見たロシアが読み応え充分な全15ページに。本論がロシアでのビジネスを行う上で貢献することを祈っています。
※2006年5月号は4月10日発売予定です。
世界各国HBRのネットワークにより、次号では、BRICsのロシア、ブラジル、中国の3か国のHBR編集長が執筆した論文を掲載予定。今日はそのなかのHBRロシアの編集長執筆の論文をご紹介いたします。
本論文を読んで「やっぱりね」と思ったことは、ロシアはワイロが当たり前のようにまかり通っている国だということです。スウェーデンの家具会社、イケアがロシアに参入した当初、モスクワ市と何度となくぶつかり、いじめに遭った様が事細かにレポートされています。
興味深いのは、国の腐敗度を測る「腐敗認識指数」について。日本は159か国中、21位でしたが、ロシアは126位です。捲土重来は間違いないとされながらも、謎が多くリスクが高いロシア。本論ではロシアでビジネスをするうえでのリスクを、腐敗のほか、法律面、国民性などから分析しています。その結果、ロシアで事業展開するための心得10カ条を解説しています。ロシア人から見たロシアが読み応え充分な全15ページに。本論がロシアでのビジネスを行う上で貢献することを祈っています。
※2006年5月号は4月10日発売予定です。
2006/04/01
漫画とリーダーシップ
私はときどき漫画を読みます。ジャンルは幅広いです。なかでも印象に残っている作品は、「キャプテン」、「プレイボール」のふたつ。作者は ちばあきおさん――ちばてつやさんの弟です。
このふたつの作品はともに野球漫画で、中学校の野球部が舞台となっています。チームプレイである野球、そこに見られる主人公のリーダーシップ。これが私にとって興味深いのです。両作品に登場する主人公のやり方はコマンドアンドコントロール。部員を罰するまでは行きませんが、とにかく厳しい発言をします。そうすることでチームの士気をあげていこうとがんばる主人公の姿が描かれています。私はこの主人公のリーダーシップになるほどと思いました。
このような軍隊式のリーダーシップには批判もあります。しかし私は、自らもがんばり、さらに厳しい言葉で命令を下す主人公のやり方が必ずしも批判されるべきものだとは思いません。HBRでも、アメリカの軍隊、海兵隊の話が出てきます。彼らは敵を打ち負かすだけではなく、生き残るためのパフォーマンスを重視します。そのためにリーダーは、命令を発して規律をきちんとしていかなくてはいけない――そのことが大切になってくるのです。私は必ずしもコマンドアンドコントロールが悪であるとは思えません。むしろ、チームの士気を高めるためには有効な手段だと思うのです。(岩崎卓也)
このふたつの作品はともに野球漫画で、中学校の野球部が舞台となっています。チームプレイである野球、そこに見られる主人公のリーダーシップ。これが私にとって興味深いのです。両作品に登場する主人公のやり方はコマンドアンドコントロール。部員を罰するまでは行きませんが、とにかく厳しい発言をします。そうすることでチームの士気をあげていこうとがんばる主人公の姿が描かれています。私はこの主人公のリーダーシップになるほどと思いました。
このような軍隊式のリーダーシップには批判もあります。しかし私は、自らもがんばり、さらに厳しい言葉で命令を下す主人公のやり方が必ずしも批判されるべきものだとは思いません。HBRでも、アメリカの軍隊、海兵隊の話が出てきます。彼らは敵を打ち負かすだけではなく、生き残るためのパフォーマンスを重視します。そのためにリーダーは、命令を発して規律をきちんとしていかなくてはいけない――そのことが大切になってくるのです。私は必ずしもコマンドアンドコントロールが悪であるとは思えません。むしろ、チームの士気を高めるためには有効な手段だと思うのです。(岩崎卓也)
