2008/05/13

エグゼクティブの補佐になる意味

前の記事で、2008年7月号に掲載したベネッセコーポレーション取締役副会長 内永ゆか子氏の「女性が組織のリーダーとなるための条件」を紹介しました。実は、十年以上も前のことですが、私は内永さんにお目にかかったことがあります。お会いしたのは、日本でジェンダーフリーを推し進めている方たちが主催するセミナーでした。

当日のプログラムには、女性の著名人が討論する場がありました。テーマはセクハラの問題についてです。途中で、内永さんが意見を求められたとき、彼女はこのように言ったのです。
「私はそういうことに興味はありません。男性とか女性とか、議論するのはナンセンスです。その人の言う意見の価値を考えて、良いアイデアを生み出していくことが大事なのではないでしょうか」
 内永さんが意見を述べるなり、満場の大喝采を浴びるというシーンがあったのです。今回、内永さんにこのセミナーの話を申し上げたところ、随分前のことで覚えていらっしゃいませんでしたが、私はこの場面が強く印象に残っています。

「女性が組織のリーダーとなるための条件」には、内永さんのIBM時代の話が載っています。印象的だったのは、女性に必要なのは良いメンターであるというところです。内永さんは取締役になる前、当時の営業を統括する常務取締役の補佐についています。IBMではエグゼクティブになる人は、ほとんど全員がエグゼクティブの補佐を務めるそうです。

自身の能力を高めていくには、相手に何かを教えてもらうよりも、優秀なエグゼクティブの補佐としてつくことが良い方法だと内永さんは言います。これはジョブシャドウイングと呼ばれるものです。相手に「影」のように密着し観察する。そうすることで、仕事で求められるスキルや知識を身につけるのです。

この点はP&Gの和田浩子さんも同じことを言っていました。P&Gジャパンの元社長がP&GのCEOになるケースは良くあります。イェーガー氏、アラン・ラフリー氏もP&Gジャパンの社長でした。和田さんはこの二人についたわけではないのですが、トップの人たちの補佐を務めることで、ビジネスリーダーはどうあるべきかが、具体的にわかる。自分は女性としてどういうキャリアを築けば良いのか、どんな能力が必要なのか、すぐわかると言っていました。(岩崎 卓也)

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http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=059690608
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2008/05/10

ジェンダーフリーはダイバーシティの一要素

次号、2008年6月号「ジェンダーフリーの論点」に、「企業の女性活用に求められる本質的な視点」という記事があります。こちらで提言しているのはOfficeWaDa代表 和田浩子さんです。1998年、日本人で初めてP&Gのヴァイス・プレジデントに就任した方です。和田さんはダイバーシティの問題を日本の企業が考えるとき、女性の問題だけにフォーカスしている点に触れています。そもそもジェンダーというのはダイバーシティの一要素に過ぎません。ダイバーシティ・マネジメントも経営戦略のひとつである人材育成戦略に位置づけられるとおっしゃっています。女性のキャリア支援を目標に掲げても、会社にとってメリットが明確でなければ女性を特別扱いする意味が失われるわけです。

P&Gはなぜ、ダイバーシティにこだわっているのか。それはお客様がダイバースしているからです。消費財メーカーとして、世界中のさまざまな国籍、宗教、文化を持つ顧客を相手にビジネスをしているのです。お客様に合った社員構成にしないと、お客様の気持ちがわからないのです。

日本はまだジェンダーで止まっています。ダイバーシティまでいっていません。製品のグローバル化はできていますが、マネジメントはグローバル化できないのです。日本企業の中には、「当社はグローバル化しています」という会社があります。でも、それは事業所が他国にあり、製品が他国に流れているだけであって、経営はドメスティックな場合があるのです。製品を輸出していることと、グロバリゼーションは違うのだ、と思いました。

また、「ジェンダーフリーの論点」には、「インド市場でのビジネスに男女の隔たりはない」という記事があります。こちらの記事の日産自動車 本広好枝さんは2005年インド日産社長に就任し、2008年4月より日産自動車 インド事業室長を務めています。インドに女性を送り込むところに、日産のすごさがあると私は感じました。本広さんは日産のダイバーシティの取り組み、ご自身の仕事、職場環境等について語っています。記事を読むとタイトルどおり、インド市場でのビジネスに男女の隔たりはないことがわかります。(岩崎 卓也)

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2008/05/07

インテリジェンスを備えたドンキホーテ

次号の2008年7月号、「組織で女性の力を生かす ジェンダーフリーの論点」では、7名の女性の提言を掲載します。その中の一つがベネッセコーポレーション取締役副会長 内永ゆか子氏の「女性が組織のリーダーとなるための条件」です。その中で内永さんは女性はマジョリティである男性達が築いてきた組織のパワー・ポリティクスを理解したほうが良いとおっしゃっています。みずからもポリティカルに、そのカルチャーに上手に乗ることで、仕事が円滑にまわり、より大きな仕事を任せてもらえることを認識しておこうともおっしゃっています。

これからはもっと実力社会になっていくでしょう。これまでのように役員になったら「上がり」といった人生は待っていないのです。昔は、あぐらをかいていても、学歴などの条件があれば、ベルトコンベアに乗るように役員まで行けた時代もありました。今は違います。やりたいことや望むことがあるのなら、その実現のためにポジションと権力が必要であるということを強く認識すべき点は男女ともに共通していることかもしれません。

一方、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授 石倉洋子氏は『「組織の怠惰」が女性活用を阻んでいる』の中で、企業は女性の専門性を生かし、組織のビジネスのドライビングフォースとして女性をもっと活用していかなければならない、とおっしゃっています。私は石倉さんのおっしゃることも一つの選択肢としてあるのではないか、と思います。

男性の意思決定のプロセスは予定調和的です。Aさんの顔を見て、BさんのCさんの顔を見て、なるべくそれぞれの利害を壊さないように調整しつつ、上手くまとめるといった手法をとることがよくあります。この方法では新しい習慣やイノベーションは起こってこないでしょう。従来のものに疑問を抱くことが全くない組織は健全とはいえません。従来あるものをひっくり返す、一石を投じる役割は女性が向いているかもしれません。原稿では、「ドン・キホーテ」という言葉を使っています。インテリジェンスを備えたドン・キホーテです。

もちろん、女性が一石を投じる場合は、単に発言するだけではなく、責任を持つことが前提にあります。他方、意思決定の最後は腕力だから、ポジションが必要だという意見にもうなずけます。次号の「ジェンダーフリーの論点」のコーナーはそれぞれの意見があり、読み手にとって興味深い内容になったのではないかと思っています。(岩崎 卓也)
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2008/05/03

結婚にも努力が要る「婚活」時代

先日、オフィスで最近読んだ本が話題になりました。入社2年目の若手は『「婚活」時代』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)という本を読んだと言っていました。著者は家族研究を専門としている山田 昌弘さん(中央大学文学部教授)と、ジャーナリストの白河 桃子さんです。
聞くところによると、タイトルの「婚活」というのは結婚活動の略で、就職活動と同じように、いまや結婚も努力しないとできない時代だというのです。

その理由について、いくつか書かれているのですが、一つは日本の企業が変わったことをあげています。昔は男性が終身雇用で、会社にいればおよその将来は見えていました。女性は男性に対して、何歳になったら給料はいくらくらいになるという設計が立てやすかったのです。つまり、職場内恋愛という形を取っていても、実は集団お見合いをしているようなものだった、といったことが書かれているそうです。

確かに、私も雇用の流動化の影響はあると思いました。結婚しようとしている相手が将来、その会社をやめてしまう可能性は大きくなりました。それにより、相対的に結婚することに対するリスクが高くなったわけです。時代がそうだということを見越し、相手に頼らないで夫婦両方で稼いでいる女性もいます。

しかし、日本は女性が独り立ちする上で、リスクが高くなるような社会システムになっています。日本だと、シングルマザーを守るための優遇処置が全くないわけではありませんが、進んでいるとはいいがたいものがあります。
逆に、女性は守られているのだから、仕組みに寄りかかっているほうがラクだという考えもあります。ひとつの物事に対して、賛同もあれば反論もある、いろいろな世界です。次月号の特集では、女性の登用に焦点を当てています。結婚については触れていませんが、特集とは別にこの婚活という概念には興味深い物があると思いました。(岩崎 卓也)
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2008/04/30

女性の部長相当職は全体の8.8%で良いのか

日本における女性の管理職比率は低いです。厚生労働省「平成18年度女性雇用管理基本調査」の調査結果によると、女性の部長相当職は全体の8.8%だそうです。平成15年度は6.7%で、比べると増加はしています。が、アメリカは40%でこれでも足りないといわれています。日本は圧倒的に遅れています。女性の力を活かすには、女性としてシンボリックな存在を立てることも一つとして必要です。しかしながら、まずは底上げをしないと無理なのではないでしょうか。

成果が数字で出る職種は個人の能力を評価しやすい傾向にあります。が、成果が見えにくい職種から女性の執行役員を出すのは難しいでしょう。その方ができることを何らかの形で証明しないといけないからです。日本企業ではベンチャー、営業を中心とした会社、コンサルティングファームなどではすでに女性の執行役員はいます。でも、メーカーをみると、開発部門出身の女性が社長になるようなケースはまれです。資生堂といった企業でさえいません。企業がダイバーシティの問題と向かい合うとき、どのように考えるべきか。次号では触れています。

話は変わりますが、女性の活用を議論するとき男性は必要以上にフェミニズムになることはないと思います。が、それぞれが理解することは必要でしょう。私は以前観た、女性だけの部族をモチーフにした映画を思い出すことがあります。映画に登場するこの部族は女性だけで構成されています。ときどき、男性は用いられるのですが、通常はいません。映画の見所は女王の座をめぐる争いや、他軍との戦いを視覚的にも楽しめる形で描いたところにあるのでしょう。
しかし、私はこの映画で、女性ばかりの社会に入った男性にわが身において観ていました。大変さや窮屈さが映画を通して感じられるのです。昔の話ですし、現代とは違いますが、どちらかの性で偏っている社会の不自然さ、そこに違う性の人が入ったときの感覚を味わいました。ずっと、日本では管理職は男性が多い状態が続いています。もう、その偏りには限界が来ているのではないか、と思いました。女性の優れている点は沢山語られています。使わない手はありません。

ただし、アメリカが進んでいるからといって、アメリカのやり方を一方的に持ち込んでも、うまく行かないことはご承知の通りです。そこで、日本に合った形は何か、日本のジェンダーの問題についてインタビューした理由はそこにあります。(岩崎 卓也)
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次号の発売は2008年5月10日です。
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